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9.ハテネーゼのお祭りは

 地域文化というのかな

 この街、ハテノ市に住む人たちは、日本のほかの人たちとはちょっと違う。

 ハンターキラーに限らない。

 ハテネーゼと呼ばれる人々が、ここで盛り上がっている。


 テントの入り口は、高さ53メートルのウイークエンダーが入れる特殊繊維製のドア。

 それもあるけど、今回は車両用のシャッターで。

 ビニールのすだれをくぐると、ああああっ! 涼しい!

 中はまさに、お祭り広場。

 そして、この街ならではの光景が広がるの。

 まずは屋台。

 ハンターキラーの装備が並んでる。

 地球製なら軍用ドローンとか、銃とか、車とか。

 暗号世界なら、怪獣の体を利用した剣や盾、鎧も多いね。

 これらを目当てに、わざわざ足を延ばしてやってくる人たちもいる。

「せっかく地球にいるんだし」

「思い出づくりだよね」

 楽しそうな話声。

 全くかわいいな……。


 ごついハンターキラーの男女にならんで、紺色の学生服たちがちらほら。

「銃、詳しいね」

 クールビズ姿の大人の男性が、頭に黒い触角をもつ昆虫のような固い肌を持つ異星人に話しかけてる。

「はい! 勉強しました」

 バーストによって、普通の物理事情では起こらないことを起こす異能力者が現れたのは、もう話したよね。

 この町には、そんな異能力者のための学校があるの。

 平均的身長だった男子が突然、上下左右前後に4メートルほど膨れ上がる。

 制服も、それに合わせて膨らんでいく。

「やっぱりこのほうが背が高くても似合うかな」

「うわ。でっかいハンマーだな」

 紺色のブレザー、同じ色にチェックの入ったスラックスかスカート。

 頭を紺色の布でおおう女子もいる。ブルカだよ。

 それは、異能力者の通う学校、魔術学園の制服なの。

 制服のデザインのグレードはハテノ中と大して変わらない気がするのに。

 何となくシュッとしてる気がするのはなぜだろう。

 魔術学園は幼年部から小中学、高等、大学、大学院までそろってる。

 制服を着るのは幼年部から高等部まで。

 バーストから20年以上の間に、そんな学校もできた。

 海外や異星人の入学も多いの。

 そんな彼らの中には、ハンターキラーとして生計を立てている人も多いの。

 彼らもお客として、灰色の制服と一緒になって遊んでる。

 そうだ。安菜のママもそんな魔術学園の生徒だったね。

 能力は安菜に受け継がれなかった。


 まあ、それは置いておいて。

 目指すはクレープ、から揚げ、まるまる焼き、その他もろもろの屋台!

「ねえ、チョコバナナにしない?」

 安菜が誘う。

 懐かしいな。

 小学校低学年のころ、安菜がチョコバナナを食べようとしたとき、(やーい、共食いだ)とからかう同級生がいた。

 安菜は確かにチョコレート色。

 だからって、チョコレートを食べちゃいけないって、おかしい!

 そう思ったから、かばった。

 もともとタフだった安菜が、必要だったとは思えないけどね。

 でも、それがロマンスの始まり。

「それもいいね。あ!

 たこ焼きが2件ある! 食べ比べしよう!」


 ところで君は、ドスの効いたキンキン声というものを聞いたことがあるかな。

「わかるよ。 なんで赤いボディと白いウイングかぐらい」

 その声はお祭りのザワザワを超えて聴こえてきた。

 私の美食欲をなえさせる、怒りと憎しみが込められた声が。


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