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試験週間

「うへぇ…駿君そろそろテストだよテスト。もう来週だ」

「それがどうした。お前、勉強は出来るって豪語してる上に実際出来てただろ」

「出来てても怠い物は怠いの!」


土曜日の夜、清花が晩御飯を作っている最中にそんな事を話しかけて来たので呆れた目で見つめながらに答えてやる駿介。


もう体育祭が終わってから一週間ほど経っており、間も無く、と言うほど早くはないがテストである。

他の学生達は悲鳴や叫び声を挙げているが、駿介や清花は割と余裕を持っている様である。

言葉ではああ言ってるもののその表情に嫌そうな気配を感じさせるものは見えなかった。


「そもそもあまり変わらないだろ?

普段から勉強はしてるんだし、何もやってない状態から急にやり始めるとかでもないんだから。少し勉強の時間が伸びるくらい」

「気分的な問題かなー。いつもはやろうって感じなんだけどテスト前の勉強ってやらなくちゃってなるからさぁ。強制されてる気がして中々ね」

「そんなもんか」

「そーそー」


あまり駿介には分からぬ問題だが、清花にとっては結構重要らしく話している清花の顔はあまりふざけている様な様子は見受けることができない。


そんな風にお互い軽口を言い合っているが手は止まっておらず、忙しなく動いていた。


「あ、駿君これ切っておいて」

「あいよ。あ、待て、醤油は鍋を一周するくらい入れるんだぞ。前みたいに適当な感覚で入れるなよ。最近は直ったかと思えば見てないとこだとやるんだからな。いい加減直せ」

「はーい」


鍋に醤油を入れようとする清花に一声かけて注意する駿介。

どうにも調味料の入れ方が適当過ぎるきらいがある彼女に対して駿介は毎回のように注意を入れている。

清花も聞いているのかいないのか、適当な返事。ここ最近のお約束のような物である。


とは言うものの、それ以外の点を見れば清花の料理の技術も四月当初に比べれば随分と上がっており駿介の技術もそこそこの上がりを見せている。

駿介が感慨深いなと清花の方をチラッと見れば、それに気付いた清花が首を傾げていた。


「どったの駿君。そんな見て来てさ。

…はっ、まさか私に見惚れて!?」

「なわけあるか。冗談も程々にしろ…まあ、お前も成長したな、と」

「え!ほんとっ?そっかそっかぁ。良かったなぁ。あ、これからももっと色々教えてね駿君」

「いや、多分そんな必要な程じゃ無い気がするが…」

「えっ、まだ色々あるじゃん。

あ、やばっ」


話している清花が焦って鍋の火を止める。

よく見れば吹き出しかけているのが見えた。

放置し過ぎたらしい。


「気を付けろよ。

一人の時にそれやると後片付けが大変だしな。まあ、二人いてもあまり変わらないけどな」

「あー…まあ、うん。気を付ける」

「ああ、そうしてくれ。取り敢えずそろそろ食器出しておくから、よそう準備しとけ」

「はーい」


切っておいた野菜をまな板に残し、駿介は食器棚に向かう。

清花は鍋を混ぜながら返事をしていた。

お椀や箸を出してお椀はキッチンの端、箸はテーブルにと置いていった。



20分後にはもう食事を終えて、清花が食器を洗い、駿介がテーブルに向かって勉強をしていた。

お互いに集中しているのか会話は無く、黙々とした空間が続いている。

響くのは水の音とシャーペンの書かれる音のみで、それ以外の音は無い。

ふと、駿介が口を開いた。


「なぁ、そう言えばお前、課題は終わらしたのか?」

「…え?なんかあったっけ?」

「数学はドリルがあったはずだが」

「え、嘘。私やってない!?」


焦りからか食器を洗面台に落とした甲高い音が聞こえて来た。

その後は慌ただしいと言えば慌ただしいが何も言わないので割ったりはしていないのだろう。


「何ページ分だっけ?」

「それを知る前に取り敢えず、終わらせたらどうだ?何か言うたびに落とされるのも心臓に悪い。下手すりゃ割って後処理も大変だしな」

「あ、うん」


数分後には食器洗いを終えた清花が自分の部屋にドリルを取ってまたやって来た。

妙に慌てた様子なので範囲でも確認して焦りを覚えてるのだろうか。


「あったろ。ドリル。30ページ分くらい」

「…あった。すっかり忘れてた」


問い掛ければ顔を青くして答えが返って来た。どうやら本気で忘れていたらしい。

一応まだ三日ほどあるので然程焦らなくても問題無いのだが。


「駿君…手伝って?」

「あと三日あるし、お前一人でも終わるだろ。頑張れ」

「うわーん!」


駿介の無慈悲な通告に清花は悲鳴をあげるのだった。

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