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89.降り立つ仲間たち

 先輩たちが、ポルタ社が来てくれた。

 それは間違いなくホッとするよ。

 戦力としても強いけど、それが古くからの知り合いだと、格段に。

 だけど、先輩はイラ立ってるのかな。

 獲物を奪われた、そのことに。


 私のキャプチャーが、完全に消え去った。

「キャプチャーは、ペンダントに戻った。

 確認! 」

 安菜も安心した感じで答えてくれた。

 席のモニター裏、専用ソケットから、ペンダントが引き抜かれる。

 降りるまでは、安菜があずかってくれる。


 川の水は?

「許容範囲です」

 これには、はーちゃんが答えてくれた。

 よかった。

 キャプチャーに巻き込まれて、川辺にならんだ『不法投棄禁止』や『危険につき車両通行止』の看板をたおしたけど。

 キ、許容範囲だよね?

「あっちの水位計? は折れなかったんだから、よしとしなさいよ」

 安菜が言うのは、ちょっと離れたところにある小さな鉄塔の事。

 その塔が川のなかに向かって伸びてる。

 その先がセンサーになって、水の量を測るんだろう。


 ブルブル

 

 ボルケーナ先輩は、全身をはげしくふって、雨を弾き飛ばした。

 犬みたい。

 そして急いで、お腹の毛のなかに手を突っ込む。

 中からでたのは、大きなカーキ色のビニールシート。

 それをかぶった。

 シートの真ん中あたりで顔をだす穴がある。

 ポンチョだったんだ。

 さらに、赤い長グツをだした。

 あの人は体が液体だから、きれいに畳んで入れてるのかもしれない。

 異次元に入れてるのかもしれない。

 足をそこら辺の水溜まりに、つっ込んだ。


 ジャブジャブ


 ヨゴレを流すと足をふって、水を落としてからはいた。

 なんて水切れのいい毛皮なんだろう!

 

 先輩は、川沿いの堤防に目をうつした。

 堤防の上は舗装されてる。

 自転車やランナーが走りやすいように。 

 幅は乗用車2台がすれ違えるほど。

 桜の並木だね。

 防災用品を入れたコンテナハウス。

 公衆トイレもある。


 外から、とくに川側からツル草が伸びていた。

 旺盛な生命力そのままに、道端で盛り上がってる。


「あ! 」

 先輩が気づいた。

「通行注意の看板がある! 」

 国道と、堤防の上の道の間だね。

 上に黄色い反射板が二枚のってる。

 看板は2つ。

 真ん中を開けて、互い違いに並んでる。

 乗用車なら、真ん中をうまく避けて通ると思うけど。

「装甲車じゃ通れないよ!

 引っこ抜いていい?! 」

『引っこ抜け! 』

 応隆さんが言った。

『承認が必要かどうかは、あとで確かめる! 』

「了解! 」


 ああやって、仕事をしやすくするよう働けるって、いいな。


『承認なら、この九尾 朱墨。

 百万比咩神社陰司宮、B小隊ホクシン・フォクシスの隊長がだします』

 無線が割り込んだ。

『そこの河川敷でドクターヘリが離着陸することがありますから、問題ないです』

 パーフェクト朱墨が基地から帰ってきた。

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