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98.はーちゃんの大きな反乱

 明けましておめでとうございます

 いささか遅い気もしますが

 休息が長引いた気がしましたが、やってみるとスイスイ書けました

 これがキャリアというものか

 今年もよろしくお願いします

「ウイークエンダーが何か狙ってる! 」

 安菜が叫んだ。

 当然、私はそんな操作はやってない。

 それは、わかってるはず。

 だけどウイークエンダーの頭部は、たしかに動いてる!


 赤く塗られた、逆3角形の顔。

 人の目のように左右に並んだカメラ。

 その間の上、オデコに当たる部分に、大砲がある。

 その砲身をおさめた、長くのびた後頭部。

 ウイークエンダーのエネルギーを生み出す無限炉心と直結した、巨大で強力な大砲が。


「立ち上がってるよ! 」

 安菜にまた言われた。

「は、離れて! 」

 私が呼びかけると、安菜と一緒に来た道をかけ戻った!

 もう、出入口のハッチははるか上。

「こうなったら、仲間のロボットに止めてもらうしかないよ! 」

 私はそう言って、スマホの電話帳を・・・・・・開こうとした。

 だけど画面は、カラフルなノイズが走ってた。

 ええぃ! 意味がない!

 思わず遅くなった逃げ足を、またすばやく動かす。

 

 ふいに、金属的な音が聞こえてきた。

 細長い金属をピアノのように弾く楽器、マリンバに似てる。

 鈴のようにも聞こえる。

 これは、ポルタ社の空港で聞いた。

 MCOの音だ!

 スマホから?

 いえ、ウイークエンダーから?

 もっと遠くからも聞こえる。

 あわてて探す。

  

 そこは、巨大な銀色があった。

 MCOで作られた、ボルケーナ女神像。

 そう言えば、ウイークエンダーが狙っていた場所は、あの女神像じゃなかったっけ?

 

『安菜さん、うさぎさん』

 突然、男性の声で呼びかけられた。

『安菜さん、うさぎさん。

 逃げる必要はありません』

 聞こえてくる場所は、ついてくる?

 私の手の中。スマホから?

「はーちゃん? 」

 安菜も気づいた。

 私たちは立ち止まった。

『ウイークエンダーを、借りてます。

 これから、閻魔 文華を召喚します』

 一体どうやって?

 ああっ! さっき朱墨ちゃんにかかったニセうさぎの電話?!

『そうです。

 MCOは、私のようなAIでも機械同士をつなぎ、コントロールできるネットワークになります。

 それによって実行しました』

 全身がゾワゾワする。

 私は叫んだ。

「やめなさい!

 そんなことをしたら、あなたは消されてしまうよ! 」

 そうだよ。 

 こんな時のための規則なんかない。

 でも、こんな事起これば、どうなるかわかる。

 それが怖い。

 あれだけ強大なMCOを、勝手に使われるわけにはいかない!

 それに、はーちゃんを失うことも。

 安菜が、食いつくようにスマホを覗き込んできた。

 でも、できることはない。

 映るのは意味のないノイズだけ。

 

『覚悟の上です』

 はーちゃんの声は、落ち着いていた。

『これは、ゲコンツ星で作られたAIである、私のするべき仕事なのです。

 あなた方の負担にならないよう、精一杯配慮します。

 この事で、ゲコンツ星に対して不利益にならないよう、配慮をお願いします』

 はーちゃん・・・・・・。

『もっと前に、こうするべきだったんです』

「ボルケーナ女神像が動いてる! 」

 誰かが叫んだ。

 ハンターキラーの誰かか、帰ってきた住民かが。

 思わず女神像を見る。

 翼を上に、両腕を左右に大きく広げている。

 全身で受け止めるつもりだ。

『ごめんなさい。ごめんなさい・・・・・・』

 はーちゃんの声が止まると、ウイークエンダーの頭から真っ白な光があふれだした。

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