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117.閻魔 文華の復活

 ついに謎に包まれた、閻魔 文華が立ち上がります

 彼女自身が作り上げた、狂気の軍団こん棒エンジェルスに、どう立ち向かうのか? 


 皆さん、お盆は楽しめましたか?

 僕は石川県最大の川である手取川へ行ってきました

 皆さんの手取(お給料、おこづかい)が増えるよう、お祈りしてきました

 そして福井や石川の恐竜博物館めぐりへ

 質問したけど、答えはないかもしれない。

 安菜にとっては、知らなくても問題ないことだから。

 でも。

「王夫妻だけで来た理由は、伝わってたよ」

やっぱり。

「王夫妻は娘の、ルルディ本国のミスを清算するために来た」

 それでも、知ってしまうのが安菜だから。

 今度は手を止めない。

「それに地球の戦力を使うのを、よしとしなかった。

 でも・・・・・・」

 と、しばらく考えて。

「どうするかは、ノーブル・アンビルでも意見が分かれてた。

 それでも、王夫妻に反対してても、騎士はみんな来たらしいよ」

 と言うことはつまり。

「あんたたちだけじゃ、閻魔 文華には勝てないと思ったのかな」 

 思ったより物騒な話になってきた。

 やっぱり我が主君は有能だ。

 だからこそ怖い。

 こんな感じで、いろんなことを知っていって、その分いろんな危険を引き込むかもしれない。

 それが、怖い。


 でも私の心は、強い安心感で満たされてもいたの。

 プロウォカトルみたいな組織以外でこういう問題を扱ってくれる人って珍しい。

 そういうちがう境遇の人と地続きだと思うと、自分はどこへ言っても大丈夫。

 そんな気持ちになる。

 だからかな。

 今ここでは安心できる。

 気がつけば、テーブルに突っ伏した。   

 寝ていたんだ。

 爆発音と振動に、たたき起こされるまでは。


――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――



「何事?! 」

 テーブルから跳ね起きるつもりで、体を伸ばす!

 だけど変だ。

 体の向きがちがう。

 何かが体にかけられてる。

 暖かい・・・・・・。

「ここは仮眠室だよ! お姉ちゃん! 」

 弟、みつきの声だ。

 同時に暖かいものがはぎ取られる。

 毛布だったんだ。

 本当だ。

 そこはベッドの中。

 キッチンから、寝てる間にうつされたんだ。

 じゃあ、さっきの爆発は!?

 今も、連続して基地がゆれてる。

「こん棒エンジェルスが、また逃げ出したんだよ」

 次はしのぶ。

「今度はポルタに集まった時に、一斉に! 」

 ええ! また?!

「ぜんぶゲコンツ星の輸送部隊が悪いんだよ! 」

 泣きつくように訴える。

 その間も2人は、ベッドをドアの前に運んでいく。

 バリケードにするつもりだ。

 私もあわてて加わった。

「あいつら、ポルタの向こう側の迎え入れが遅いからって、装甲車でキャプチャーを押し込みだしたんだ! 」

 とたんに、恐ろしい光景が目にうかんだ。

 人1人が入る黒いボール状のキャプチャー。

 それに、あの巨大な黒い装甲車がぶつかっていく。

 その先にはポルタが。 

「状態の悪いキャプチャーもあったよね。

 手がはみ出してたりとか」

 まさかそんな物までは・・・・・・だけど。

「そんなの気にしてないよ!

 だから、キレちゃったんだ! 」

 希望は、完全に打ち砕かれた。

 と同時に、自分に絶望した。

 何も分からないうちに、ベッドにつれられて寝かされた。

 たぶん、安菜に。

 今だって、弟と妹に教えてもらわなければ、寝起きのまま混乱していたはずだ。


 その時、ドンドンと音がした。

 ドアが乱暴にたたかれてる。

「うさぎー!

 開けて開けて! 」

 安菜の声だ。

 この上ないほど、あわててる。

「何やってるの! 」

 こっちも上ずった声をあげた。

「こんな時はドアを閉めて閉じこもるもんだよ! 」

 そうなんだ。

 安菜はプロウォカトルの職員じゃないから、知らなくても仕方ないんだ。

 だけど。

「そんなのブッ壊されたよ!

 閻魔 文華に!

 ド、ドア開けて! 」

 そっ、そうなの?

 一度おいたベッドを、引っ張ってずらす。


 ドカン!


 軽いベッドだね。

 もう2、3個おかなきゃダメだ。

「いえ、それはお姉ちゃんが怪力なだけ」

「とてもマネできないね」

 せっかくのほめ言葉も、聞き流す。

 爆音と振動は、止まった?

 ドアが開いた。

「ここにも、こん棒エンジェルスがきたの! 」

 叫びながら、安菜が飛び込んだ。

「そしたら、閻魔 文華が飛びだしていって!

 ああ、文華はだいぶ前に目覚めたよ。

 その後、私のキャセロールをたらふく食べてたんだけどーー」

 キャセロールができたということは、5時間以上は寝てたわけだ。

 で、後ろのお姉さんは誰?

「え? 誰? 」

 誰って、黒い髪が長くて。

 痩せてて。 

 40歳くらいの。

 なぜか手に黒光りするお皿状のものを持っている。

 そこから、よく焼けたキャセロールの匂いがして・・・・・・。

 そうだ。

「閻魔 文華だ! 」

 叫んだけど、悲鳴と同時にでたから、言葉に聞こえなかった。

 文華の手には耐熱容器があるはず。

 けど、自分の魔法炎で包んだんだ。

 右手にフォーク。

 キャセロールを乱暴にすくって、怒りでゆがんだ口に放り込んだ。

 あのボロボロの服は、グレーの半袖とリラックスパンツになっていた。

 たぶん、朱墨ちゃんの家族からもらったんだ。


 安菜がベッドを踏み越えて逃げてくる。

 必死の表情で。

 私は手をのばす。


 閻魔 文華がフォークをもったままの手を安菜にふった。

 無造作に。

 たったそれだけで、透明な何かが放たれた。

 水?

 そんなはず、ない。

 体から落ちずにまとわりつき、しかも円形に固まるはずがない!

 キャプチャーだ!

 つかまった!

「安菜 トロワグロ。

 貴女には一緒にきてもらう」

 荒々しい声がした。

 身動きの取れない安菜は、宙に浮いたまま、文華と向き合わされる。

「今の私の、怒りの見届け人として! 」

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