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5.火山を食う者

 2機の北辰は、山の峰まで駆け上がると、頭だけを峰の向こうへ向けた。

 ウイークエンダーが着地する。

 ゴロゴロした感触があるけど、倒れることはなかった。

 ワイヤーが外される。

 斜面の上で、北辰の一機が「ついてこい」と言わんばかりに首を振っている。

 その背中にあるのは、レーダーの連動した2門の35ミリ機関砲。

 2機はそのまま峰の向こうへ。

 私はそれを追う。

 両手両足がAIのサポートを受けて這いあっていく。

 峰の向こうは、谷間だった。

 永い間に雨や雪が削った、草一本ない深いものだね。

 底には雪がのこってる。

『うさぎさんは、いつでも谷を飛び越えられる体制で待機してください』

『了解』

 対空砲を積んだ北辰は、次の峰へ、そこから左右に分かれていく。

 映像は、奇麗に送られてくる。

 私がいる谷間のすぐ向こうで、いくつもの火花が散った。

 きっと音が聞ければ、金属のような炸裂音だろう。

 本物の大砲。105ミリ砲の砲撃だよ。

 ホクシン・フォクシスが持つ北辰は、全部で4機。

 2機が35ミリ機関砲をのせ、2機は105ミリライフル砲を持つ。

 火力よりも、こういうでこぼこした地形での機動力を武器にするチームだよ。

 やがて地面を響かせて、巨大なハンターが現れた。

 その姿は、太ったワニのようで……。

 と書くのは、ボル先輩に失礼かな。

 黒いうろこの怪物だった。

 その胴体は曲がる部分があるとは思えないほど硬い。

 尻尾と首は何とか動いている。

 4本の足は最も動いているけど、硬さの差はほんのわずかだと思った。

 そして頭は、胴体がもう一つついたように太い、口というより、二つの上下すべてに刃物が並んだこん棒だよ。

 その前に、105ミリ砲を担いだ北辰が攻撃しながら、私の方へやってきた。

 35ミリ機関砲の2機もそこに加わり、砲撃をかける。

 私のウイークエンダーには背中にレーザー砲と2連装の120ミリ滑空砲がある。

 そのコンテナを押し上げた時、ハンターが動いた。

 口から、空間を歪ませて何かが放たれた。

 カンで分かった。叫びだ。

 それも超音波、金属でも岩でも砕ける、巨大なエネルギーだ!

『みんな、飛べ!』

 誰かが叫んだ。

 ホクシン・フォクシスがジャンプした。

 私も遅れて飛ぶ。

 空間のゆがみが、ぐんぐん伸びていく。

 まずホクシン・フォクシスのいた地面が、波を打って砕ける。

 この時、ハンターは私に気づいたらしい。

 叫びをこっちに向けてきた。

 地面を砕きながら音波が伸びる。

 私が着地した後ろで、さっきまで隠れていた谷のふちが丸く削られていった。

 勢いよく破裂した岩や巻き込まれた草花が、谷を一瞬で埋めていく!


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