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おばあちゃんの御話

8月3日

 マエダ「充電器持った..着替え持った.....うん、忘れ物なし!」

荷物確認を終えると「行くわよー」とお母さんの声が聞こえたので「今行くー」と返事をした。

 外は朝日が登っておらず、少し薄暗い中お父さんが運転する車に乗りおばあちゃん家に向かった。2時間ほどかかるので着くまでは色んな曲を流して聞いたり、歌ったりして過ごした。

 お父さん「ついたよ」

 マエダ「ありがとう、荷物下ろすね」

 お父さん「たのむ、クルスは先に母さんに挨拶してきてくれ」

 お母さん「わかった」

自分とお母さんのバックにお父さんのキャリーケースを持って車を降り、玄関に向かった。

 マエダ「おばあちゃんただいまー」

そう言いながらドアを開けると「おかえり」とおばあちゃんと笑顔で言ってくれた。

 おばあちゃんは周りの人からは丁寧な言葉遣いと仕草で礼儀正しい人だと言われているが、実は意外と活発で私から見たら冗談とかも言ってくれる元気な人である。なので、お母さんと気が合うらしい。

 おばあちゃん「また少し背が伸びたんじゃない」

 マエダ「うん!少しだけ伸びたかな」

 おばあちゃん「そうだ、クルスちゃんはすぐにでてしまうんだったけ」

 お母さん「うん、旦那が仕事先に連れて行かないといけないので。もし買うものあったら買ってきますよ」

 おばあちゃん「ありがとう、大丈夫よ」

 マエダ「荷物は全部下ろしたから行ってきて大丈夫だよ」

 お母さん「ありがとう」

 おばあちゃん「気をつけてね」

 お母さん「はい、行ってきます」

そう返事をしてお母さんは家を後にした。

私はおばあちゃんと一緒に荷物を部屋に持っていった。

 マエダ「ありがとうおばあちゃん」

 おばあちゃん「いいのよ。そうだ、2人もいない事だしおばあちゃんのお話聞く?」

と言いながらズボンのポケットからメモ帳を取り出した。小さい頃からおばあちゃん家に着たら必ずお話を聞かせてくれた。その内容が面白くてタメになる。今ではおばあちゃん家に来た時の楽しみにもなっている。

 マエダ「うん!聞きたいな」

 おばあちゃん「そしたら今日は浦島太郎にしようか」

と言いながらメモ帳を開き、何かを書き込んでから閉じた。

 マエダ「おばあちゃんの浦島太郎の話しなら聞いたよ?」

そう言うとおばあちゃんは「そうかしら?」と首を傾げながら言った。

 マエダ「うん、浦島太郎の昔の話で、亀は実は乙姫様だった事が衝撃的だったから覚えてるよ」

私がそう言うと「...そうだったわね」と少し間を空けてから話した。

 おばあちゃん「じゃあ、おばあちゃんの作ったお話聞かせてあげる」

 マエダ「本当!聞きたい!」

そう言うと、おばあちゃんは一度深呼吸してから話し始めた。


ーーー

 昔々、2人の仲のいい男の子と女の子がいました。小さい頃から暇ができたら2人でよく遊んでいて、虫を取ったり釣りをしたり。悩み事があれば相談していて、誰から見ても仲良しの2人だった。しかし、そんな仲のいい男の子に女の子は一つだけ言えない事があった。それは、彼女がよく予知夢を見てしまうのこと。この事を男の子に言ったら馬鹿にされそうでその事だけは言えずに過ごしていた。少し匂わすように「夢と同じ事が起こったらどうする?」と聞くと「あるわけないだろ。でも、あったら最高だよな、俺昨日カニ食う夢見たし」と笑いながら話し、女の子は「あはは!だよね」と笑い返した。

そんな平和に暮らしている中、16になった年に女の子は最悪な予知夢を見た。それは、大雨の中、真夜中に居なくなった男の子を探し、息をしていない状態で見つけてしまうものだった。女の子はこれが本当になったなら...そう考えるだけで恐ろしくなった。それからは予知夢をどうにか回避しようと毎日のように天気を確認し、いつでも出られる準備をしました。

 そしてついにその日が訪れ、大雨が降り灯りがなく暗い中、雨具を着て、明かりを持ち、男の子の家に向かった。女の子が家に着いた途端「もういい!」と怒鳴り声が聞こえ、荷物を担いだ友人の男の子が家から飛び出し、近くにいた女の子には気づかずに走って行ってしまった。女の子は慌て男の子を追ったが、男の子は足が早く彼女の足では追いつかなかった。暗く足取りの悪い中必死に追いかけていると「うわっ!」と突然声が聞こえてきた。その方向に向かい下を見ると崖に捕まっている男の子を見つけた。彼女は急いで彼の手を取り引き上げようとしたがその願いは叶わず、男の子は手を滑らせ落ちていった。女の子は急いで助けに行こうとしたが男性に「危ない!」と言われ止められた。女の子はその場で泣き崩れ、そのまま意識が飛んでしまった。次の日、女の子は男の子が亡くなっていた事を聞かされた。

 それから女の子は男の子を助けられなかった事を悔やみ続けた。食事は喉を通らず、夜になるとその日のことを思い出しては毎日静かに泣いていた。しかし、周りの家族や知人はそんな彼女の事を常に気にかけ、食事はできるだけ食べやすい物を用意し、寂しさを感じないように話しかけていた。その甲斐があり、女の子は立ち直る事ができた。

 男の子が亡くなってから数年後、あれから予知夢も見なくなり、崖で止めてくれた男性に求婚され結婚する事になった。女の子はその後子宝にも恵まれ、何十年も幸せに暮らした。そして亡くなる直前には「色んな事があったけど幸せな人生だった」と笑顔で家族に伝えて息を引き取りました。

ーめでたし、めでたし。


そう話し終えると、続けておばあちゃんは話した。

 おばあちゃん「このお話で伝えたい事は[後悔し続けないで前を向いて進む]だよ。自分の行動を振り向いてあーすればよかったって後悔することは悪いことじゃないけど、後悔し続けると目の前にある幸せも失ってしまうかもしれない。だから前を向くの、またその幸せを失って後悔しないように」

 マエダ「...おばあちゃんは後悔したことはある?」

 おばあちゃん「ええ、沢山あるよ。でも、何度後悔してもまた立ち上がって前を向いてきたからこそ、今こうしてサエコと一緒にお話できてるんだから。おばあちゃんはそれだけで幸せだよ」

と優しく微笑んだ。

 マエダ「そうなんだ...いつもと違って暗いお話だったけど面白かったよ!」

 おばあちゃん「それはよかった。実はこの話はユウイチにしかした事ないから特別だよ」

 マエダ「お父さんに?」

 おばあちゃん「うん、反応は薄かったけどね。だから面白かったて言われておばあちゃんは嬉しい」

 マエダ「そうなんだ、あ!まだ荷物整理してなかったから整理してくるね」

 おばあちゃん「そうだったね。じゃあおばあちゃんはご飯の準備してくる」

そう言いおばあちゃんは台所に向かった。

寝室に行き荷物を整理しながらおばあちゃんのお話について考えた。

 私にはただのお話には聞こえなかった。お話の女の子に感情移入してしまい現実味のある話に聞こえていた。だからこそ[後悔し続けないで前を向いて進む]という言葉はヨシキくんのことで悩み不安になっている私に強く響いた。多分おばあちゃんは私が何か悩んでいるのを分かっていてもあんな話をしたんだろう。そんなことを考えながら荷物整理しているとお母さんが帰ってきたらしく部屋に入ってきた。

 マエダ「お母さんおかえり」

 お母さん「ただいま、お父さんは遅くなるらしい、お母さんはおばあちゃんの手伝いしてくるね」

 マエダ「そうなんだ。じゃあ私も手伝う!」

と言いお母さんと一緒に台所に向かった。

 マエダ「おばあちゃん、整理終わったから手伝うよ」

 おばあちゃん「あら手伝ってくれるの。ありがとう、そしたらお蕎麦湯がくからお湯沸かしてくれる?」

 マエダ「任せて!」

そう元気に返し、鍋を取り出して水を入れてから沸かし始めた。

 おばあちゃん「クルスちゃんはネギと大根おろしやってもらってもいい?」

 お母さん「はい」

そう言って3人で分担しながら料理をし始めた。

 お母さん「そういえば最近サエコが料理を習い初めたんです」

 おばあちゃん「あらそうなの」

 マエダ「うん、友達に教わってるんだけどおばあちゃんみたいに料理上手なんだ」

 おばあちゃん「そうなの、一度会ってみたいわね」

そう言うおばあちゃんに「うん、もし機会があれば呼んでみる」と笑顔で返した。するとお母さんが「私もまだ会ってないから私も会ってみたいわね」と大根をおろしながら話した。

それからも、どんな事を教わったかを話をしながら料理をしていた。

その後は、ざるそばとお味噌を食べ終え、お風呂に浸かり、明日朝早くに江田神社に向かうのですぐに布団で眠った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも投稿していきたいのでよかったら見ていただければ幸いです。

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