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112/119

112.私がやらせた盗みは


『たぶん文華は、果てしない不安の中にいます。

 だからバリアを張って、立てこもっているんです』

 何も食べず、命をけずりながら?

 そういうことだよね。

 今の会話をしてるのは私と朱墨ちゃん、その後ろにいるアーリンくんだけ。

「だけど、それをみんなに話して、信じてくれるかな? 」

『そんなの、本物を見ないと分からないですよ! 』

 たしかに、朱墨ちゃんの言う通りだけど。

 それって予測はムダなことってこと?

『予測したことはムダになりません』

 アーリンくんの言葉。

『起こりそうなことに対する、心構えはできたでしょ』

 さすが。

 アーリンくんが朱墨ちゃんとっての、私にとっての安菜みたいな存在なのかな。

 だったらいいな。

「そうだね」と答えておいた。

 本当は、今も不安を感じながら。

『良かったこともあります。

 こん棒エンジェルスをスピーディーにとらえることができました』

 そうか・・・・・・そうかもしれないね。

 夜の帳が明るく開いていくシーンは、映像としては美しい。

 けど、やる方はとんでもない。

 そう考えると、今の状況はまだマシなのかな。

「ありがとう。

 もうヒトガンバリしようね」

『『了解』』

 話のおかげで、決心ができた。

 早く終わらせて、休ませなきゃならない人が、大勢いるんだ。


『こん棒エンジェルスが、また来るぞ』

 朱墨ちゃんのパパ、そしてホクシン・フォクシス副隊長の九尾 大さんだ。

 本当だ。

 私たちの足元、河川敷にゾクゾク集まってくる。

 河川敷のすぐ横にある、ポルタを目指して。

『あの、佐竹隊長』

 ホクシン・フォクシスの心晴です』

 あれ? と思った。

 なんだか、困ってる?

『護送の列から、あなたに質問が来ています』

 質問?

『動画を見ていただいた方が、早いそうです。

 それを見てから説明を、こん棒エンジェルスにしてほしいそうです』

 それは・・・・・・何だろう?

 

――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――


 その道は、もう少し行けば巨大キャプチャーのある所。

『放せよお! 』

 ロボットに抱えられたキャプチャーから、こん棒エンジェルスが叫んでる。

『私たちは無実なんだよ! 』

 キャプチャーは、あまり黒くない半透明。

 一方、ロボットの腕は、人の胴体ほど太い。 

 キャプチャーと腕なら、腕の方が強そうだ。

 次のキャプチャーも、半透明だった。

 なんだ。

 ルルディ騎士団が来る前と、あんまり代わりないじゃない。

 でも、分かるかも。

 キャプチャーは同じもの。

 使う人間も地球人なら、大した差はないのかな。

 それより目をうばわれた。

 騎士団とハンターキラーが、ちゃんと列をつくって運んでる。

 ルルディ王夫妻の気持ちは、伝わったんだ。

 今も従ってると言うことだよね。

 これもきっと、良いことなんだ。

『だいたい、お前らが悪いんじゃないか?! 』

 文句は止まらない。

『我々は、こん棒を贈った!

 滅びた星の遺志を込めたやつだ!

 それで鍛えてやろうと言うのに! 』

 滅びた星の遺志・・・・・・MCOのことだね。

 彼らはそれが生まれたことを、悲劇だと思ってるのかな。

『そうだ!

 何で我々の願いを叶えない?!

 さっさと終わらせようとしないんだ?! 』

 カメラの持ち主が、叫びの主に向かう。

 たぶん、ハンターキラーが。

『あなた達が街の上にぶちまいた木や鉄の固まりから、何を学べばいいと言うんだ?! 』

 本気の怒りの叫びだ。

 それに対する、答えの叫びは。

『そのこん棒こそが学びだ!

 お前たちはそれをーー』

 叫びは、何か布をこするような音がたち切った。

 同時に、カメラが大きくゆれた!

『こん棒、貸してください! 』

 新たな声の主が、ハンターキラーをゆらしてるみたい。

 ハンターキラーのカメラは、ヘルメットについていた。

 そのカメラが、後ろを向く。

 そこにいたのは、黒い鎧。

『アイツらをブン殴ってやるんです! 』  

 ルルディ騎士だった。

『何そんなムダなことするんだ?! 』

 ついに、つかみ合いになった!

『だって、だって、佐竹 うさぎも殴ってたじゃないですか!

 ハテノ市の、シロドロンド騎士団の時に! 』 

 マイケル副団長を、殴ろうとした時?

 あれも動画を流されてたんだ。


――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――


 情けないなぁ、私。

「あのあと、お父さんにスッゴク怒られました。

 それに体罰なんてムダだって伝えます」

 身からでたサビが、この忙しい時に。

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