二重スリットと重ね合わせ
二重スリット実験が量子力学の基本と思います
二重スリットをすり抜けた粒子は
どっちを通ったか 確率的にしかわからない
二重スリットをすり抜けた粒子は
二つのスリットを通過した状態の重ね合わせ
二つの状態の重ね合わせの他の例として
放射線が仕組まれた箱の中に閉じ込められた猫
二つの状態の重ね合わせのタチの悪い例え
「生きた」と「死んだ」の猫の重ね合わせ
しかし
猫の確率の波の振れ幅は
臓器のサイズよりずっと小さくて
重ね合わせはほとんど起こらない
猫の生死は ほとんど 確定する
人間が箱の中の猫の生死を知らないだけ
二つの状態を取りうる電子として
真空中で孤立した 左にも右にも回転する電子スピン
そして
電子の確率の振れ幅は
電子が活動する範囲くらいだから
電子スピンは 左と右回りが重なり合う
左か右回りかは このとき確定しない
左と右回りの重ね合わせが実在する
二つの状態を取りうる電子として
水素分子H2 どちらの水素原子にも存在する電子
しかも
電子の確率の振れ幅は
二つの原子を行ったり来たりの範囲だから
二つの水素原子にいる状態が重なり合う
これが二つの原子が引き合う力の源
化学ではこれを共有結合という
二つの状態を取りうる光子として
進行方向に右にも左回りにも偏光する光子スピン
さらに
光子スピンの重ね合わせで
0と1の1ビットごとの計算を
左と右回りの量子ビットでまるごと計算できる
量子コンピュータは重ね合わせを実用する
量子テレポーテーションも重ね合わせを使う
猫については、観測しようがしまいが「ほとんど」確定しているという当たり前のことです。「確定していない」と「確定してるけど知らないだけ」は、全く異なります。「ほとんど」というのは、猫も量子力学の原理に従うため、「厳密には」確定しなくて、事実上、確定しているためです(99.9999…%とか)。
この意味でシュレーディンガーが主張した猫は、彼が主張した通り猫の重ね合わせは「ほとんど」起こらないのですが、彼が本当に主張したかった波動の確率解釈の矛盾をつくものではありませんでした。そして、猫を電子や光子に変えると、ミクロな世界では、重ね合わせはありふれて起こっていることがわかってます。おかげで、シュレーディンガーの猫の名前は、そのまま語り継がれてます。
仕組みを省略しましたが、量子コンピュータや量子もつれ、テレポーテーションは、日本では、光子の重ね合わせを使った研究が進んでいるようです。もちろん、電子もあります。いろいろあります。
注: 猫の重ね合わせの解釈は、多世界解釈などもありますが、実験根拠がわからず、取り上げませんでした。
注(2022.12.8追記): ここでの猫の説明も、以下を省略しました。本来は多数の臓器、細胞間の相互作用、猫と放射線、箱の壁のもろもろの相互作用で、猫の状態が記述されます。生死というのは、これらの状態と相互に記述される状態(生死だけが他の状態とは独立に記述できずに、他との相互作用が大きく影響する)であることを省略しました。この観点からは、猫の生死は、他との時系列的な相互作用の順番(いつ放射線を受け、細胞がどうなって、臓器が云々)で、決まる、当たり前の結論になります。ただ、猫の生死ではなく、他の物体であれば大きくても、二つの状態を重ね合わせることは出来うると思います。外部との相互作用をいかになくせるか(状態を壊さないように)が鍵です。