来てしまった地球。
処刑され意識が飛ぶことなくすぐに地球へと降り立った。
アスファルトは暑く、裸足のまま歩くことなど私にはできない。
姿形は前と変わらず天使のままであることが
地面につくかのように手入れを施してない蒼い髪。
衣類なんかも穴あきの服を着たままだった。
「暑いよねー!ユリちゃん!よくこんなところで人間達は生きていけるって
思うよ。」
一緒の国、土地に友達も降りたらしく、シルフィーは私に話しかけた。
「口調。昔に戻ってるけどいいの?あと暑いのは天界でも一緒。
まぁ、私は唯一の家族に裏切られ殺されるとは思わなかったよ。」
「アハハそうだね。アリスさんから預かった手紙には、日本で高校生?という
学生の本分を全うし、社会的教育と道徳心を身につけるところから始めろって
書いてありますね。なんか大変そうですが頑張ろ!ユウちゃん。」
嘘だろ‥‥なんの冗談だ。一応堕とされた身である以上逆らうことは許されないためこうして
文句をいうことしかできないが、これはない。一応向こうの学校では高い教養を受けていた
この私が再度教育を受けろだと‥
「ふざけるな!!!!!」
虫のさえずりさえかき消す怒号が住宅に響いた。
「だよね‥‥。ユウ一応首席で学校卒業してたし。怒るよね‥。あと私たち一緒にこれから
住むから今からアパートに移動するよ。」
「いやダァぁぁ!!!だってシーちゃん寝相悪いんだもん!!絶対無理!却下!!」
「やっと、あだ名で呼んでくれて嬉しいよユウちゃん。だけどこれはしょうがないんじゃない?
一応私、ユウちゃんの生命を任されたわけだし。だからと言って私は殺さないよ。
むしろ逆。守りたいんだ!ユウちゃんのこと」
真面目なトーンで話すシルフィー。ずっと守られる立場のお嬢様に守られるなど、
この娘はいつまで過去の古傷を気にしているんだろう。
私はもう気にしていないというのに‥‥
とはいえ、いくら駄々を捏ねようと現実は変わらない為その家とやらへの案内を頼もうとした。
「ごめんね。この国の地図読めない‥‥って言ったらユウちゃん怒る?」
このお嬢様は、超絶な方向音痴に加え、この国に一度も降りたこともない箱入り天使ということを忘れていた為、あの事件から逃げる為私は1度だけ日本に来たことがある。
あの時は姉が手を回してくれた為、事件のほとぼりが冷めた時
姉が引き上げてくれたので今もこうして生きている。
今はその姉に殺されかけたわけだけど‥
土地勘はあるが、当時とは時代が違う。あの時代の事は思い出したくない
あんな地獄(あくむ』を経験するのはもう‥‥‥ごめんだ。
「大丈夫??お姉さん達。」
私達より背が小さく声が高い男の子の声が街灯の奥からした。
これがあの地獄よりも想像を絶することが起きることを私達は知らなかった。