週1の楽しみ
7月28日
「よし、作るか」そう独り言をもらしハンバーグを作る準備を始めた。ミンチ肉につなぎの豆腐、卵にナツメグをはじめとした色々なスパイス。今回は4種類のハンバーグを作ろうとしてるので素材が多くなってしまった。まずは何から手をつけようか迷っていると、後ろから母さんが話しかけてきた。
母さん「なになに、今日の夜はハンバーグなの」
ヨシキ「うん、いろんな味作りたいんだけどどれから作ろうか迷ってるところ」
母さん「そうなの?じゃあ楽しみにしてるわね」そう言い台所を出ようとした。俺が「手伝ってくれてもいいんだよ」と冗談混じりに言うと母さんは「何が出てくるかわからない方がいいから手伝わない...なんてね、洗濯物干してくるわね、手伝って欲しい時は言ってね」と笑顔で答えた。俺は笑顔で「うんありがとう、楽しみに待っててくれ」と返し、ハンバーグを作り始めた。
まずは土台のタネ作りから。合い挽き肉と卵、つなぎに豆腐、ナツメグをボウルに入れ、均等に混ざるようにたまに下から持ち上げながら混ぜる。この時ナツメグは少し少なめにしておく。混ぜ終わったら4当分にしてそれぞれの味付けを行う。そんな作業をしていると気づいたら1時間経っていた。俺は「ふぅ、こんなもんかなあとは焼くだけだから冷蔵庫に入れとくか」そう独り言を呟きながら冷蔵庫に4種類のハンバーグの生地を入れた。すると、遊びから帰ってきた姉ちゃんが「ただいまー」と言いながら帰ってきた。俺は台所から顔を出して「おかえりー」と返した。すると、姉ちゃんは目を光らせながら台所に来た。
姉ちゃん「おー!できたのか夜ご飯!」
ヨシキ「下準備はね、あとは焼くだけだよ」
姉ちゃん「あじみさせてくれ!」
ヨシキ「俺が味見したからだめ」と言うと姉ちゃんは頬を膨らまして「けーち、ケチキだケチキ」と言った。それに対し「俺の名前とケチなのを合わせるなよ、少し大きめにするからそれで我慢してくれ」そう言うと満面の笑みで「わかった!」と言い姉ちゃんは自分の部屋に着替えに戻った。まったく、妹みたいな姉である。でも、俺が怪我した時や体調を崩した時には看病してくれたり、困った時は相談に乗ってくれるので頼れる姉である。そんなことを考えながら後片付けをした。
それから18時になり、ハンバーグを焼き始めた。その匂いにつられて母さんと姉ちゃんが台所に来た。
母さん「あら、夜ご飯ね、お皿取り出すわね」
ヨシキ「うんお願い」
姉ちゃん「私ご飯つぐね」
ヨシキ「お願い」
そんな会話をしつつご飯の支度を3人で進めた。ちゃぶ台に食事が揃い、3人で「いただきます」と言って食べ始めた。
姉ちゃん「ん〜美味しい!いつものハンバーグだ。今回は一口サイズなんだね」
ヨシキ「うん、いろんな味作ったから」
母さん「これはバジルの味がする、バジルの香りが広がって美味しいわね」
姉ちゃん「...ん!これ中にチーズ入ってる!とろとろだー」
母さん「ほんとだわ、はむっ...ん〜美味しい」
ヨシキ「それはよかった」
姉ちゃん「これはわかる上に大根おろし乗ってるから和風ハンバーグだはむっ....うん、うん、さっぱりして美味しい!」
母さん「まるでハズレのないロシアンルーレットね」ヨシキ「ハズレがないならロシアンルーレットじゃないでしょ」とツッコミを入れると母さんは「そうね」と言い笑った。
2人の反応を見る限り今回も成功だったらしい。こんなに笑顔で食べてもらえるなら作り甲斐がるし、何より俺自身が嬉しい。2人は8つあったミニハンバーグをあっという間に平らげた。
母さん「あー美味しかった、ごちそうさま」
姉ちゃん「ごちそうさま、案外量も多くて満足だねー」
母さんが俺の方を見て「いつもありがとうねヨシキ」と笑顔で言った。それに対し「こちらこそいつも料理してくれてありがとう」と笑顔で返した。
母さん「簡単なものばかりだけどね」
姉ちゃんは満足げに食べ終わったお皿を台所に持って行った。そうこうしていると父さんが疲れた声で「ただいま...」と言い帰ってきた。
姉ちゃん「おかえりとっちゃん、今日はヨシキのハンバーグだよー」そう言うと父さんは「急いで風呂入ってくるわ」と疲れた顔から笑顔になり風呂場に向かった。俺は「今から焼くからゆっくりで大丈夫だよ」と父さんに言い、台所に向かった。
ハンバーグを焼く時はまず片面に少し焦げ目が着くまで焼く、焼けたらひっくり返してほんの少しだけ水を入れて蓋を閉めて大体5から6分ほど蒸し焼きにする。今回は小さめなのでもう少し時間を縮めてもしっかり火は通る。箸でハンバーグを少し指して赤い汁が出ていなければ焼けている証拠である。しかしチーズインハンバーグの場合はチーズが中から出てしまうため注意が必要だ。最後のハンバーグが焼き終わった頃、父さんが居間に来た。俺が「もう少しだからちょっと待ってー」と伝えると父さんは「おう」と言い畳の上に座った。ご飯とハンバーグを皿に盛り、ちゃぶ台に持って行った
ヨシキ「ほい」
父さん「おーお、ミニハンバーグか、いただきます」そう言い食べ始めた。
父さん「おー、これはおろしバーグか...うん美味いなぁ、ますます料理の腕が上がっていくな」
ヨシキ「料理する時間を作ってくれてるみんなのおかげだよ」
父さん「何言ってるんだ、お前の努力の結果だ」
ヨシキ「ありがとう」
それから父さんは「うまい!」と連呼しながら食べていた。本当に作ってよかったと改めて思った。父さんがご飯を食べ終え、4人でテレビを見ながら話をした。
父さん「そういえばカホ、ありがとな」
姉ちゃん「ん?なんのこと」
父さん「お前が選んでくれたネクタイのおかげで取引先の人と偶然同じネクタイで仲良くなれてな。あのネクタイ最近流行ってるやつなんだってな」
姉ちゃん「そうだよ」
ヨシキ「姉ちゃんのファッションセンスは抜群だからね」そう言うと姉ちゃんは「まあね〜」と自慢げに話した。
母さん「あら、だから今日は疲れて帰ってきたのね」
父さん「そうなんだ、逆にとんとん拍子で行き過ぎて色々と忙しくってな。いいことなんだけどな」と麦茶を飲みながら話した。
母さん「お疲れ様です」
父さん「こっちこそ、いつもパートに家事にありがとな」
ヨシキ「俺からもありがとう母さん」
姉ちゃん「私からもいつもありがとう」
3人で母さんを褒めると「こちらこそいつもありがとう」と照れながら話した。
それから一時間ほどくだらない話やテレビを見て4人で笑いながら時をすごし、自分の部屋に戻った。するとタケシから電話がかかってきた。
ヨシキ「もしもし、ヨシキです」
タケシ「俺だ」
ヨシキ「どなたですか」と冗談混じりに言うと、「タケシだよ!」と勢いよくつっこまれた。
ヨシキ「はは、ジョーダンだよ、それでどうしたんだ」
タケシ「おお、明日空いてるか?サエッチとレウンドワン行くんだけど行くか?」と誘われた。最近体を動かしてなかったので「行くわ」と答えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回少し短くなってしまいましたが家族の雰囲気を感じていただけるたら嬉しく思います。