表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/125

41.異界と経済

(パーフェクト朱墨、パーフェクト朱墨)

 心のなか限定でつぶやいてみる。

(愛情がこもった良い名前だね)

 ウイークエンダー・ラビットは、お母さんかつけてくれた。

 ラビットはうさぎのことだし。

 うちのきょうだいは、みんなそう。

 でも、パーフェクト朱墨は誰が考えたんだろう。

 朱墨ちゃんのお母さん、疾風子さんが?

 ・・・・・・どんなネーミングセンスかは、知らないや。

 もしかして、アーリンくん?

 そんなに朱墨ちゃんを認めてたのかな。

 だったら、うれしいな。

そう思うと、足どりも軽くなるね。


 達美さんを前にエスカレーターをのぼる。

 1階は空港から運ばれた荷物を受けとる場所。

 小さな売店がある。

 2階からは会議室が、3階からは空港の管制室がある。

 管制室のなか以外、人気はない。

 飾りっけなんて、1階にはられた地域のポスターしかない、灰色空間。


 だけどね、グロリオススメは違うよ。

 グロリオススメは、このビルの屋上を改装して作られた。

 ポルタ社の建築用3Dプリンターで。

 長いアームがグールグールと回りながら、先から特殊樹脂をだして固める。

 そして一晩でできた大きなドームが店舗なの。

 ひさしの飛びでた傘みたいな屋根は、ツヤのある黒。

 黒瓦と同じツヤ。

 その下の壁は、窓を大きく作った白。

 しっくい作りの和風建築をイメージしている。

 もともとあったエスカレーターのならびから少しはずれて設置された、最後のエスカレーター。

 それをのぼると、私の家にあるようなエントランスがあらわれた。

 黒い瓦屋根をのせた太い木の柱に、厚い木の扉。

今はその柱に、貸し切りの札がかかってる。

 自動ドアのそれが開くと、明るく照らされた店に入った。

「いらっしゃいませ」

 入ってすぐ左。

 レジが併設されたキッチンから、パティシエのお兄さんの声。

 有村 修さん。

 この人の作務衣は青だ。

 左肩の白い藤の花の刺繍は、この店のスタッフの証。。

 そして仕事中は白マスクを外さない。

「こんばんは。今夜は私もお客さんでいいんですよね?」

 私のパティシエ師匠でもある。

「もちろんです」

 うーむ。師匠に敬語を使われると何かムズムズする。

「それじゃあ、カプチーノください」

 この店は飲み物の最初の一杯は無料なんだ。

「はい。そうだ、先ほど拝見した動画、大変興味深く引き込まれました。

 生きる限り、リスクを背負う時がくる。

 そのときに必要な意志のつかいかたをみせられました」

「そうですか、ありがとうございます」

 バッグからサイフをだす。

 アーリンくんにデザートを。

 きっと落ち着くよ。

「すでに、出せるものは全て出しました。

 若干胃もたれになってるかもしれません」

「うさぎの分も、そこから選んでよ」

 達美さんに言われた。

「そうですか」

 私は、バックから取りだしかけたハンターキラー小判を戻した。

 小判。あの江戸時代にあった、金を楕円形にして作った金貨の、現代版だよ。

 暗号世界にこっちの世界の紙のお金を持って行っても、ただの紙。

 クレジットカードなんかさらに使えない。

 だったら、溶かせば金の延べ棒にできる金貨の方が使いやすいことから、生まれた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ