穏やかな夜
帰った俊介と清花はもはや手慣れた分担で野菜炒めや味噌汁など、夕食を作り終わって食べていた。
「そう言えば駿君って朝どんな風にしたら起きれてるの?」
「朝?普通に起きれるだろ。…いや、お前は遅刻スレスレがよくあるし起きれないのか?」
「そうそう。早く起きてもすんごく眠くて結局ね、二度寝しちゃってギリギリだからさぁ。駿君はどうやって起きてるのかなぁって」
まあ、確かに清花がスレスレだったり遅刻して来なかった日はこの半月くらいで一度あったかくらいなので相当なのだろうとは予想がつく。
「どうやってと言われても、普通に起きてるだけだぞ。何も特殊なことはやってない。強いて言うなら目覚ましくらいだろうな」
「そんくらいなら私もやってるけどつい止めたらそのままふら〜っと…」
「目覚ましの意味無いだろそれ」
「だから悩んでるのに!
あと話してる子に電話かけて貰ったりもしてるんだよ?一応。出た後また寝ちゃうけど」
「意味がないだろじゃあ」
結局清花は何が言いたいのだろうか、駿介はあまりよくわからず首を傾げた。
起きれないと言うのをどのように解決して欲しいのだろうか。
「だからもう残されてる手は誰かに起こしに来てもらうしかないかなーって」
「寝起きを見られるとか言う抵抗無いのかそれ。女友達を呼ぶにしてもそう言うのは無いのか」
「友達?ああ、話してる子は無理だよ。聞いた感じ家遠いしそもそも近かったとしてもエントランスで止まっちゃうからね。
流石に鍵渡すのは怖いし」
「じゃあどうしろと?」
流石に鈍い駿介でもここまで言われれば分かるような気がしたが敢えての無視である。
形的に自分が言い出したと言うのはなんというか気恥ずかしいというのもあるが。
「駿君、鍵渡すから起こしに来てよ!」
「却下だ。毎朝隣の家に侵入することになるんだぞそれ。他の奴らにバレたらなんて言われるか」
「一緒に帰ってたりしてるのはもう知れ渡ってるしそもそもこうして夜一緒に作って一緒に食べてる時点でじゃないかな?それ」
確かにそうである。始まりが学校の外且つ最初こそはお隣さんと言う認識でしか無かったため駿介は忘れていたが今の状況も充分、バレたら追求から逃れられないだろう。
その実態を話せばある程度は緩和されるかもしれないが芋蔓式に隣に住んでいるのがバレるだろうし、恐らくそこからも更に追求が来る気がする。
絶対隠そうと言うほどでは無いので一緒に帰るなどはしているが、それでも周りにバラしたいと言う訳でも無いので話したりなどはしていない。
「あ、黙った。ってことは駿君もそう思ったんだよね!?ならいいじゃん。一つも二つも変わらないって」
「…そもそもお前、異性に部屋に入られるとか、寝られてるところを見られてるのが嫌だとかそう言うのは無いのか。それに俺が何もしないとは限らないぞ」
「え、それでも指導が入る方が嫌だからなぁ。…あ、でも恥ずかしく無いって訳じゃないよ!私はそこら辺の恥じらいはしっかり持ってるし。それに駿君のことは信頼してるしね。何かやれるだなんて思えないよ」
「…お前マジでそんな事他の奴らには言うなよ。変な誤解を招くぞ絶対」
突然のカミングアウトに照れた駿介は思わずと言った様子でご飯をかきこんだ。
だがそれでも足らないのか、視線を横に向けた。
「まあ、そんなんだからお隣さんでちょうど良い駿君にお願いしたいなーって」
「…はぁ、仕方ない。どのくらいの時間に起こしにいけばいいんだ?」
駿介は観念したと言うか、諦めたと言うか、ため息をついた。
一方清花の方はガッツポーズと言った感じである。
「駿君が起きたくらいのタイミングで良いよ?それなら変に決めるより遅刻しなさそうだからね!」
「わかった。明日から起こしに行ってやるがあまり頼り過ぎるなよ。いつも行ける訳じゃないんだから、自分でも起きられるよう努力は続けろよ」
「はーい!」
会話を切り上げた後はすぐに食事を終えた。
今日は清花が皿を洗うので片付けは駿介である。
食器を片付けた後、駿介はテーブルに向かって復習を始めていた。
そして駿介が集中し始めてから10分くらい経ったあとに、清花もまた勉強を始めた。




