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102/109

102.文華を襲う者

『佐竹 機動隊長』

 サタケキドウタイチョウ・・・・・・ああッ私のことだ。

『ポルタ社の社長、真脇です』

 達美さんの、お兄さんからの連絡だ。

『同じ作戦区域での、七星実験隊による作戦の許可を申請します』

 機動隊長、って肩書きは、何度言われてもなれないね。

 それとも、私が子ども扱いされつづけてるのかな。

 だったら嫌かも。

『こちら、佐竹 うさぎ機動隊長。

 作戦を承認します』


 巨人は、文華におおいかぶさったまま。

 転がった遠隔操作ロボットのカメラも一緒に。

 そこは、百万山神社から延びる2本の道のほかに、川沿いを走る道につづく道も繋がる、十字路なんだ。

 だから、すごく広くて、目立つんだ。

 なのに、逃げようとも構えようともしない。

 巨人は全身が宝石のような黒い炎の固まり。


『うさぎ、選手交代! 』

 達美さんが通告した。

 と同時に、巨人の背中がオレンジの炎を受けて飛び散る!

 私を追い抜いていった、七星のうち6機。

 ジェットで空中に制止して、半円形に広がり、取り囲む。

 その腕につけられた機関砲が、容赦なく連射する。

 あの中には達美さんも武志さんも、真脇社長もいる。

 七星と、こん棒エンジェルスのサイズは、ほぼ同じ。

 巨人の体が揺らいだ。

 それでも、動かない。

 

 ガリガリ ゴリゴリ

 

 あれ?

 路上のカメラが、何かを引っ掻くような音を拾ってる。

 攻撃の音と、違う?


 機関砲が時間を稼いでる間に、残りの七星は道路ぞいに並んでいた。

 リッチー機がいないから、5機だ。

 連射が止まった。

 

 まず突っ込んだのは、七星じゃなかった。

 ボルケーナさんだ。

『しっぽパンチ! 』

 路面のカメラにも届く大声。

 その姿はしっぽを下におろして飛ぶだけ。

 全長はどう見積もっても2メートルほど。

 なのに電線が切れる。

 カメラをはねあげ、信号機をねじ曲げて、巨人をずり動かした!

 アスファルトがグシャグシャにめりこむ!

 続く七星は、青い光の槍を付きだしていた。

 左手には同じ光で作られた盾を持っていたけど、今は使わない。

 両手でかまえ、突く!

 その勢いのまま、飛び去った。

 続いてピンクの刃のハルマードが叩きつけられた。

 長い柄に大きな三ヶ月型の刃をもつそれは、すごく重そうだ。

 固いはずのアスファルトが、また飛び散る。

 七星は、リーチが長く、重い攻撃の順番に襲っていた。

 次は、赤い薙刀が叩きつけられた。

 白い反りのある、日本刀そっくりの刀が振り下ろされる。

 最後は緑の短剣、二刀流。

 この人がもっともハデだった。

 ダンスのように両腕を広げ、スピンしてる。

 まるで、緑の竜巻だよ。

 そのすさまじい勢いのまま、頭から飛んでいく!

 

 カガガガガ!


 巨人に無数の切り傷が刻まれる!

 次々に襲う攻撃は、アスファルトを巻き上げたまま、辺りをおおいつくした!


 交差点には、警察署もある。

 まだ人がいるはずだけど。

 ごめんなさい。

 

 切り突けた七星たちは、交差点を囲んで巨人を見張り、かまえる。

 巨人は・・・・・・まだ人の形をしていた。

 

 ガリガリ ゴリゴリ


「この音、なんですか? 」

 カメラはレンズが割れたのか、映像ははっきりしなくなった。

 だけど、音はとらえてる。

 攻撃の音じゃなかったんだ。

 その音は、やっぱり何か引っ掻くような音。


『・・・・・・タケくん、一緒にきて』

 達美さんだった。

 謎を解き明かすために動きだした。

『アイツをひっくり返したいの』

 それに対する答えに、迷いはなかった。

『うん、わかったよ』

 それに会わせて、地上にいる5機とボルケーナさんも動きだした。

『捕まえるの、任せて』

 青い盾が道路いっぱいに、6人を守るために広がる。

 七星たちが使うあの光は、魔法炎に似たものみたい。

 ただし、形は変えやすいものらしい。


 達美さんと武志さんの機体は、ボルケーナさんたちの突撃と同じ軌道と速度で飛んだ。

 違うのは、素手であること。

 手は平手で、体まで引きつけている。

 お相撲の突きを放つ直前のように。

『どすこーい!! 』


 ドドン


 お相撲の突き、そのものだった!

 少なくとも達美さんにとっては!

 ただし、軌道は急な角度を描いて、空へ延びていく。

 巨人は下からの衝撃にひっくり返され、青い盾に叩きつけられた。

 盾が消える。

 うしろに並んだボルケーナさんと七星たちが飛びかかった。

 そのとき、見えた。


 巨人の手の中に、黒い丸いものがある。 

 文華自身がだした、魔法炎のバリアだ。

 それで身を包んでいたんだ。

 巨人は、それをつかんでいた。

 爪で文華のバリアを引っかき、牙でかじりながら。

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