筋肉痛と次の約束
7月30日
案の定、筋肉痛になってしまった。足はかろうじて動くのだが、右腕が少し動かすだけで痛い。そのまま12時まで布団で寝転がっていると携帯がなった。まだギリギリ使える左手で畳の上にあるスマホを取り、通話ボタンとスピーカーのボタンを押し、顔の近くに置いた。
ヨシキ「もしもし、ヨシキです」
マエダ「もしもし、ヨシキくん?マエダです」
画面がよく見えなかったがどうやらマエダさんからだったようだ。俺は「どうしたの?」そう聞くとマエダさんはご機嫌で「あのさ、この前料理教えてくれたでしょ、昨日ねお母さんに作ってあげたらめちゃくちゃ喜んでくれて」と話した。
ヨシキ「おーそれはよかった」
マエダ「うん、それでね、そのお礼もしたいから今からどっかで会えるかな?」と言われた。
行きたい.....だかしかし現在行ける状況ではない。
ヨシキ「ごめん、昨日サエとタケシとでレウンドワンに行って、全身筋肉痛なんだよ。だから動けそうにないんだ」そう言うとマエダさんは「大丈夫?というかどうやって電話を?」と聞いてきた。
ヨシキ「大丈夫だよ、携帯は地面においてスピーカーで聞いてるよ」
マエダ「大変な時にごめんね」
ヨシキ「大丈夫だよ、明日になれば多分動けるくらいになるかも」
マエダ「そっか、じゃあ明日でいいかな?」
ヨシキ「うん、大丈夫だよ」
マエダ「そしたら場所どうしよっか」
ヨシキ「そうだな...」
せっかく会うのだからどうせなら一緒に遊びたい。少しして、マエダさんが格闘ゲームのロードファイターをやっていることを思い出した。
ヨシキ「そういえばロードファイターやってたよね?」
マエダ「うん、アケコン(アーケードコントローラー)買うくらいにはやりこんでるよ。ちょうど新作も出たし」
ヨシキ「俺も家ではやってるんだけど、ゲーセンの方でやってみたくてさ、会うついでにどうかな」そう俺が提案するとマエダさんは「いいねーそれ!じゃあ明日望海駅近くのバグステーションで待ち合わせしようか」と答えた。
ヨシキ「時間は何時くらいにしようか」
マエダ「あそこは少し混みそうだし、開店したらすぐに行きたいかなー」
ヨシキ「確か10時頃だったから9時40分くらいに集合しようか」
マエダ「うん、そうしよっかじゃあ明日の9時40分くらいにバクステで」
ヨシキ「うん、また明日」
マエダ「もしまだ動けそうになかったら連絡してね。お大事に」
ヨシキ「うん、ありがとう」そう言って電話を切った。明日、指がちゃんと動くようにするために今日はゆっくり休もう。そう思い寝ることにした。ついでに夕飯のそうめんは食べずにゼリー系の飲み物だけ飲んで寝た。
7月31日
二の腕に痛みは少しあるがそれ以外の部分は筋肉痛が残っていない。ある程度支度したのち、姉ちゃんに「行ってきます」と言い、家を出た。それから20分くらいで集合場所のバクステーション前に9時20分についた。耳にイヤホンをつけ、マエダさんを待った。
3曲目が終わったタイミングでマエダさんがこちらに来るのが見えた。格好はベレー帽を被り、白いタンクトップに半袖の黒い上着、ズボンは膝丈のジーンズで、赤いスニーカーを履いていた。
マエダ「おはようー」
ヨシキ「おはよう、今日もあついね」
マエダ「だねー、明日は32度まで上がるんだって」
ヨシキ「結構上がるね、それとマエダさんは服のセンスがいいねー」
マエダ「ありがと〜何気に嬉しい。そうだこれ、この前のお礼」そう言い手に持ってる小包を自分に渡した。
俺は「ありがとう」と言いながら中身を見ると、イルカの絵が入ったお菓子缶が入っていた。
ヨシキ「これは...クッキーかな?」
マエダ「うん、おばあちゃん家の近くの水族館に売ってるやつでね、美味しいんだよ。帰省したら毎回買ってるんだ」
ヨシキ「ありがとう、帰ったら家族で食べてみるね」
そう言うとマエダさんは「うん!」と笑顔で答えた。俺はマエダさんにどれくらいの強さなのか気になり「そうだ、マエダさんはロードファイターのランクどれくらいなの?」と聞いた。すると、少し自慢げにマエダさんは答えた。
マエダ「ダイヤだよ」
...一番上のランクのマスターから一つ下のランクで思ったより高かった。俺のランクは上から3番目のプラチナランクである...勝てるのだろうか...
マエダ「ヨシキくんはどれくらいなの?」
俺は少しだけ言うのを躊躇ったが「...プラチナです」と答えた。
マエダ「プラチナのどの辺?」
ヨシキ「中の上くらいだね」そう言うとマエダさんは「一番大変な場所だね」と話した。
マエダ「手加減はしないからね」
ヨシキ「俺も手加減しないよ」と少しだけ火花を散らし、10分ほどロードファイターのキャラについて話し合い、バグステーションに入れるようになったので一目散にロードファイターの筐体の前に行って対戦を始めた。
ーそれから30分程たちー
ヨシキ「まずいっ...」
コマ投げ(コマンド投げ技)が決まってしまうとHPがごっそりと持ってかれ逆転されてしまい、不利な盤面になってしまう。そう考えて後ろに下がったがマエダさんに読まれてしまい、ダッシュキャンセルを入れられ距離を詰められて結果、コマ投げをくらい画面端に追い詰められてしまった。
マエダ「そうするよね〜」
ヨシキ「くっ.....」
マエダ「そこっ...」
起き上がり時に発生が早い技を出したがそれも読まれて必殺技を打たれてしまった。
ゲーム音声[KO! pleye2 Win!]
最後は綺麗に決められて負けてしまった。
マエダ「ふぅ...」
ヨシキ「とりあえず外に出よっか」
マエダ「そうだね、混んできたみたいだし」
そう言いバグステーションを後にした。
30分間やった結果として、1勝4敗だった。
ヨシキ「全く勝てなかったなー」
マエダ「そんなことないよ、毎試合危ない場面あったし」
ヨシキ「コマンドミス何回かしたし、まだ練習が足りないな」
マエダ「私的にはヨシキくん安定の選択とりがちだから逆にわかりやすかったかな。とはいっても私も大技狙いすぎなところあるから人のこと言えないかも」そう笑顔で話した。俺は「確かにわかってても勝手に動いちゃうんだよな」と笑って返した。すると、マエダさんは「そうだ、もう少し話したいしどっかのお店によらない」と俺に聞いてきた。俺が「そうだね、あそこのMックにしようか」そう言うと元気よく手をあげて「賛成〜!」と言った。
Mックに着き、それぞれ会計を終えて、席に座った。それにしても、一つ気になることがある。服自体はシンプルなのだが、マエダさんの服装にイルカの模様があったり、カバンにイルカのアクセサリーがあり。かぶっている帽子にもイルカの絵がプリントされている。少し気になり「マエダさんってイルカ好きなの?」と聞いた。
マエダ「うん、見た目が可愛くて色々集めてるんだ」
ヨシキ「へー、どの辺が好きとかあるの」
マエダ「一番は顔かな、くりくりした目が可愛くてね、あと、鳴き声も好きだし、とにかく色んなところが可愛いくて好きなんだ」と笑みを浮かべながら話した。相当好きなのだろう。
ヨシキ「何か好きになるきっかけとかあったの?」
マエダ「きっかけは小学生の頃かなー、さっき言ってたおばあちゃん家の近くの水族館でイルカと触れ合える場所に行ってね。その時の間近で見たお辞儀するイルカが可愛くてね」
ヨシキ「そうなんだ」
マエダ「うん、しかもあの可愛い見た目で声もかわいいんだから一目惚れしちゃったんだよ」
そう満面の笑みで話しているのを見てマエダさんがイルカのことが好きなのがわかる。
マエダ「そうだ、ヨシキくんは好きな動物とかいないの?」
ヨシキ「うーん...強いて言えばサメかな」自分がそう言うとマエダさんは首を傾げた。
マエダ「サメ?どっちかというと怖いイメージだけど」
ヨシキ「デフォルメされたサメとかは割と好きかも」そう言いサメの抱き枕の画像を見せた。マエダさんは「あー確かに」と納得していた。すると、マエダさんは食べている手を止めて「そうだ、次の料理教えてもらうことについてなんだけど」と真面目な顔で話し始めた。
ヨシキ「うん」
マエダ「次からは私が食材用意するよ」
そう言われ少し考えた。確かに教える代わりに食材を用意してくれてるのはいいのだが...俺の教える料理にそこまでの価値があるのだろうか。というよりまた教えていいのだろうか。
ヨシキ「マエダさんがそれでいいなら俺はそれでもいいんだけど...」と少し考えながら話すと、マエダさんは笑顔で「うん、お母さんとも相談したし、お金のことなら大丈夫。それに、ヨシキくんに教えてもらいたいから」と話した。それに対して俺は「なんで俺なの?」とつい本音が出てしまった。
マエダ「マエダくんが優しいからかな」
ヨシキ「?、どういうこと?」
マエダ「私が一番最初に料理教えてほしいって言ったらすぐに了承してくれたし、あと、説明とかもわかりやすいし...ヨシキくんと一緒にいるとなんか落ち着くからかな」と笑顔で答えた。
そのマエダさんの言葉と笑顔で悩みが吹き飛んだ。
ヨシキ「わかった、そしたら次はいつにしようか」そう言うとマエダさんは「明日とか明後日暇だったらどうかな」そう聞かれて「明日にしよう」と答えた。
マエダ「そしたら、今から買い物いく?」
ヨシキ「そうだね」そう返しMックを出て、マエダさんと一緒に明日の料理に使う食材を揃えるため買い物をすることにした。
ヨシキ「マエダさんの好きな料理あるのかな?」
マエダ「グラタンが好きかも」
ヨシキ「よし、グラタンにしようか。そしたらまず、牛乳に小麦粉、スライスチーズとコンソメかな」
マエダ「あ、ジャガイモ安売りしてる」
ヨシキ「じゃあジャガイモグラタンにする?」
マエダ「美味しいそう!」と笑顔で答えた。
ヨシキ「じゃあ、ほうれん草と玉ねぎだね」
マエダ「さすがヨシキくん、食材選びが早いね」
ヨシキ「まあ、慣れてるからね」
姉ちゃん「私はほうれん草嫌いだ」
ヨシキ「はぁ、また文句言って...え」
と流れで答えたが、違和感を感じ後ろを振り返ると姉ちゃんがいた。急に来た姉ちゃんに驚くことなくマエダさんは「あ、どうも、ヨシキくんに料理を教えてもらってるマエダです」と言い頭を下げた。それに対して姉ちゃんは「私はヨシキの姉のカホです」と返した。
ヨシキ「なんで姉ちゃんがここにいるの?(ってか、マエダさんは驚かんのか)」
姉ちゃん「友達と遊んだ帰り道でヨシキ見かけたからおってきたんよ」
ヨシキ「そうなのか、ちょっと遅くなるって母さんに伝えてくれる?」そう言うと姉ちゃんは「まかせろ!」と言いダッシュで帰ってった。その姉ちゃんの姿を見てマエダさんは「ヨシキくんのお姉さん元気で少し変わった人だね」とクスクス笑いながら話した。それに対して俺は「俺もそう思う」と笑顔で答えた。
ヨシキ「さて、買い物続けますか」
マエダ「はーい」
そう言い買い物に戻った。
ヨシキ「それにしても、マエダさんは驚かないんだな」
マエダ「お姉さんが急に来たこと?」
ヨシキ「そう」
マエダ「急にくるものに強いんだよねー。私、肝試しとかホラーゲームとかでもあまりびっくりしないタイプなんだよ」
ヨシキ「そうなのか、俺は人並みにびっくりするかな」
マエダさんは「じゃあ肝試しに一緒に入ったら私が手を繋いであげないとね」とニコニコしながら言いった。それに対して俺は「いや、そこまで怖いわけじゃないからね」と返した。すると、マエダさんは「じゃあ、この夏休み中に一緒にホラーゲームやろうよ」と話したので「受けてたとう」と返した。
それから、楽しく話しながら買い物を終え、マエダさんとは駅で解散し帰宅した。
今日一日で、マエダさんとの仲が結構良くなった気がする。
最後まで読んでいただきありがとうございます。誤字やてにおはがしっかりしていなくて読みにくい場所もあると思いますが温かい目で見守っていただくとありがたいです。これからも頑張って行きますのでよろしくお願いします。