表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/109

7.大・大衝撃波!!


――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――


 私はこの時、ショックダイルの正面に陣取ったの。

 ウイークエンダー・ラビットと言えば重装甲と高パワー。

 ショックダイルが震動波を放とうと向く。

 私が相手の注目の的になって、味方への注目を減らそうと思ったの。

 その隙にホクシン・フォクシスが四方から襲いかかる。

 あの滑る動きの中で、青い炎が、刃に変わる。

 そして、ショックダイルの黒いウロコを上から下まで切り裂いた。

 宇宙からもたらされた力が、空気のクッションを、元素1個分の厚みしかない切っ先に変えたんだ。

 ウロコの間に見える、小さくキラリと光るモノ。

 その目の近くを切り裂かれ、4本の足も傷ついて、ついにショックダイルはへたり込む。

 傷から勢いよく飛びだしたのは、赤い血などではなく、白い火花だった。

 ショックダイルが、どう言うエネルギーで動いているのかは、今も研究中なの。

 へたり込みながらも、あのダムのような尾と、震動波はまだ使える。

 2つのアゴが、震えはじめた。

 狙われるのは、私!

 私は、逃げるか進むか、すぐに決めなければいけなくなった!

 決めなければ、待っているのは、死!


 その時に、私の母艦の雷切から通信が入った。

『ホクシン・フォクシスは撤退しなさい。うさぎ、5秒後に突撃しなさい』

 お母さんの声だ。

 うちのお母さんはアンドロイド。

 人間に似せて作られた機械なの。

 純然たる戦闘用で、今は作戦を考えてくれている。

 そのお母さんの指示に従うと、ショックダイルの振動波が放たれるまでここにいなきゃならない。

 でも私には、従うことへの迷いはなかった。

 得意のパンチをいつでも打てるよう、構えるだけだ。

 ショックダイルのアゴが震える。

 ウイークエンダーの装甲が揺れだしてきた。

 一瞬で砕かれた山の岩が、怖さとともに思いだされる。

 その時、ショックダイルの後ろに巨大な茶と緑のまだら模様が滑り込んだ。

 全長100メートル。低速での大気圏航空に有利な、真横に伸びた主翼。

 急襲揚陸艦、雷切はエンジンを切って音もなく飛べるの。

 その直後、光が生まれた。

 暴風だね。

 ショックダイルのあの巨体が、シッポからあおられる!

 その後ろから、煙になった砕けた岩がビュンビュン飛んでくる!

 雷切が、ジェットエンジンを地面に向けて噴射したんだ。

 ショックダイルの後ろで起こったことは、大爆発なんだ。


 私は走りだす。

 ショックダイルに向かって。

 振動波はジェットに流される。私は近づくから、振動波は焦点を合わせれない。

 ウイークエンダーの2つのこぶしに、腕からせり出した装甲が重ねる。

 シンプルだけど必殺の、全体重を最高まで加速した、パンチ!

 狙うのは、震えてぼやけて見えるショックダイルのアゴ、二つ!

 当たった瞬間、この戦いで最も大きな衝撃が起こった。

 アゴは、もうぼやけていない。

 少し体にめり込んで、ひしゃげたかもしれない。

 ショックダイルが、後づさる。

 その先には、崖があった。

 踏み外す、後ろ脚。

 そこから這い上がる力は、もう残っていなかった。

 黒い巨体は、岩を砕き、低い木や草花をはぎ取りながら落ちていく。

 

 こうして、戦いは終わったの。

 こんなときは、「うれしい!」みたいな感情は浮かばない。

 ただ、「もう考えなくていい、耐えなくていい」という感情が浮かぶだけだよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ