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試験週間 続

「やっほー。おはよーみんな」


そんな風に明るい彼女の後ろを通りながら、共に教室に入る駿介。

男子達は最初に共に登校して来た時から何故お前が、と言った風な視線を向けて来てるし、女子も何やら盛り上がりを見せている。


それが続けば嫌でも慣れてくるし、逆によく飽きないものだなとも思えてくる。

と言うか、これで他のことがばれたらと考えると恐ろしい気もして来た。


席に着けばいつものように清花の周りにはきゃっきゃっと騒ぐ女子達が、駿介の元には景が来る。

最初は男子達にもみくちゃにされていたのだが景が話をしてくれたらしく、見られる程度で済んでいる。


「よう駿介。今日もか。毎日だな。それもその日から向こうさんは遅刻無し。いやぁ、何かある、と言うかありそうだよな。

例えば家が近くだとか。一緒に登下校もしてるみたいだし、良い線行ってるだろ?」


ニヤニヤとした顔で尋ねてくる景にため息をつきたくなる気持ちを抑え、口を開いた。


「何も無い、と言うか勝手な想像でよくもまあそこまで大胆に言えるな。その想像力は褒めてやろう」

「まったく…まあ、そう言うことにしておこう。あまり追求し過ぎても機嫌を損ねそうだしな」

「はいはい。じゃあ他に用は?」


戯けた様子でそんな風に話を切り上げながら、そんな様子は少し癪に触ったりはするがあまりにも態とらし過ぎるせいか、癪に触るのすら嫌になる。


「ああ、そろそろテストが近いが自信のほどは?と聞こうと思ってな。どうなんだ?

ちなみに俺はそこまで自信無し。やれることはやってるつもりだがあんまり成果がな」

「俺もそこそこの自信しかないな。やれることはやってるつもりってもは同じだけどな」

「ほー、羨ましいこった。…ああ、そう言えばお前には主席を取るくらいの頭の良い彼女さんが居たな」

「彼女じゃない。別にただの友人だよ」


ふーん、と言ったように顔を覗き込んでくる景がウザかったので視線をずらす。

時間もそこそこ経っているが彼女を取り巻く人数は然程変わっておらず、どこか困ったような様子でそれらに対応している。


周りの女子の積極性と雰囲気、そして清花自身の小柄さやそれ故の愛らしさのせいかそれは肉食獣に囲まれている小動物にも見えた。


「おい、人と話してる最中くらいは見惚れてるの辞めろよ」

「…ああ、いや、見惚れては無いぞ。勝手なこと言うな、景」

「いやいや、それは無理あるだろお前。あれだけ見ておいて」


これは何を言っても無理だなと諦めようと思ったタイミングである。

彼女が女子の囲いの中から声を掛けて来たのは。


「え、駿君が私に見惚れてたってほんと!?」


クラス中が静かになる。

しーんとして、全員がこちらを見ているような錯覚すらしてしまいそうである。

彼女の普段友人相手では中々見せないような嬉しそうな弾んだ声。


当然と言うか、彼女の声量もありよく教室内に響いていた。


「おう、見惚れてた見惚れてた。こいつは見惚れてたぞ」


静かな教室の中、先程の問いに答えたのは景である。楽しそうに曲げられた口角からは揶揄いの意図が見て取れる。


「そっかぁ。駿君が私にかぁ」


清花の反応も反応で、嬉しそうに笑顔となっている。

花が咲いたような満面の笑みで照れ臭さ非常に目を逸らしたくなった。


「本当にアレで何も無い友達だと言えるのか?駿介よ。俺にはもはや…いや、言うまい。これは自分で気づくべきだな」

「うるさいぞ景。…つか、俺じゃ無理ってのは周りから見てても分かるだろ。周りの男子の視線のこともあるしな」

「はぁ、自覚はあるっちゃあるが踏み切れないって所か?…いや、会ってまだ一月経つか経たないか辺りのところって感じだからそんなものか?」

「そんなものだよ。そもそも俺は、アイツとの関係に友達以上なんかは持ち込んでないし、これからも持ち込む気はないぞ」

「ふーん。お前はそう言う感じなのか。向こうがどうなのかは知らないけどな。

ま、もう少し楽しみにしとくわ」


チャイムが鳴ったので景は席に戻り、そのままホームルームが始まった。

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