夏に海と急な約束
7月26日、4日間の宿題も終わり、ここからが夏休み本番。
7月26日
ヨシキ「行ってきまーす」
姉ちゃん・母さん「行ってらっしゃい」
俺は少し浮かれた気分で家を出た。もちろん浮かれてるとはいえ、しっかり準備してるので忘れ物はない。一つ問題なのは...浮かれすぎて望海駅に着いたのが8時だった。
我ながら少し恥ずかしい。まあ、それも仕方ない。なぜなら、今の俺は宿題という呪縛から解放されているからである。まさに[宿題ナッシングハイ]状態なのだ(しかし、自由研究は残っている)。加えて、いつも遊んでいる4人に会えるのが嬉しい。そんな事を考えながら近くのシュタバに入って5人を待つことにした。
座って抹茶のフラペチーノを飲みながら30分ほど待っていると「おはよう、ヨシキくん」とボーイッシュな格好で黒髪ショートボブのマエダさんが話しかけてきた。
ヨシキ「おはようございます、早いですね」
マエダ「うん、早めに来ないと落ち着かなくて」と笑顔で答えた。
ヨシキ「そうなんですね、今日は楽しみましょう」
マエダ「うん!…..そうだ!これから一緒に遊ぶんだしタメ口でもいいよ」
そう言われ、俺は「了解」と答えた。
マエダさんは椅子に座るとアイスコーヒーを飲みながら俺に質問をしてきた。
マエダ「そういえば前から気になってたんだけどヨシキ君って年下の人に対しても敬語だよね?」
ヨシキ「ああ、それは父さんの影響だね。内の父さん礼儀正しい人でさ、そんな父さんの真似してたら俺もそうなってたんだよ」
マエダ「そうなんだ」
俺は「うん」と笑顔で答えた。...しかし、緊張する。昨日会った時は暑さであまり意識していなかったが、少し気になっている女子と話すのはなんか気まずい。ユリとサエは中学からの付き合いだし、感覚的にゲーム友達だからゲームの話で盛り上がれる。まずは話のネタを作らねば、そう思い、マエダさんに質問した。
ヨシキ「俺からも質問いいかな?」
マエダ「うん、いいよ」
ヨシキ「マエダは夏休みの宿題とか先にやるタイプ?それとも残すタイプ?」と聞くと「何でその質問?」と笑った
ヨシキ「家族で同じような話になってさ、みんな宿題とかどうしてるんだろなーって思って」
マエダ「私は先にやっちゃうタイプかも。何なら数学の宿題はもう終わってるよ」
ヨシキ「なるほど」
マエダ「ヨシキ君はどっち派なの?」
そう聞かれ「早めにやっちゃう方かな、自由研究以外は終わってるし」と答えた。するとマエダさんは驚いた顔で「早くない?!」と言った。
ヨシキ「うん、4日間ずっと宿題やってたからね」
マエダ「なるほど、それでタケシくんとも連絡とってなかたんだ」
ヨシキ「すぐに遊びに誘惑するからねあいつは」
マエダさんは「確かに」と言いお互いに笑った。すると、後ろから「おはようヨシキ」とアイスカフェラテを持った高身長で理想のイケメン像の男が話しかけてきた。
ヨシキ「おはよう、トモ」
マエダ「おはよう、トモくん」
トモ「おはよう、マエダさん。僕から遊びに誘わないで正解だったね。ヨシキの事だから宿題してたんだろ」そう言いながら席に座った
ヨシキ「まあな、そうゆうトモも宿題していたんだろ」
トモ「あぁ、ユリと夏休み満喫したいからね」
と答えた。
トモは成績優秀、眉目秀麗で、みんなの憧れの的である。しかも、優しい性格で、めちゃモテる。少しだけ羨ましい。しかし、そんな彼にも弱点はあるそれは...
ユリ「皆様おはようございます。今日は暑くなりそうですね」
そう外国人譲りの綺麗な金髪に、青い目、清楚な見た目のこの女子、ユリのことを溺愛しているのだ。ユリは親が2人とも外国人で、日本が好きすぎて引っ越してきたらしい。その日本好きは彼女にも受け継がれている。そして、ユリもトモを溺愛している。
マエダ「おはようユリちゃん、絶好の海日和だね」
トモ「その分、熱中症には気よつけなくちゃね」と言いながらユリの手を握った。ユリはその手を握る返し「そうね」と笑顔で答えた。
マエダ「2人ともラブラブだね」
ヨシキ「いつものことだよ」ため息混じりに言った。
それからたわいもない話をしながら30分経ち、9時ちょうどにタケシがシュタバに入ってきた。
タケシ「おお!みんな早いな」
ヨシキ「おはよ、タケシ」
タケシ「おう、てかやっぱりサエっちは遅刻か」と笑いながら話した。
ユリ「サエさんはマイペースですからね、10分ほど経ったら来られますよ」
トモ「そうだね、少し待ち合わせ時間を早くしたのはそのためだし、気長に待とうか」
それから15分後「おはよう」と目をこすりながら金髪に髪を染めた、ポニーテールでギャルよりのファッションをしたサエがあくびをしながら来た。
タケシ「おはよう!よし、サエも来たし海に向かいますか!」
全員「おー!」
俺たちはサエのお父さんの車に乗り海に向かった。
1時間後
タケシ「楽しみだな、女子の水着」
ヨシキ「ああ、楽しみだな」
トモ「うん、ユリの水着が早く見たい」
海に着き、現在女子の着替え待ちをしている。
男たるもの女子の水着は見たいものである。いや、見たくないものなどいないだろう。
マエダ「お待たせー」
そう言って一番最初に来たのはマエダさんだ。
黄色で露出が少し抑えめの水着に水色の長袖の上着その二つがスレンダーな体系にすごくあっている。
タケシ「かわいいな」
ヨシキ「だな」
トモ「似合ってるねマエダさん」
と言いながら3人で頷いた。マエダさんは「ありがとう」とピースしながら笑顔で答えた。
次に来たのはサエだ。
手には花柄で彩られたハワイ風のサーフボードを持ち、紫と黒のシンプルなラッシュガードに下は同じ色のサーフパンツの見た目で来た。思いっきりサーフィンを楽しむつもりらしい。
タケシ「普通だな」
ヨシキ「だな」
サエ「おう、波に乗りに来ただけだからな、父ちゃんにみんなの分のボードも用意してもらってるからやろうぜ!」
遠くから肌が日焼けしてるムキムキのサエの父親がこちらに手を振っていた。
タケシ「後でみんなで楽しむか」
サエ「おう」
最後に来たのはユリだ。
白い水着で腰には薄いレースを巻いており、サングラスをかけている。体型と見た目から全く同年代に見えない美しさがあった。
タケシ「パーフェクトだな」
ヨシキ「美しいな」
隣にいたトモはユリに近づき「すごく似合ってるよ」と言い、ユリを抱きしめた。ユリはとても嬉しいそうな顔をしていた。
タケシ「ラブラブだな」
ヨシキ「だな」
みんなが集まったので準備運動を始めた。それが終わるとタケシはサエに「よし、まずは泳ごうぜ」と言った。
サエ「勝負しようぜタケシ」
タケシ「望むところだ」
サエ・タケシ「よーいどん!」
その掛け声で2人とも海に走って行った。
ヨシキ「俺はサエのお父さんにサーフィンでも教わるか」
マエダ「私もそうしようかな、ユリちゃんとトモくんはどうする.....ってあの2人もいなくなっちゃった」
ヨシキ「いつものことだから大丈夫だよ、とりあえず行こうか」
そう言うとマエダさんは「だね」と笑顔で答えた。2人でサーフィンを教わる為、サエのお父さんのエイジさんの所に向かった。
エイジ「ヨク来たな2人とも!」
ヨシキ「サーフィン教えていただけると聞いて」
エイジ「ハッハッハッー、しっかり教えてやるぞ!」
マエダ「私、初めてなのでよろしくお願いします」
それに対して、エイジさんは「ハッハー、まかせな」と元気に答えた。相変わらずテンションの高い人である。
マエダさんが初めてなのでエイジさんは丁寧に教えてくれた。俺は2回ほど教わっていたが、それをわかった上でもう一度丁寧に教えてくれた。
エイジ「そう、その調子だー!」
マエダ「む、難しい...うわっ……っぷはぁ」
俺はマエダさんの手を掴み「大丈夫?」と聞いた。するとマエダさんは「うん、サーフィンって難しいけど楽しいね」と笑顔で答えた。
ヨシキ「ならよかった」
マエダ「もう一回チャレンジしてみるね」
ヨシキ「俺ももう一回チャレンジしようかな、もっと長くできるように」
マエダ「一緒に頑張ろう!」
ヨシキ「うん、頑張ろか!」
その様子を見てエイジさんは「楽しんでもらえてウレシイぜ、ハッハッハッー」と豪快に笑った。
それから2時間くらいサーフィンを楽しんだ。
マエダ「流石にお腹空いてきたね」
ヨシキ「だな、そろそろあの4人も戻ってきそうだし」と話していると、サエとタケシがぐったりしながら戻ってきた。
タケシ「あーー、もーだめ...腹減った」
サエ「あだじも、もう動けん....」と疲れ切った顔でパラソルの近くの砂浜に寝転がった。
マエダ「2人とも何してたの?」
タケシ・サエ「ほぼぶっ通しで泳ぎ続けた...」2人の声が仲良く被った。この様子だとどっかに食べに行くのは無理だろう。そう思い「なんか買ってくるわ」と言うと2人とも「頼んだ...」と答えた。
マエダ「私も行こうかな」
ヨシキ「ああ、きてくれるとありがたいね。後で食べた分のお金もらうからな」
マエダ「2人とも待っててねー」
そう言い残しマエダさんと売店に向かった。
ーその頃、トモとユリはー
トモ「ユリ、海綺麗だね」
ユリ「トモと一緒にいるからよ」
トモ「ユリ...」
ユリ「トモ...」
と永遠に2人で海を眺めながら、休憩所でイチャイチャしていた。トモいわく、たくさんの人がその光景に見惚れていたらしい。相変わらず絵になるバカップルである。
俺とマエダさんは屋台が並んでいる所に着き、食べ物を選び始めた。この場所は年間多くの人が訪れる為、夏になるとお祭りのように沢山の屋台が並ぶ。海が綺麗なのはもちろん、よく他の地方から屋台がくることがある為、毎年賑わっている。
マエダ「ここの屋台って色々種類あって迷うよね」
ヨシキ「こんだけの屋台があるとほぼ祭りだな」
マエダ「だねー焼きそばは買うとして後何買おうかな」
ヨシキ「俺らも動いて、腹減ってるしな、と言っても、焼きそばだけでも色々あるな」
マエダ「あんまり迷ってるとあの2人餓死しちゃうね」と冗談混じりに笑った。俺は「だな、早めにに選ぶか」と笑い返した。
列に並び始め、並んでる間マエダに気になることを聞いた。
ヨシキ「そういえば、マエダさんはタケシ達とどこで知り合ったんだ?」
マエダ「ああ、それはね学校でユリちゃんと趣味があってさーそのつながりでタケシ君とトモ君と仲良くなったって感じかな」
ヨシキ「ユリ経由は珍しいな、大体タケシ経由が大半なんだけど」
マエダ「実はユリちゃんと隣同士なんだよ家」
ヨシキ「へーそうだったんだな。ってことは最近引っ越してきたのか」
マエダ「そうなの、お母さんの仕事の都合でね」そう言うとマエダさんは何かを思い出し自分に「そういえばヨシキくんは料理うまいんだよね」と聞いてきた。俺が「うん、料理するよ」と言うと、マエダさんは「料理教えてください」と手を合わせて頭を下げた。
ヨシキ「き..急だね、教えるのはいいんだけど理由を聞いてもいい」
マエダ「私料理が苦手で、そのことをユリちゃんに話したら、ヨシキくんが料理できて教えるのも上手いと聞いて...」
ヨシキ「なるほど、どれくらい料理できるの?」
そう聞くと少し恥ずかしそうに「カップラーメンなら...」と答えた。
(うんなるほど、全く料理ができないんだな)
ヨシキ「なるほど、じゃあまずはお味噌から作って見ますか」自分がそう言うと「お願いします」と頭を下げた。
そんな話をしていると焼きそばを買う順番が回ってきた。そんなこんなお互いに趣味の話などをしながら焼きそばに加え、イカ焼きとたこ焼きなどを買ってタケシとサエのいる場所まで戻った。
ヨシキ「買ってきたぞ」
タケシ「おーうまそうな匂いが...そういえばトモとユリはもう少ししたら戻って来るって連絡あったわ」
マエダ「6人分買って正解だったね」
ヨシキ「お腹空いてるし先に食べてるか」
タケシ「そうだな、じゃあいただきまーす」
そう言うとタケシはイカ焼きにかぶりつき、サエは思いっきり焼きそばをすすっていた。2人とも相当腹が減っていたのだろう。
食べ始めてから10分ほど経ち、トモとユリが戻ってきた。
トモ「すまない、勝手に何処かへ行ってしまって」
タケシ「気にするな、俺とサエっちが一番最初にどっかに行ったからな」
ヨシキ「お前は食べるスピードを考えてくれ、買ってきたやつほぼなくなってるじゃないか」
タケシ「すまん腹減ってて」
ユリ「もし全部食べても私たちあんまり動いてないから大丈夫よ」
ヨシキ「流石に腹は減るだろ、ほい2人の分」
トモ「ありがとう」そう言って2人は焼きそばを食べ始めた。
マエダ「これからどうしようか」
タケシ「ビーチバレーでもするか」
サエ「だな」
ヨシキ「とりあえず一旦休憩だな」
マエダ「すぐに動いたらお腹痛くなるしね〜」
トモ「では、1時間ほど休憩しますか」
ユリ「私は本でも読んでるわ」
みんなパラソルの下でくつろいだ.....帰る時間まで。
ヨシキ「ほら、サエ、タケシ起きろもう帰るぞ」
サエ「...んぁえ、帰る?!私何時間寝てた!?」と言い飛び起きた。それに対して冷静に「3時間ぐっすりだったぞ」と答えた。その声に反応して、タケシが目をこすりながら起きた。
タケシ「あれぇ?いつのまにか寝てたわ...今何時だ」
俺は冷静に「16時だぞ」と答えるとタケシは固まった。そして、タケシとサエが声を合わせて「...まじか.....楽しかったからいっか!」と言い開き直った。
ー帰りの車内ー
タケシ「みんなすまんな寝ちまって」
ヨシキ「大丈夫だよ、こっちは2人が寝てる間にゲームの話しで盛り上がってたし」
ユリ「そうね、あんなに話してたのに起きないから相当疲れてたのよ」
サエ「そんなに起きなかったのか?」
マエダ「うん」
トモ「みんなが楽しめたならよかったんじゃないかな」
ヨシキ「そうだな」
そう話しているうちに車が集合場所だった駅前についた。
それからサエとユリ、トモ、タケシとはその場で別れた。マエダさんは同じ方向の電車なので一緒に帰ることになった。
マエダ「今日は楽しかったなぁ」
ヨシキ「確かに、残り半分くらいダラダラしているとは思ってなかったけど」
マエダ「あはは、確かに。そうだ、料理教えてくれる日にち今のうちに決めない?」
ヨシキ「そうだね...」
こうゆう時どうすればいいのか。明日とかだと急すぎるし、今決めなければ無かったことになりそうで個人的にはそれは避けたい。そもそも料理教えてあげられる場所も決めなくてはならないし....そう考えているとマエダさんは「明日うち来る?」と言った....
俺は「それでよければぜひ」と即答した。明日の昼から料理を教えることになった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は少し長くなってしまいましたが、楽しんで頂ければ幸いです。今後も頑張って物語を紡いでいきたいと思っております。