寄り道
辿り着いたショッピングモールはデカかった。
思わず見上げてしまうくらいにデカく、駿介は言葉を失っていた。
「…お前っていつもこんなところに来てるのか」
「…ん?違うよ?話してる時に話題に上がってたの覚えてただけだし」
清花も不快そうだった時から、少し歩いて機嫌が治ったのか元通りである。
駿介が安心しているのは言うまでもない。
少なくとも清花の居る日常に慣れつつある駿介は今、清花が居なくなっては恐らく騒がしく無い事に対しての寂しさを覚えてしまうだろうと考えながら、そんな自分に何を考えているのやらと胸の中で自嘲気味に呟いた。
「ほら、最初何見る?駿君。服とか、小物類だとか、雑貨もあるよ!」
「流石ショッピングモール、色々あるんだな。お前に任せるよ。あまりこう言うところには来たことないから勝手がわからん」
「へぇ、じゃあ先ずは雑貨類見に行こうか。
駿君この前教科書仕舞う場所悩んでたよね!
買っちゃおうよ。此処なら多分あるしね」
「却下だ。重い。…だがそうだな、買うもの…あ、お前用の食器を何枚か買って行くか。一々持ってく来て乾いたら持って帰ってってのも面倒だろ。この関係が終わる時にはお前が持っていくから、好きに選んでくれ。じゃ、食器売り場行くぞ」
「え、良いの?食器って地味に高いし、ほんとに?」
「ああ。良いから早く買うぞ。それに、お前が毎回食器を持ってくる時は危なっかしいんだ」
取り敢えず出入り口前で二人揃って突っ立っているのはどうかと思われるので、駿介は清花の手を取って中に入った。
中は空調が良い感じに効いているのか涼しく、平日の昼間をちょっと過ぎた程度だからか人も比較的疎らである。
かと言って、居ないと言う訳でもないのがこのショッピングモールの大きさを物語っているのだろう。
「…で、その雑貨屋とやらはどこにあるんだ?」
「私も知らないよ?ここにあるって話しか聞いてなかったし、あ、関内マップとかあるんじゃない?」
「じゃあそれはどこだって話になるんだが…」
周りを見渡してもそれっぽい物は駿介の目には見つからず、ため息をついた。
落ち込んでいた様子の駿介だったが、その次の瞬間に清花に袖を引かれた。
見ればエレベーター前を指さしており、よくよく見れば見取り図のような物が見えた。
「ねえ駿君、あれ館内マップじゃない?行こう!…あれ、と言うかなんで駿君ため息なんてついてたの?…もしかして私なんかとじゃ楽しくない?そうだよね、私なんかとだもんね…」
「あ、いやなんだ、その、そう言うわけじゃない。と言うかそれはない。だから安心してくれ」
「そう?そうだよね。良かった、良かったぁ…」
何かに怯えていた、いや、不安がっていたり落ち込んでいるとでも言うのだろうか。時折チラッと顔を見せる彼女のネガティブな思考は心臓に悪い。
罪悪感と言うか、心にチクチク責め立てられているようでどうにも居た堪れなくなってしまう。
顔を伏せて自分の身を抱きしめて、震える彼女はそんな事ないと彼女の不安要素を否定してやれば嘘だったように戻り、笑顔になるのだが、その落差と言うか、不安定さがどうにも心配を誘う。
「どうしたの駿君。ほら、早く行こ?」
笑いながら首を傾げて駿介の手を引っ張る清花には先程の面影は無く、元気そのもの。
彼女の笑顔を見ているとこんな事を考えている自分がバカらしくなってきてしまうし、失礼だと思い駿介は思考を切り上げた。
「わかった。行くか」
「おー!」




