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87.花火じゃないんだ

 同じ、空でドーンでも、花火大会とは違うんだ。


 雨を振り乱し、巨人が手をバタつかせて、体をねじる。


 ドーン

 

 失われた下半身が上に。

 そこから、黒い炎が噴火のように暴れでた。

「ああ!!! 」

 叫びと爆音を上げて、巨人が加速する。

 私たちの方へ!

 怒りの形に口が裂けて、せまる!


 カービンを向ける。

「ひっ! 」

 安菜が、今さら短い悲鳴を上げた。

 ・・・・・・ムリもないかも。

 戦いは、長引きすぎたかもしれない。

 私にとっても。


 ガン! と金属の衝突に似た音が聞こえた。

 巨人が止まった。

「ひっ! ヒイィ!! 」

 おびえる巨人が吹き飛ぶ音。

 叫びは上に引き伸ばされて、低く聞こえた。

 背中に、ボルケーナ先輩がしがみついていた。

「・・・・・・あれっぽっちの翼で、どうやって? 」

 安菜、先輩に常識で見てはいけない。

「そんなの常識だよ!

 ・・・・・・あれ? 」


 安菜の事を、おかしくおもわないでね。

 先輩の行動は本業の神さまでも測定できないことがあるから。


 上空が騒がしくなってきた。

 灰色の影がジェットの音を重ねて。

 あれは、宇宙製戦闘機の、七星の部隊だよ。

 表示によると、12機いる。

 チーム疾雷だ!

 達美さんたちと同型サイボーグによる、ポルタ社の精鋭部隊!

 あんなテストパイロットもやってるんだ。


 先輩と巨人の戦いの場を、グルグル回り始めた。

 もう、巨人に逃げ道はないね。


 そのうち半分の6機が、すぼやく人型に変形した。

 さっき達美さんと武志さんがして見せたように。

 七星の手から、光りがのびた。

 ・・・・・・あの光は、なに?

 赤、黄色、ピンクに青。

 レーザー砲みたいに、まっすぐ飛んで行ってはいない。

 一定の距離、長くて10メートルくらいで光は途切れている。

 光のでどころは、手だったり、手にした長い棒の先だったり。

 まるで。いえ、確実に剣や槍や薙刀みたい!

 6つの機影が、一斉に巨人に襲いかかった!

 真っ先に飛びかかったのは、・・・・・・トリコロールと言うやつ?

 アニメの試作ロボットみたいな。

 ヒーローを思わせるハデな色づき。

 白を基調に、赤、青、黄色をバランスよく配置してる。

 そのハデなロボの赤い剣が、真っ先に巨人にダメージを与えた。

 差し向けられた2本のムチを、あっさり切り裂いた!

 右手に槍をもった七星が、続いた。

 左腕に丸く大きな青い渦巻き。

 きっと盾だよ。

 さらに短剣二刀流、反りのある刀、薙刀をもつ戦士たちが、四方から襲いかかる!

 長い柄に大きな三ヶ月型の刃をもつのは、ハルマードってやつだね。

 こんな戦いかた、初めて見た!


『お、お姉ちゃん』

 みつきも、上空の事をボーゼンと見て、今戻ったみたいだ。

『手りゅう弾もあげるよ』

 ありがたい!

 みつきがさしだしたコンテナを、ウイークエンダーの両手首で受けとる。

 ガラガラと落ちてくる手りゅう弾が、手首の穴に吸い込まれていった。

 

 これで、応急の補給はすんだ。

 空の方は気になるけど。

 訓練道理なら、私たちの仕事は地上部隊の見守りだからね。


『安菜、怖いなら脱出する? 』

 達美さんが申しでた。

「お断りします」

 安菜に、ハッキリ言う心が戻ったみたいだ。

「はーちゃん、破滅の鎧は、私と契約して動いてます。

 私だけはなれたら、トラップだかなんだかが働く可能性があります」

『その辺は、徹底的にかチェックしてるはずだよ』

「だから、です。

 もしも事態が収まっても、私たちがひどい目にあったときは、こん棒エンジェルスへの処罰をお願いします。

 ウソつきとして」

『それは、重大だね。了解』

 珍しいかも。

 達美さんが、他人に圧倒されてる!


「それにしても・・・・・・。

メールがいっぱいくるようになったね」

 安菜。

 指示が来るってことは、みんなボルケーナ先輩だと、見守ってもムダだと思ってるんじゃない?

「それはそうか。

 えっと、海側に展開したこん棒エンジェルスは、制圧したみたい。

 それと、もといた世界へ帰すので、向こうの世界とも交渉済み。

 制圧した敵は、もう帰したって」

 スゴいや。

 早いもんだね。

「のこりは、私たちの回りだけ。

 ここと、向こうの山のふもとで、引き渡しを行うって」 

 

 恐怖は去った、のかな?

 かわりに、急かすような。

 こんなこと早く終わらせなくては、と言う気持ちになる。

 無事に、みんなで帰りたい・・・・・・。

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