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服屋

あのあと、クレーンゲームをそこそこにして、ゲームセンターを後にした。

シューティングゲームの結果は言うまでも無く、二度目のビックリポイントで硬直してしまいその間に倒されていた。


「むぅ…悔しかったなあ」

「ほら、気にすんなよあんまり。ああ言うのは仕方ないって。…まあ、一度あった事を考えればもう一度くらいあっても不思議じゃないなとか考えないのはどうかと思うが。

…ほれ、行くぞ、向こうだ」


不服そうな清花を横目に館内マップを確認し、服屋の場所を見つけた駿介はその方向を指さし再度歩き始める。

むくれて拗ねて居る様な振る舞いを見せる清花だがその足取りは軽そうに見える。

楽しそうでなによりである。


服屋の前に着いた頃には清花の機嫌は完全に直っており、どんな服があるかなあ、などと呟きながら楽しそうに表情を緩ませていた。


「どんな服が駿君に似合うかな。早く選ぼうよ駿君」

「マジで俺のも買うのか?今のある分で十分足りてるんだが」

「いーからいーから。服なんて幾らあっても困らないよ?組み合わせも増えるしもしかしたらより似合う組み合わせも見つかるかもだしねえ」


などと押し切られてしまいメンズのエリアに来てしまった駿介。

こういった服選びのセンスは正直駿介には皆無である。実家に居た頃は黒とか灰色を中心としたモノトーンを着ていたが組み合わせなんかは殆ど考えていなかった。

何にでも合うジーンズが万能過ぎるのがいけないと思う駿介である。


「普段の駿君の服装見るに駿君アレだよね。派手なの好きじゃない。落ち着いたコーデの方が良いかな?これとこれとかどう?」


そう言って見せてきたのは白のシャツとベージュのテーパードパンツの上下の組み合わせである。

駿介は自分が持って居る服の中で合う物があるかと考えたりはするが、やはり分からない。

これを着て居る自分を想像するが少し大人っぽ過ぎる様な気もするし、服に着られて居る様な感覚もする。


「…なんか服に着られそうな感じしないか?その組み合わせ」

「そうかな?駿君の持ってる腕時計とかと合わせるとちょうど良いかなーって思ったんだけど。…あ、じゃあ着てみてよ!試着室あそこだからさ。ほらほら着てみた着てみた」

「おわ、ちょ、待ってっておま」


服を押し付けられその上で試着室に押し込まれてしまった。途中で無駄な抵抗と悟り諦めた結果である。


手元にあるのは先程見せられた上下といつの間にか取ったのか先程見せられたベージュのパンツの色違いの黒が混ざっていた。

態となのか、それともうっかりなのかはわからないがとっとと着て適当に切り上げよう。

そんな風に思い着てみたのだが思いの外似合って居る様な気がした。

鏡を見てみると大人っぽさよりも清潔感が先行しており、爽やかさが演出出来ている様に思える。


「まだー?駿くーん。私待ってるよ?」

「…あ、悪い。今開ける」

「!…これは想像以上に…?」


カーテンを開けた清花を見て驚いたのは清花の抱えている荷物である。

その殆どが男物。つまり、まだアレらを着る羽目になるのだろうか…?

そんな事ばかり考えている物だから清花の顔や言っていることは頭の中に入って来る事がなかった。


「駿君ってやっぱ磨けば光るかな…?髪も整えたら良さそうだし…」

「なあ、その持ってる奴はもしかしてだがまだ俺が着るのか…?」

「え?…あ、ああ。これね?そうだよ。私が選んだ服たち。てことで駿君、頑張って着てね?」


ちょっと距離があるといえど見た目は美少女に入るだろう清花からの上目遣いのお願い。

女性経験の皆無と言っても過言では無い駿介に断れるはずも無く、諦めのため息と共に服を受け取るのだった。

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