113.私に挑む勇気
今回のゲスト、ルルディ王夫妻は、元々は荒々しいキャラでした
それが書いてるうちに、弱りきった悩める夫婦になってしまった
何でだろう?
そこで思い返したのですが、昔どこかで見たガンダムだったかの設定の話を思い出しました
いわく、「ガンダムは子供が主人公の話だから、敵は大人にするしかない。だから連邦は腐敗ばかりするのだ」だったかな
それを知ったとき、まずあきれました
その程度の理由でできたキャラの動きなら、リアリティーなんか無いや
本人の感じる必然性性もない
覚えてたって意味ないや
そう思ったんです
それでかな
僕のキャラは書いてるうちに、愛情深くなっていくのは
こん棒エンジェルスでさえ、絶対あきらめない美徳(?)を発揮します
あれ?
これって前話したっけ?
こん棒エンジェルスの護送は、スムーズにいってない。
巨大キャプチャーが、大通りの交差点を占領してるから。
その大通りが、帰りのポルタに直結してるんだ。
問題の巨大キャプチャーは、すぐには消せない。
なんでも、中はボルケーナ先輩が暴れた余波で、得体の知れないエネルギーが渦巻いてるとか。
それが静まるまで、消せないらしい。
そして、原因となった敵は。
『死にたくないです。文華さまぁ』
巨大キャプチャーの表面で固められてる。
先輩は彼らのことを変態、と言ってた。
先輩は巨大キャプチャーを逃げ回るとき、しっぽで文華のキャプチャーを縛りつけていた。
こん棒エンジェルスはそれに、死にものぐるいでしがみついてきた。
『戦って、戦ってくださぁい』
ああやって泣きながら、文華に戦いをねだるために。
今、巨大キャプチャーの表面では、ルルディ騎士団とハンターキラーや消防隊による、捕獲作業が行われてる。
『うワッ! でっかいハサミだな』
騎士が聴いた。
近づくハンターキラーが持ってきた、電動油圧ツールのことだ。
さっきから交差点の様子を撮影してる人だ。
両手で持ち運べる長い銃みたいな本体。
その先に30センチくらいのハサミ部分がある。
『40トンの圧力で挟めます』
ハンターキラーが言った。
『足りませんか? 』
と聴くと。
『いや、なかなか良い』
たしか、ルルディ騎士のキック力が30から40トンくらいのはず。
あっちのこと、気になる。
だけど私は、違うところに電話しなくちゃいけない。
こん棒を奪って殴ろうとした、ルルディ騎士に。
早くすませないと、護送がはやくならない。
なれない説教でも、やらなくちゃ。
まずは。
「プロウォカトルの佐竹 うさぎです。
ウイークエンダー・ラビットのパイロットで、現場部隊の大型ロボットの指揮を取ってます」
そして、こん棒を奪わないでほしいことを説明した。
『ハイ! すでにお返ししました!
ごめんなさい! 』
上ずった、緊張しきった返し。
次に、捕らえたこん棒エンジェルスを攻撃してほしくないことを伝えた。
『やっぱり、そうですよね』
殴った場合、ゲコンツ星との重大な問題になり得ること。
「せっかく迎えに来たのに、それがムダになりますからね」
『そんな深慮遠望、ワタクシにはできませんでした!
申し訳ありません! 』
様子は、望遠カメラで見えてる。
こっちに向かって、謝る度に頭を深々と下げてる。
そして、前に私が同じようなことをして、お父さんに怒られたことを伝えた。
『その事はどのSNSにも出てませんでした!
やはり、そんなものだけで判断するのは、危険ですね! 』
私だって、危険だと思う。
それにイヤだな。
自分の行動のせいで他人に恥をかかせるなんて。
この事は、ここにいるすべてのヒーローに伝わると思う。
その第一回がルルディ王夫妻に、ボルケーナ先輩に、達美さんの前で起こったんだ。
きっとイヤな印象に残った、よね?
(まあ私への罰には、ちょうど良いかもしれないけど)
それにしても、そのルルディ騎士さん、やたら格式張った話し方をしてる。
正直、不自然。
本音で話してない感じがする。
私は、正しいと思ったことを正しいように話した。
それを作ったような話し方で返されると。
分からなくなる。
相手も正しいと思って返したのか、それとも私の立場を恐れてるのか。
でも、不問にしよう。
話しは終わったんだ。
切り替えないと。
交差点での護送の列は?
まだ、つまってる。
先輩は、しっぽをまだ、ほどけない。
凝固剤のせいだ。
使ったまま体を動かさないでいると、カチコチに固まるんだ。
本当なら先輩の体は液体だから、トロリと溶けるのに。
ますますイライラしてきた。
その時、またスマホに呼ばれた。
「はい、佐竹 うさぎです! 」
思わず怒鳴り声になった。
いけない!
『真脇 達美だよ。
そんなに怒鳴りたかったの? 』
「いいえ! そんなわけ無い・・・・・・のかな? 」
激しく後悔した。
『ルルディ王と王妃が、どうしても質問したいことがあるって』
イヤ、とは言えなさそうだね。
「分かりました。
聴きましょう」
スマホが他人に貸される気配。
このまま話せば良いんですね。はい。と聞こえて。
『はじめまして。
閻魔 祝、文華の父です』
『閻魔 会苦、文華の母です』
息を吸って、はいて。
「プロウォカトルの佐竹 うさぎです。
ウイークエンダー・ラビットのパイロットで、現場部隊の大型ロボットの指揮を取ってます」
緊張で、早口にはならなかった気がする。
『はい、存じております』
これは、王妃さま。
えんま えく、さんだね。
『貴女の素晴らしい戦果については、承知しています』
『また、MCOを求める事情についても、理解しています』
こっちは王さまだ。
えんま はふり。
祝いと書いて、はふり、だね。
『しかし、その事を語る時間は、残念ながらありません』
しっかりした、聞き取りやすい早さの声。
本人たちの、高い実力をうかがわせる。
だけどね・・・・・・。
『今は、答えていただきたいのです。
プロウォカトルの落人 魂呼長官は、文華によって両腕を失いました。
その彼女は、文華に復讐しないのでしょうか? 』