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TSしたオレが女子バスケ選手としてプレイする話(改訂版)  作者: 武藤かんぬき


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32――研究への協力(後)


 このカプセル、中に入って所定の場所に横たわると特殊な薬液が排出口から出てきて、その中で揺蕩っているといつの間にか測定が終わっているという少し変わった装置だ。


 もちろん何もせずにそのまま入れば溺れてしまうのだが、鼻と口を覆う医療用のマスクを付けるとそこから空気が送られてくる。マスクの隙間から水が入ってこないように改良されているらしく、これまで何度か入ったことがあるけど一度も溺れたりしていない。


 バスローブを脱いで全裸になり中に入ると、少し柔らかい部分を枕にして仰向けに寝転がる。フタが締まる頃合いにお姉さんが『リラックスしてね』と声を掛けてくれたが、自分の部屋でもないのに全裸になって狭いカプセルの中に入れられる状態でリラックスなんか普通できないよな。


 マジックミラーみたいにこっちからは外が見えて、外からは内部の様子が見えないらしいからまだストレスは少ないのだが。こういう仕様だと体調や気分が悪くなった時にどうするのかと疑問に思うかもしれないけど、脈拍とか血圧とかはちゃんと逐一モニターされているらしいのとナースコールのボタンみたいなものが渡されているので、それを長押しすれば外部と連絡が取れるから安心なのだと最初の時に聞かされた。


 耳に付けたワイヤレスイヤホンから『それでは開始します』とお姉さんの声が聞こえて、少し温めのほんのちょっととろみのある薬液が流れてくる。徐々に身体が薬液に浸かっていって、ポカポカとしたぬくもりに包まれて少し眠くなってくる。


 やがて頭のてっぺんからつま先まで全身が薬液に浸かってしばし、測定開始の合図の音がイヤホンから聞こえてきた。普通の病院だと未だに電極みたいな物をペタペタと身体に貼り付けて目的の箇所を検査するのだけど、この装置だとこの薬液が電極の役割を果たすので一度に色々な項目を測定できるのだとか。例えば脳波と心電図とか、簡易だけど骨密度も測れるらしい。


 30分ほどゆらゆらと薬液の中で揺蕩っていると、測定終了のブザーがイヤホンから流れた。プールの底の方に沈んでほんの数瞬、水面の方を向いてぼんやりしたことがある人もいると思う。その時の気持ちよさとリラックス感が溺れる心配なく経験できるので、全裸にならなきゃいけないこと以外はお気に入りの検査だ。


 しばらく待っていると薬液が完全に排出されて、フタが自動的に開いていく。差し込む室内灯の光が眩しくて目を細めているとお姉さんが駆け寄ってきて、大きめのバスタオルを広げて大まかにオレの体を拭いてくれた。


「お疲れ様、しっかりデータは取れたからね。ひなたちゃんがシャワーしている内に結果を出すから、ゆっくり浴びていらっしゃい」


 こくりと頷いて薬液で濡れたバスタオルを身体に巻き、着てきた服や下着を持ってシャワールームへ急ぐ。乾くとちょっとベタベタするのが、この薬液のイヤなところだ。


 教授の趣味なのか、それともお姉さんの趣味なのか。前に来た時も思ったがここのシャワールームに備え付けのシャンプーとトリートメントは、多分こだわりの高級品だと思う。使った後の髪のサラサラ感が違う気がするんだよな。ボディシャンプーも同じく。


 シャワーから出ると備え付けられているドライヤーで髪を乾かす、もう至れり尽くせりである。化粧水があればよかったのだけど、そこまで望むのは贅沢だろう。


 オレは身繕いを整えるとさっきの装置の部屋とは別室の、教授の執務室へと向かった。コンコンとノックをすると、教授の声がして入室許可をもらえた。


「さっぱりしたかい? ささ、ここにお掛けなさい」


 パソコンを前にした教授は、まるで孫をおやつに誘うように手招きした。普段は好々爺然としているけど、研究になると目の色が変わるんだよなぁ。まぁそれはこの人に限らず、他の教授達もそうなのだが。


 オレが指示通り腰掛けると細かなデータについて説明されるが、専門知識のないオレにはちんぷんかんぷんだ。とりあえず概ね『健康で問題なし』らしい。


「ただ、部活で運動量が増えているはずなのに筋力の増量は微々たるもの。予測ではもうちょっと増えていると思っていたのだが」


 思案顔で教授にそう言われるが、むしろそれはこっちの方が聞きたい。質問されたので日々の筋トレなんかのメニューを答えると、通常であればそれなりの筋力増強があるはずなのだとか。


「前から仮説を立てていたが、やはりひなたくんは筋肉が他の女性よりもかなり付きにくいようだな。もっと長い期間観察していく方針だが、おそらく間違いなかろう」


 瞬発力なんかにも影響があるので筋力は欲しいけど、ないものねだりしても仕方ないもんな。さっきの説明だとほんの少しだけでも増えてるんだから、入学してから今日までやってきた練習は無駄ではなかったってことだ。塵も積もれば山となるみたいな精神でやるしかない。


 身長はほんのちょっと伸びてる、体重は1kg減。しっかり食べているのに体重が減っているという事は、運動量に対して食事量が足りていないという証拠だという。いきなり量を増やせと言われても難しいので、筋肉がつきやすくするためにも基礎トレの後にカロリーが高めのプロテインを飲むように言われた。


 胸やお尻も大きくなっていて、この間からほんの少しブラがキツくなっている理由がよくわかった。でも流石にこの間まゆにされたみたいに何着も着せ替えされるのもイヤだし、部活帰りに自分で無難なのをササッと買いに行くかな。


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― 新着の感想 ―
[一言] ひなたちゃん、それは神様(作者様)が「ひなたちゃんがムキムキのマッチョになるなんてダメ!お肉は全て胸とお尻に回すの!」と言っているのだよ。
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