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114/119

114.私の古い困惑、怒り

 この作品の主人公、佐竹 うさぎはよい子です

 でも、それが世界のどこまでも伝わっているわけではありません

 そもそも無理です

 そしてそれは、うさぎにとってもそうです

 世界にたくさんいる人の心を完璧に理解するなんて、できません

 そんな彼女がもらった「分かってもらえた」は、本当に分かってもらえたのか、その方がお得だからなのか

『どうか、答えてください』


 ルルディ王夫妻が急かしてくる。

 私は思った。

 やっぱり、と。

 それが真っ先に感じたコトだった。

 今の夜よりも暗い、進む道が見えない気持ちになる。

 だけど前ほどじゃ、5年くらい前ほどじゃないや。

 前なら、大声で泣きだして、止まらなくて。

 慣れたのかな。

 それはそれで、寂しいかも。

「魂呼長官にしても、プロウォカトルの全職員にしても、以前受けた被害を理由に、勝手に攻撃することは、ありません! 」

 言った。

「したとしたら、それは仲間ではありません! 」

 こんな時のために、ずっと考えていたセリフを言った。

 本当は、ほかにも言いたいことはたくさんある。

 長官と、その父親を捨てた母親のこと。

 長官の体は、ほとんどが機械のこと。

 それで母方の故郷からも人間として見てもらえないこと。

 思いだす、私を形作る、たくさんのこと。

 だけど今は、言うべきじゃない。

 それも、話を短くまとめることも、王夫妻の要望だからだ。

 言えない、くやしさはグッとがまんして。

「そして、私はそれで良いと思っています。

 以上、通信終わり!! 」


 ピッ


 ああっ切っちゃった。

 思わず、切っちゃった!

 役人のお仕事としては正しい、のかな?

 王夫妻に、それが分かってくれるのかな?

 私には分からない。

 あの夫妻のことは、良い人たちだと思っているよ。

 娘を追って2人だけでやって来て、今は困りきっている。

 きっと、同じことをする人は、地球にだってたくさんいる。

 それでも・・・・・・。

 心の半分は、疑ってる。


 私は、自分が美しい・・・・・・とは言えないにしても、美しくありたいと思ってる。

 そしてそれは、ある程度成功したと思ってる。

 だって、安菜たち友だちも、みつきやしのぶたち家族も、話しかければ笑顔で答えてくれる。

 だけど、王夫妻は外部の人だ。

 私は、どう見える?

 プロウォカトルと言う得たいの知れない組織の、巨大ロボットと言う訳の分からない兵器をあつかう変な人。

 そう言えば、「何に悪用するか分からない」と面と向かって言われたこともある。

 それはルルディ騎士だった。

 この作戦に参加してるかは、調べない方がいい。

 いたら、私は必ずキレるから。

 ため息がでるよ。

 自分がイヤになるよ。


 その時、またスマホに呼ばれた。

 また、達美さんだ。

 話したくない。

 きっと、ルルディ王夫妻からの伝言だ。

 でも、話さない選択肢はない。

 話すのが、私の仕事のひとつだからだ。

 これからどうなるか。

 分からない不安を振り払い、スマホを繋げる。


 ピッ

 

『ルルディ王夫妻から伝言。貴女方を信用します。

 文華を託します。だって』

 ・・・・・・分かってもらえたみたい。

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