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第1話 コンビニで人は売ってません。

お久しぶりです、な方も初めまして、な方もコンニチハ。あずまひとみです(・∀・)前作から随分と時間がたってしまい、申し訳ないです。

今回は長めな連載になる予定ですが、よろしければどうぞおつき合いください。ほのぼのが読みたい!という声もあり、所々に気の抜けるエピソードを入れてゆく予定ですが、前作の猫とか変態とかが出てくる話に比べたら、ほのぼの指数は少ないかも知れないです(つ∀`)まぁ、あの話は私の中でむしろテーマ自体がどっぷりほのぼのでしたから…(笑)

何はともあれ、楽しんでいただければ幸いです♪

 京介はその日も決められたシフト通り、いつもと変わらずバイトにでているだけだった。

 なのにどうして、こんな変な客に絡まれているのだろう。

 自分は何か悪いことでもしたのだろうか。

 ―――思わず、頭を抱えたくなった。

「ありがとうございます、またお越しくださいませ」

 少しだけ距離の開いたとなりのレジでは、同期のバイト仲間が最後の客の会計を終えたところだった。

 俺だって早くレジ終わらせたい…!

 その一心で、目の前に立ちふさがっている少女に目をやる。

 年の頃は…京介がパッと見た感じ、高校生、といったところだろうか。

 白いニットの帽子に、ブラウンのダウンを着ている。

胸元までストレートの茶髪が降りていて、くりくりとした大きな目は本来なら可愛い印象を与えるはずなのに、きつくこちらを睨みつけていた。

 差し出されている細い手には、一万円。

「ですから…なんど言われたって無理なんですってば」

「どうして?コンビニは24時間なんでも売ってます、ていうのがウリなんじゃないの」

 だからってな…、

 京介は天を仰ぐ。

 人を売ってくれなんて頼み、きけるわけねぇだろが!

「あのですね、さっきから言ってるように俺は売り物じゃないですから。遊び相手ほしさとかならどっか別の…」

「やだ。遊び相手ほしさとかじゃないもの」

 そう呟くと、彼女は目を伏せる。

 客足が引いた静かなコンビニに、静寂が落ちた。

 一万で人を買おうだなんて、おかしいにもほどがある。しかも夜中のコンビニで。

 そう思うのが正しいはずなのに、京介はなぜだか一瞬、自分が悪いことをしたようなきもちになった。

 それでもこれは…譲っちゃいけないところだと思うから、沈黙を守る。

 しばらく両者頑として動かなかったが、しびれを切らしたのか、少女の方が先に口を開いた。

「どうしても、だめ?」

「どうしても、だめです」

「500万、用意するって言っても?」

「あたりま…500万!?」

 どこからそんな大金持ってくるんだよ!

「き…金額の問題じゃないでしょうが!要は現代日本じゃ人身売買は禁止されてるって話で」

「そーゆー問題でもないでしょが」

 後ろを通った同僚がぼそっと呟いてゆく。

 無責任にも、そのままバックルームに消えていった。

「…とにかく!無理なものは無理なんです、お引き取りください」

 本日何回目かのセリフである。

 すると少女は「…ケチ男!」と吐き捨てて、やっとのことでコンビニを出て行ったのだった。

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