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116/119

116.カイジュー・キャセロールはいかが?

 最近「ひみつのアイプリ」をよくみてます

 緊張しがちな主人公が、うさぎを思わせて

 アニメ化したらあんな感じなのかな

 あだます!

「ついてきてください」

 朱墨ちゃんが案内してくれる。

 みつきとしのぶも、ついていくけど眠そう。

 歩きながら工場を見ていた。

 設備は、たしかに新しい。

 でも、たたんだボロ毛布が、床にほったらかしだった。

 大きめの機械を包んで運ぶやつだ。

 あっちの鉄の缶は灰が敷き詰めてあって、吸い終わったタバコが何本もさしてある。

 こういうのが、田舎だな。

 応援のルルディ騎士たち、イヤだと思うかな。

 だったらイヤだな。


――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――


 工場のエリアから、ドアをぬけて廊下にはいった。

「こっちが仮眠室、そっちがキッチンです」

 朱墨ちゃんが言うと、安菜はすばやくキッチンにむかった。

「中のものは、自由に使って良いのかな」

 朱墨ちゃんは。

「ええ、いいですよ。

 冷蔵庫にショックダイルの肉があります。

 トリ肉みたいな味でしたよ」

 安菜は満足そうにキッチンのドアを開けた。

「では、ここは私に任せてもらいます」

 安菜の宣言に、みつきとしのぶが、おどろいた。

「ええっ? 」

「いいんですか? 」 

 でも私にはわかっていた。

 安菜って、そういうやつだよね。

 ただし、私の手を引いて。

「うさぎは、ちょっと付き合って」

 うん。お任せあれ。

「料理なら私も作れるけど、ロボットを動かすのはあんたたちにしかできない。

 今は、休みなさい」

 安菜に言われると、双子たちもようやくしたがった。


 ガスコンロ、オーブン、食器棚、水道、冷蔵庫。

 6、7人は座れるテーブルとイス。

 良かった。

 ちゃんとした物だ。

 まずは2人で手を洗う。

 あ、金沢カレーのレトルトがある。

 B級グルメで全国的に有名なやつだ。

「それは閻魔 文華のお土産にしようよ」

 じゃあ、冷蔵庫をチェックしてみよう。

「これがショックダイルの肉か」

 大きなタッパーを取りだす。

 フタに中身を表示するシール。

 プロゥォカトルが規定したシールなんだ。

 開けると、本当にトリ肉そっくりだった。

 いつもながら、実に不思議だ。

 この肉の持ち主が、どうやって火山のエネルギーを食べて、離れたものをブッ壊す超音波を放てるんだろう?

 悩んでしまう。

 そしたら、安菜にタッパーを取られた。

「これは私がやる。

 あんたには聴きたいことがあるの」

 そう言うことか。

 なら、イスについて、待たせてもらう。

「あ! クタクタになった人はガッツリしたものを食べさせちゃいけないんだっけ? 」

 そのへんは、他の人が考えるでしょう。

 安菜は、もっと後の食事を考えた方が良いかも。

「そうか。

 じゃあ、遠慮なく・・・・・・」

 食材探しは続く。

「シチューのもとか。

 塩、コショウ、小麦粉・・・・・・」

 怪獣のフリカッセなら作れそう」


 フリカッセ!

 具材を生クリームで煮込んだ、冬の名物フランス料理だよ。

 あの時はトリ肉。

 2~3時間、やわらかくなるまでよーく煮込んでいた。

 で、小麦粉で炒めて旨味をしっかり閉じこめる。

 それを生クリームでよーく煮込む。

 あのすばらしい肉の旨味を思い出した。

「スパゲッティがある!

 キャセロールにするよ」

 キャセロール!

 フランス語で、なべ料理のこと。

 だけど野菜や肉を耐熱容器にいれてオーブンで焼く料理をしめすこともある。

 安菜はフリカッセができたらスパゲッティをまぜて、オーブンで焼くつもりだ。


「この上ないじゃない! 」

 ガバッと立ち上がってしまう!

 私の勢いに、安菜は若干引きぎみ。

「そう? ありがと」


 あ、でも1つ問題が。

 トリ肉のフリカッセだと、肉を煮込むのに2~3時間かかった。

 それをキャセロールにすると、チーズを乗せてオーブンで1時間焼かなくちゃならない。   


 ・・・・・・ま、良いか。

 夜は、まだ長い。

 夜明けは、まだ未来の話だから。

「そうそう、今は眠りなさい。

 と、言ってあげたいところだけど」

 何だい。

「あのさ。

 近々発表することかもしれないけど、はーちゃんのこと、調べてもらった」


 こういうのも、安菜のそういうところなんだ。

 それでも、おどろいた。

 「さすが安菜! 」なのか「余計なことしてくれた! 」なのか

 どちらが正しいのかはわからない。

 とにかく、おどろいた。

「ノーブル・アンビルに、機械に強い人がいたの。

 その人が、不思議なことを言ってた。

 はーちゃんが壊れたのは、熱で焼き切れたとか、機械がメチャクチャに動いたとか、そう言う普通の理由じゃないって」

 肉を切り分けていた、安菜の手が止まった。

「まるで機械が勝手に組み変わって、別の機械になった。

 そんな痕跡があるって。

 私も見たけど、装甲とか、内張りとか、いろんな部品が重なりあってた。

 ミルフィーユみたいに」

 パイ生地とクリームを重ねる、お菓子。

「コンピュータの基盤みたいなものかな」

 いつもならレシピごと、味も見た目もすぐ思い出すのに。

 今は考えることさえできない。

 そのかわり、気づいた。

「そうか!

 MCOがはーちゃんの願いをかなえるため、閻魔 文華を呼びだすのにふさわしい姿にかえたんだと思う。

 そう言ってた」

 安菜の手が、また動きだす。

 その機械に強い人の言う通りだと思うよ。

「そうか。

 それから、はーちゃんが安らかに逝けたか聴いてみた。

 けど、わからなかった」

 それが安菜と私には、一番辛い。


「あの、さぁ、私からもいいかな」

 ノーブル・アンビルと一緒にいた安菜なら、わかるかな?

「王夫妻は閻魔 文華がここにいると知って、騎士団をおいて勝手に来た。

 騎士団は王夫妻の考えを知るため追いかけて来た。

 それで、騎士団は報われたと思う? 」

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