クーリングデーモン
「漆黒の結び、今ここに。在らざる物は、コレを柱に世襲する。三度の嘆きは四面が歌に紡がれる。対抗機稀の誉れ、魔原の荒野は寂しく手を差し伸べる。さぁ友とならん!!」古く汚れた分厚い本を持ち、血で描いた魔法陣の上には供物となる獣の死体が並ぶ。言霊を述べ供物に短剣を突き刺すと供物は消え去りおぞましい悪魔が現れる『ワレナンジノヨビカ………………すいません間違えましたサラバじゃあ』ちょいちょいと悪魔の袖を引く「えっえっ間違えどういう供物あげたでしょ?」『いやいや、アレはねここに来るまでに必要な物でしょ?召喚には応じたでしょう?あのね召喚と契約は別だから………その手違いで」おぞましかったその生き物は煙のように消え去ってしまう。取り残されたのは黒い衣を着たまま床に座り込む女の子だった。「やった………やった!ついに悪魔召喚式を成功させたんだ!!」そのあと両親から近所迷惑だとこっぴどく怒られた……人間界の一戸建ての二階に現れる先ほどの悪魔……召喚に応じた訳ではない。ドアが開く。そこには眠たそうに目を擦る女の子がいる。危ない!!生け贄にされる何てことは無く女の子はおぞましい悪魔に対して「おにぃちゃんどこ行ってたの?一緒にアニメ見ようって約束したのに?」そんな人間の言葉に「ゴメンゴメん、ちょっと召喚されちゃてな」女の子はドタバタと階段を駆け下りる。すぐさま階段を駆け上がる足音が複数する。「眉流!アンタ召喚されたの!」問い掛けたのは母親だった「うん、まぁ」悪魔の体を強くダキシメルハゲタ父親「そうか!そうか!お前も召喚されたか、今は魔法を使う人間も減って契約も少ないだが我ら悪魔にとっては一番は召喚による契約者を見つけ使役されることだ」パパは会社に行ってるよという娘に「今時使役だけでは生活出来ないのだよ」人間に隠れて生きていく「そうよね、アタシの契約者は風変わりな魔女だから魔力には困んないけどね、髪櫛ちゃんも大きくなったら契約者捜さないとね」楽しく話す母娘「ちなみに父さんは城に一人暮らして居る貴族だ。魔力は低いが立派なお方だぞ」それで眉流に注目する家族に「それがその…………クラスメイト」家族の目が点になる。同じクラスの花風花櫚……茶髪でコミュ力も高く友達も多い。魔術のイメージはない多分魔力も無い。今の時代はネットもあるから魔術の道具は集めることも可能だし生け贄になった者に魔力があれば召喚は出来る「素晴らしい魔力を持つJK何と羨ま」ハゲタ頭が真っ赤に腫れる。スリッパを片手に「クラスメイトかキュンキュンしちゃう展開ね、でうちに呼んじゃうレッツパーティーしちゃう!!」ランラン気分の母娘に「そうだな使役されるとはいえ、分別はつけないとな」カメラの手入れをハジメルハゲ………ランラン気分の母にボコられたのは言うまでもない。次の日学校では変わらない生活を送る花風さん色黒で「何かアタシによう?」しまった不用意に彼女の観察をしてしまった。黒いフードの下の表情が忘れられない「おーい?眉流くんだよね。話したことないけど、隠キャだねもっと明るく明るく人生つまんないわよ」「じゃあどうして召喚なんか?」召喚のひと言を口にすると壁ドンされて「召喚、今召喚っつた?」片手を引かれ人気のない教室へ「花風さん?どうしたの(気付かれた!?いやいや今は人間の姿してる。魔力か?それも違う彼女自身に魔力はあるあるけど、内包しているだけだ。使っていない!魔力の感知は出来てない)なんか恐いなぁ?僕が変なこと言ったのかな?なら謝る」「昨日の夜何してた?」疑われてる?えぇーっ直感!「昨日の夜?家族と一緒に夕御飯を食べて自分の部屋でくつろいでいたけど」ふーんというと「私ね魔女目指してんだ!」真面目な顔で言われた。「ふーん笑わないんだ普通は開口一番大爆笑なんだよ。でもキミは笑わなかった。ちょっとうれしいかな。どう?アタシの助手にならない」助手というと「私ね、悪魔と契約したんだ。」へぇー間違いなかった。あの時黒いフードの下から見えた彼女の顔と同じく目が死んでいる。いつもの彼女の目ではない………目がいってる「ついてきて、アタシの魔法見せてあげる」放課後花風さんの家へ………少し引いたいやかなり引いた………立派な魔女の部屋だった。「好きな所に座ってここに連れて来たのは、君が初めて何だよ」嬉しそうに話す彼女に対して「凄いね、僕もこれだけの魔法道具を見るのは初めてだよ」周りを見渡す僕に「やっぱり!ここの魔道儀式用の集めるの大変だったんだよ。一目で分かるなんてキミまさか!(バレた!あれ今はちゃんと人の姿してるよね?)隠れ魔道マニアなの?!やったー同士!アタシも何だよ!分かってる!分かってるの!周りの白い目アタシも家族からの白い目はきつい………友達にカミングアウトしても同じだからこそ………やっぱり嬉しいんだよ」キラキラした目は…………うわこれはヤバいモノホンという奴だ。この部屋に入った際の獣の血の臭いは………そういうことか「これが陣(所々独学の匂いが感じられる………努力を惜しまぬ人なのね」当然です!と鼻を高くする花風さん「そんな事ではなく!魔法でしたね。ハイットね」花風さんの手のひらに部屋の光が集められ部屋は真っ暗になる(物質の収束………人が使える魔法としては高位だなぁ………基本的な事だけど、物質の力量を移動させる。理論は説明出来るだけなら″研理空″の連中の十八番………やれるかどうかは今の人の社会では珍しい………一息入れて)……ごめん、あまりの凄さにびっくりした」そうよね、そういう反応よね。「今はこの程度が限界だけど悪魔と契約したたからこれ以上の魔法を…………どうしようアタシが魔女デビューしちゃう。美魔法少女はじめましたってか」あれ?クーリングオフしなかった………さてと「せっかくだけど家の手伝いがあるので、助手の件はお断りします」その場を離れようとするも「待って!えぇ帰る?断る?隠キャの貴方には私のコミュ力が必要」話が終わる前に部屋の扉が開き「コミュ力も大事ですけど妹とテレビを楽しむ先約があるので、花風さんの魔法の腕はそこらの魔法結社にも引けをとらないよ、ただ力の制約もあるから今はここら辺にしておいた方がいいよ」魔女を目指す少女にアドバイスを送り彼女の家を後にする。人通りが少ない路地裏で止まる眉流大きな黒い禍々しい羽根を広げる。辺りに衝撃波が放たれるとポロポロと黒い物体が散乱する「魔魂か、ウチ以外にも悪魔かな」視線がブロック塀の上に向けられる。そこにはウチの学校の制服を着るハートな尻尾が生えた八重歯の女の子がいる「監視の魔魂が全滅ですか………こりゃ旦那に起こられるな、お兄ちゃんは使い魔じゃないね、あたしらとは違うもんね、魔族何だ」そんな彼女に「あぁそうだよ、魔族地位は高くないけど、ウチの一族はずっとこっちにいるらしい」其れを聞いて「あーぁ確か数千年前に独裁的な魔王によって魔界に住む魔族が急激に減少した″界歪少魔化″ね、その時色んな世界へ散らばって住みにくかった人の世界にも移住した悪魔がいたとか、なるほどその末裔なのね」お分かり頂けましたか?と彼女に話しながら「そういうキミは使い魔って事は使って魔族がいるんだよね。目的は何?」少し怖い顔で睨むと「やだなぁ……ただの情報収集ですよ!あたしら使い魔は弱くってね、永遠のパシりというやつでさ」ブロック塀から降りて「アタシはリリュエット・ナローコィバスケって此方は魔族としての名前で~す。お兄ちゃんは?」不意に上目遣いで尋ねられ照れながら「眉流だよ……キミと同じ″ただの使い魔″だよ」その場を後にする。「リリュお姉ちゃん………報告はまだかにゃ」ランドセルを背負った短髪の女の子がリリュお姉ちゃんに声をかける「はいはい接触を試みたけどあれは靡かないわね」ふーんと目を細めて「じゃあ″アタシのチームには無理なんだ″じゃあつぶしとこうか」周りには複数の陰が蠢いている………次の日登校してると「やぁ、眉流くん」ニコニコしながら花風さんが挨拶してくる。「いいんですか?学校で隠キャな僕と話しても?」花風さんに返すと「いいのいいの、学校での孤独死を予防する生徒への介護?福祉的な?ヨッシャー内申書プラスなの………まぁそんな感じ?」悪意しかねぇけど「それで悪魔とは上手くやってますか?」少し罪悪感のある質問をすると顔を逸らしながら「はぁん上手くいってるわよ。中学生彼氏彼女のごとく」それ以上は危ないワードが出て来そうなので「それはよかったです………(確認のため)どんな姿だったのですか」「うーんと体が大きくて牛のような顔立ち………まぁ昔の絵に描かれてるザ・悪魔かな」少し姿を変えるかな、父さんに見せて貰った″イケ魔図鑑″も古いから今どきはもっとシュールなのかもしれない。教室に入ると「昨日の生配信ヤバかったよね″悪魔呼んでみた″」「あれは!マジ悪魔ナンだもん!」「悪魔呼んで″いいねって悪魔崇拝かよ″」一つの机の前に男女問わず生徒が囲んでいるその中心には配信を行った男子生徒がいる。此方に気づき「あれこれはこれはうちの使い魔くんじゃん」突っかかるロン毛の少年彼は不聞 公彦………学校の魔王様といわれる男子生徒だ「まぁ使いパシり魔何だけど♪」教室が爆笑の渦に巻き込まれる。いつものことだけど「そんなパシり魔くんにも朗報だよ。何とキミが魔術儀式に選ばれました。はい皆様拍手!」マジかよだの、生贄~だの反応はネット民みたいだ。「はいはいお静かに!さる今日の放課後場所はこの教室に悪魔の降臨実験やってみた生配信けってーい。悪魔と契約書を交わすのは我らがパシり魔くんだ!皆にはこの世界大発表の目撃者になって欲しい!」っーか生配信なんだからネット民ならみれんじゃねー…………放課後「すげぇー人々だなぁ県外いや世界から人々が集まって」「いやいや、5、6時間前だろ世界は無理だってせいぜい県外のネット民ってとこかな、悪魔なんてキーワード入れると集まる奴は暇人か?」「イーじゃんいいじゃーん、あたしらは対岸の火事高みの見物悪魔が居ようが居まいが変わらなーい」「それな!」一刻一刻と時計が五時に近づく「魔王魔王………今日は人間最後の日なのかそれもといや失礼それとも悪魔異世界転生したら人間とズッ友記念日爆誕生日的な、話が長い五時まで少しあるからネッ友トークって喋り倒すか一時感皆様お久しぶりっーこって昨日の夜以来何ですがふーもんチャンネル始まるよーーさてさて悪魔とは何か親父に群がるエンコウJKいやいやマジモンスターなわけカメライン見えるかな魔法陣供物のなんだコレ鼠のした……うーーーーーっ『しばらくお待ちなんし』いやいや失敬失敬お昼カレーは食べてないけどなーまぁともかく儀式の準備は万全よ(こら呼んでと変なメモを渡される。そこには百字数の呪文が書かれている。少し古びているが本物だ……ヤバい魔法陣も本格的供物も十分悪魔召喚の儀式はそろったさてさてこれではほんとに悪魔召喚してしまう。呼びかけに応えるのは気まぐれな悪魔分からない魔力のリソースが構築されている以上何かがでる。何かを遮断しないと、咄嗟に呪文に一文咥え最後にボソッと主旨を伝える。すると)ご覧ください眩い光と共に悪魔召喚されてしまったと思ったら金成先生?金成先生は悪魔だった」ゲンコツが頭に「悪魔の撃鉄はどうかな?不問?いい加減に帰らんかー」「何だよやらせ加代?!」「いつまのことだしね」「そうそう涙そうそうってね」「やるッさに今回は上々~巻き起こせ二世二世パラダイスってかってか」がせ去りぬとはいったモノすぐに学校を下校していく生徒たち「金成先生ご苦労さま………」そっと先生の横に立ちお礼を述べる「職員会議で焦ったけど、召喚時はトイレで化粧直しの最中だったかんね、ほれ右目のアイシャドウが取れそうよ、少しはお兄ちゃんじゃないパパのいうこと聞きなさいよ」「ぇーだよ」はいはいと手を振り職員会議に戻っていく。さてさて僕も帰るかな家路につく僕の後ろから「惜しかったねもうすぐで悪魔とズット友だったのにさ、でもあたしはモノホンだからすこぶる健康元気現金のK参上なりけるのよ」「Jが抜けとるようで何より何よりカタツムリ」喋り始めた僕に「何々最強のデーマスになれなかった。違うじゃん私デーマス辞める的な」強者の余裕なのか、先に呼び出しに成功している花風先輩は余裕綽々と上から目線だ「呼び出したのが先生では如何ですかね?宿題増やされそうですね」冗談交じりに話と「先生は隠れ魔族なのよ………魔界のプリンスを支えるために人間界では教師という仮初めの姿をしてる訳」何処のゲームの話なんだろう。其れよりもと肩に両手をおかれニコニコしながら「今日の夜中暇化にゃ?」ゆっくり寝たいんですが心では思いながらもほっとくとホントに召喚しそうで不安になり「助手なので手伝いますよ」という………夕日が沈み暗闇が浸食していく「闇の時間が始まるぜ」ばえる自撮りを撮りまくる「おぉー″いいね″がこんなに!!」いつになったら始まるのか……周りの圧縮する空気を肌で感じる!すぐに花風さんの手を取り部屋の外へ………然し「何、これ………」部屋の外が湾曲している天井と廊下がねじ曲がりジェットコースター気分だ。見てるだけで掃きそう「おもしろーい♪」はしゃぐ花風さん適応力の高さにはオドロクナ「んでこれどうなってんの?」今さら「魔術式の影響と言いたいですけど(辺りを見回して)部屋の中は捻れてない通常なら儀式の場所そのものに変化が起きるはずなんだけど地響きと共に大きな女性が叫びながら歩いている」大きな女性とはいったが明らかに人じゃない人に見えなくはないが額からは立派なドリルのような角が一本生えている胸はデカいいやいやそこはいいとして視線を下に下げると……………蛇?みたいッか足が無い前言撤回ここ人間界だよね。あんなの使い魔レベルじゃないこっちに来たら駄目なレベルだって」魔界に転移したいやちがう魔界へは一度母さんの付き添いで行った事がある。もっと重く禍々しい所だ。今はそんな気配はない。窓から周囲を見渡すも(外に魔力は感じない″アレ″だけかな)部屋を飛び出しアレの前に出る。口と思われるモノが腕のように生えてくる「ンーンー、!久しぶりだのテカ坊主は元気かな?!ンンここはシナカラハの森で干し物を為ていたはず??」今の発言で間違いないと確信する「トラキおばさ様お久しぶりです。ここはプレナスです。サリナスではありません」その言葉を聞き「プレナス?!魔力は減ってないから歪曲ではないから召喚かの?」頷く眉流「ほう!私を召喚するとは何処の魔術師かの?」首を横にふる眉流「いいえ、魔力は高くありません。恐らく偶然の産物かと」ぐ、偶然?!なのかと悄気るおばさん「それで、テカ坊の知り合いなのか?その呼び出した人は?」ねぇちょっとと探しに来た花風さん「スー乞い……あまりの事に語学力がって、デカいテラモリ級じゃん!首がマジコルんすけど」見上げる花風さん鼻息は荒い「何々、眉流くんのマブダチ?ご近所さん?遠い親戚?」惜しい近づいてますよ先生「人の小娘、テカの知り合い」と人の言葉で話すおば様。腕を組みながら「マブシーでぇース❤」首を傾げるおば様に溜息付きながら補足するテカ「仮の世契約書です…………一応ですが」なるほどのーと花風さんに顔を近づける「そこの人間、我を呼び出し何を望む」ちょっとと制止する甥っ子をまぁまぁとなだめながら「望みか………フッフッばえる写真とってもいーい?いいね!王に私はなるってね、まぁ許可ありありならの木お話なんちてね」なるほどと考え込んだ後「つまり鬼目立ち、あげ天になりたいと」変に感染したね「おぉーわかってーんね、アンタとはズットモに慣れそうじゃん」意気投合した魔物と人間これが異文化コミュニケーション能力「あの、ちょっと」おば様を呼び出し少し離れた位置へ向かう「ホントに契約するんですか?花風さんは普通の人間ですよ魔力も無い………例え魔法具で魔力の………いえトラキおば様は魔力の補給は必要ないでしょう。魔力が潤沢してるから″こちらでの″制限もないんだから」その質問に「そうね、此方の世界での顕現も二つの世界を繋ぐという意味だけなら通ってきてるし顕現だけなら私の魔力で十分だから………」またですかとジトメになる甥っ子に「テカの小さい頃にそっくり小さくて生意気でどこかそそられるの」そそられる?そういえば親父はおばさん苦手だったな「ではお手柔らかにお願いします」あっさりと受け入れた甥っ子に「何じゃつまらんの、いいのか?喰ってしまうかもしれないのに」喰らう気も無いのは分かっているだが止めないのかと釘を刺されるが「私がついているよりは安心ですから、それよりもこの所魔界で異変は………なかったですか?」たずねると「そうそうカリュナちゃんが立派な魔王になったのよ♪」カリュナってあのカリュナ驚きを隠せない…………小さい頃魔界にしばらく滞在した時期があったその時妹の髪櫛の友達だったのがカリュナだ。カリュナは所謂本の虫だった。其れをしつこく友達勧誘して髪櫛の友達1号になったのだった。然し………「友達百人力だぜ!」と銘打ち友達1号をほっぽりだして友達探しの旅を始められた。ポカンとするカリュナちゃんごめんねとその場を去ろうとすると袖を引っ張って離さない…………妹の代わりにお世話本生ママゴトからお姫様ごっこ付き合わされたなと走馬灯に思い出す………「それでホントにカリュナちゃんじゃないカリュナ様が魔王なの?」頷くおば様。まぁ魔界に行くことはないだろう。例え行ったとしても魔王が住むのはバァイルギヲと呼ばれる浮遊城だ。許可無く立ち入ることは許されないはず。関係ない元気ならよかった「とりあえず魔界旅行をお願いします」花風さんの一言で台無しだ。そそくさと帰ろうとする眉流を捕まえ「二人分イケイケドンO.K.?」一気に場所が暗転する「トラキ様!」声を荒げにらみつける「えぇ………!ここどこなの?!」そこは懐かしい血の匂いと霧の世界………魔界の首都島である″ヤタノーギスナサニエル″この世界を統べる魔王の住む島だった………来たくなかった。早く転移を!花風さんのことも気がかりだったがこんなとこに居たくなかった。それが第一の理由だった。もう遅いのというおば様の声。すでに囲まれている当然だろう。こんな所に侵入するのは反逆以外何物でも無い牢屋に閉じこめられる一同「なんで~なんでなの!アタシまだ何もしてないのに」花風さんがのたうちまわる「とうするんですか?牢屋で満足させて物世界に戻りましょうよ」呆れながら話す甥っ魔に「焦りなどいい結果は産まんぞい、ワシの使いを探りに出してはいるが無理はさせられん」横になり昼寝タイムなおば様「分かりました。こちらはこちらで調べます。いいですよね?」応答しないおば様をよそに小声で「』♪・・(″~」“ζ”・,』♪“◯・」と何処とも違う音?言葉?を発する。階段を下り牢屋に近づく影「無駄だよお兄ちゃん、この都島の警戒は厳重だから、異界とのシンクロも遮断してあるのよね」降り立つのはこの世界の魔王だ。逆らえばやられる。以前あったときとは魔力量が段違いに多い「俺のこと覚えてる?かな?どーかな?髪櫛の兄貴何だけど」少しはにかみながら問いかけるも「当たり前じゃん………当たり前じゃん!!大好き何だから!!」ウルウルしながら話す魔王。周りの者は魔王様威厳を保ち下さいとうろたえる。当の魔王様は「云っちゃった云っちゃった………挙式そうもう挙式しかない………」そんな魔王様に対して側近の戦士が「行けません!使い魔風情に劣情を抱くなど」どうやら高位の魔族らしい「昔の知り合いか何かは知りません(見下すような視線で)物世界に飛ばされた異魔物がよくも流洲界に来れるものだ」黙っている眉流の後ろから寝そべったまま「そうヤイヤいいなさんな、魔王様の愛らしい姿を見れて悦ばしさ満点なのだから」楽しそうに話すおば様に「トラキ様申し訳ありません。これも規則なのでしばらく我慢してください」頭を下げる魔王様に「ちゃんと魔王やってるんだ。廻りが一癖ありそうな輩多いから心配してたけどよかったわ」欠伸を一回すると安心して一眠りに入るトラキおば様。あきれる眉流くん「何々、寝ちゃったよ!お昼寝ターーイム突入♪」キャッキャと騒ぐ花風さん眉流くんの肩を触ろうとすると「人間のお嬢さん………食べちゃうぞ!」ちょっとちょっとと周りが引くレベル………これが本来の魔王かと思わせる。いけないと思い「花風さん少し落ち着いてね、一応捕まってるんだから」肩を触れる「!!!!!!ダメ駄目だめdame
触っちゃ駄目!!!!」魔力が膨れ上がり牢屋が木っ端微塵になくなる。取り巻きの魔族は防御の結界を咄嗟に張ったがその結界もボロボロだ。魔力の暴発なるほどこれが魔王へと彼女を押し上げたものか、顔を真っ赤にする魔王様に「お戯れはこのぐらいにこのあとは魔界西部のギラッオ進行の会議があります。魔界は未だ一つではありません。一刻も早い統一を」両手で顔をはじき気合いを入れ「では、私はこれで」トラキおば様に一礼。すぐに眉流の方を向き「また、来てもいいいいい…………なんでまない!」乙女全開で去っていく…………「クックッ!ハッタハッタ!お兄さんモテるね………今をトキメク魔界の王女さまに見初められるとは粋だねいいもん見れたわ」隣牢屋である壁の向こうから男勝りな高い声が聞こえる。姿は見えないがここに捕まっているということはろくな奴ではないことは確かだ「ただの幼なじみ?妹の友達なだけですよ…………そういうあなたはこんな所に観光ですか?」高笑い若い女の魔族か「おっと自己紹介がまだだったな、私は“グテナサカラヤ・ヒカノマハ・ヤサアラヒサハ“というしがない魔族だよ」ヒカノマハ……確か先代の魔王の中に“ヒカノマハ“ってついたのがいた。魔族の名門一族………でも「この間合いは“ヒカノマハ“ウチの一族を知ってるな…………ウチは代々魔王を輩出している名門だ。いや今は名門だったというべきかな。今の魔王の二つ前“壊魔“と畏れられた魔王にきれいさっぱり滅ぼされ生き残ったの遠出していたアタシだけ笑えるだろう?」笑う者はその場にいない。その時の魔王の治政は酷く逆らう者は容赦なく殺す…………悪魔ですら怯えおののいていたのだ。「それでヒカノマハの残り火が何の要かなこんな所で?今の魔王にちょっかいかな、でも今の魔王は思ったほど酷く無くないかな、ウチのいちおしなのだがね」昼寝をしながら話すトラキおば様「別にアタシは“取り返しに来ただけよ最もここには無かったけど、骨折り損のなんとやらね、そういうオタクらは何、さっきの魔王様の態度では初恋相手にばったりみたいだったけども偶然にこの島へ転移じゃ無いわね。さっきのおばさん声は上級の魔族、壁こしにもヒシヒシと感じるこの魔力首謀者はそこのおばさんみたいだしね、もう一人ってかこの匂い人間なの…………ハッハッホントに物世界からウケる………ゴメンオナカイタイ………マジウケ何ですけど………ねぇあんたたちもどうせここから抜け出すんでしょなら協力しない外は上級魔物の群れアタシも腕には自信あるけど上級魔物は“カウンタールナアート“持ちオオイカラサ削り会いはかんべんなわけ、そこのおばさんと話してるあんた……あんたも魔族だよね………しかも魔王様の未来の旦那ってのはさておいてどう?手伝う気無しにきの有りかな」いきなりの申し出……確かにここに居ることはプラスにはならないおば様は頼りになんないからな………でもカリュナ様は強敵だ。ただ物世界に帰るだけなら魔王様に事を説明すれば何とかなるかも。断りを入れようとするも「カリュナ様に期待するなら辞めておけ、あれはまだ王のイスに座ったばかり周りに敵も多い。下手な頼み事はかえってあの娘を窮地に追いやる………素直に脱獄がセオリーだろうなぁ」独り毎っぽく話すトラキおば様に「わかりましたよ。まぁ花風さんを守りながらじゃ身動きもとりずらい戦闘を分担できる面も考慮して彼女についていきますか」決定の合図を送ると隣の廊が爆発する。勿論衛兵があつまりだす「何だ、またお前か俺らの実力はイヤと言うほど」その言葉に大きな衝撃が衛兵の腹に一撃「あっははごめーん、今までは手加減してました。様子見も兼ねていたので、今回は本気の運十分の一の実力デーース」倒れ込みそんな言葉通りも聞こえていない。「ひーのふーのやー数の確認はしてたけど(次々と気絶させるヒカノマハのお嬢さん)まぁこんなとこか、衛兵の数少なくない?」「どういうことじゃ令嬢?!」お互いの姿にびっくりする面々ヒカノマハお嬢様は、スライムのような体に目玉が一つ流動体だ。そんな異物が大きなトラキおば様を見て驚いている「いや、前はもう少し衛兵多かったような気がしただけ、特に打撃も与えてないから大怪我してないと思うけど」「どう見ますか?」トラキおば様に尋ねる「ワシとしてはカリュナ様が気になるの」チラ見してくるトラキおば様に「花風さん……付き合ってくれないかな」項垂れ前髪で隠れた顔が真剣に見えたらしい「ええええええええああああ…………末末永く」手を差し出される。手をとり「ありがとう、必ず守ってみせるから!」何じゃか行き違いあるが面白そうだからほっておこう。まるで朝の韓流ドラマを見るような微笑ましさだった。「お話し済んだみたいね。じゃ魔王様に謁見しましょうか」爆発音が鳴り響く「討伐はかなり苦戦してるみたいですね、私も出ます」意を決して王のイスから立ち上がる魔王様しかし頭を垂れながら「今はまだ魔王様がお出になる時期ではありません。雌雄を決するその時まで何卒待機を」項垂れる顔の下には笑みが浮かぶ。全員の殺気がカリュナ様を囲む「そんなに殺気だっては仕留められませんよ」余裕なカリュナ様「囲め!カリュナ様ここからはお人形として我々の意思に従って」ドアを蹴破る音、部屋に流れ込む眉流一行に魔王様の脇の魔族は魔力を一気に高めようとするも脇腹に一撃当てられ魔力が窄んでいく「後ろの………って速いですね」後方では残りの魔族がのされている。ホッとするその表情は魔王様の鼻が下がるほど………鼻を基の位置へ「全く反省が足りないのでは、呆れますねホントに………攫って囲っちゃうぞ」最後のは聞こえないようにすると甲冑の音が「私の椅子はあいたかの」甲冑の合間からは阿鼻叫喚の叫びが木霊している「やはりあなたですか、カヤタハルナサギャンハザ!」呼び捨てる言葉に「先代の魔王なんだがもう少し敬意を払ってくれないかな、ワシが休憩時間をとるために宛がった人形ちゃん」悪びれず返してくる先代魔王に「なるほど返してくれ………そういうことですか?」「話がはやくていいね、魔力もあらかた元に戻った、キミの役目は終わったんだ。いや充実した休暇だったよ。少しは魔王ごっこ楽しめたかな。ほんの数年だけだが」そのやり取りを見ながら「トラキ様あれって確か先代魔王ですよね」眉流の言葉に「んーん、あれを追放したのはワシだからな」「トラキシステ・ヴァルツ・ギルディサル!!!」トラキおば様のフルネームを叫び「やれやれ秘境くんだりまで捜すのかと思ったがよかよか超絶ラッキーなのかな」甲冑がカタカタと揺れる「フルネームで怨まれるとは相当ですね。謝りませんか?」と頼んでみるが「さてね、忘れたねだってカリュナがついでもう数年経ってる。それにお前さんは少しやり過ぎだ。部下への度を超えた行為はいささか目に余る、然しワシやカリュナ様が闘うと結果はどうあれ角が立つ。なので」はいはいと前に出る眉流「舐めている、そんなガキ相手では何の意味も無い!前に出ろ!トラキシステ・ヴァルツ・キルティサル!!」そんな元魔王に「そうカッカしなさんな、あんたの戦力がここを囲んでいる以上うちの戦力でもっとも強いトラキ様の近くが一番安全だ。だからトラキ様には彼女らの護衛をやって貰うのが最善なんです」臆することなく話かける眉流(もっともあのヒカノハマのお嬢さんには手を出させないようにさせるためトラキ様の近くに居てもらうだけど)「いいなお前、うんいい身の程知らずだ!」魔力に当てられる眉流だけじゃない。運悪く前魔王の周りにいた魔族が半分以上倒れる「だらしないな、キサマラ………今の魔王の近くは余程居心地がいいのだろう」体を慣らしながら戦闘準備をする元魔王「小僧名前は普段ならそんなことどうでもいいが、今は興が乗っている消し炭になる前に聞いてやる名乗れ!」やれやれ堅気なことと思いながら「眉流ですよ」たったの一言に「人の名か、まぁいい眉流せいぜい足搔くといい、アドバンテージだキサマの最大の一撃を喰らわせて見よ」仁王立ちで顎を上げ首をさらけ出す前魔王「じゃ遠慮なく」と小さな光の玉を前魔王の首めがけて放つが光の玉は首に届くことはなく魔法陣に絡め取られる「ほぉー今のは見抜いた故の行動かの、それにさっきの魔弾の圧縮レベルワシのとびきり手の込んだ魔法陣の半分以上を欠損させるか、イキガイイ」頭突き?「オラオラどうしたこの頃の若いもんはすぐに魔法で遠距離からチマチマと打たれ弱くなったの」ただの喧嘩かよと思うような肉弾戦。拳のスピードは反応出来るギリギリまで落としながら戦ってる「わざわざ落としてやってんだ。反撃の一つぐらいは頼むよほんとにさ」ガードしている上から強い衝撃が走る「骨が軋むか?魔王に限らず王というのは“先頭を走るモノ“だ。トラキシステ!キサマが選んだ結末だ。文句なら」頭突きが前魔王の兜を揺さぶる「やっと一発かな」大きく息を吐き自身の一撃が入った事を確認する。一息いれたあと「トラキシステ!アップしとけよ、この程度ならすぐ終わる」魔力を最大開放する「ホントにすぐ終わりそうなんですけど」圧倒的な魔力による蹂躙されるイメージを押し付けられそうになる「ほう、さっきよりも動きが良くなっているな(首をならしながら)それじゃ少しテンポを上げるぞ」落としていた拳の速さを元に戻!?しまったかすっ!?全身に倦怠感雷でも落ちたような感覚目の前に影が、涙目の魔王様が覆い被さっている。骨が軋むスイッチが入るように爆発が起きそのあとにはボロボロな眉流と少し不満そうな元魔王様「私が退きます。だから………眉流お兄ちゃんには手を」そんな魔王様のかたに手を乗せ「大きな………パブロノア(魔王様の涙を手でぬぐいながら笑顔で)あれはニガカッタ食べられなかった。大丈夫あの時も今も何も変わらない」頭に手を乗せた跡魔王様の一歩前に「ごめん父さん立派に慣れなくて、ごめん母さん手伝いできなくて、ごめん櫛………約束したアニメ一緒に見れなくて…………」眉流の背中からボロボロな悪魔の翼が現れる。周りの悪魔はみっともないその翼を笑うがトラキ叔母様と前魔王様はとても渋い顔をしている「サリュダス………太古の時代魔族大きく肥大した片目片翼が特徴の容姿は長い悠久を語り継がれているわ」そのサリュダスと似た翼を広げる眉流「さてその翼“張りぼて“でないな……先程までとは魔力の質が変わったクックッ………いいぞ!」一気に前魔王様の立ち位置まで詰める眉流そのまま一撃然し前魔王様はノーガード貴様の力を見せ城から吹き飛ばされる「ここをよろしく」叔母様に頼み外へ出る飛ばしたと思った前魔王様は空中に制止している「びっくりしたよ間違いなくサリュダスだなぁこれはいいぞ!破魔ナールトラスティークルン!」前魔王の左手に大きな矢じりが現れ「さぁお前の好物だ!お上がり」矢じりは複数に分かれ眉流に襲いかかる「破魔ナールトラスティークルンかつて異魔王と呼ばれ恐れられたサリュダスを食らい付くしたといわれる魔神獣ヤカナラートルの牙で作り上げたもの。お前の翼はサリュダスの翼に似ている故に相性は最悪だなぁ」瞬く間に分裂した牙に噛み締められる。そのまま地に伏せられる眉流「サリュダスの再来というのは虫がいいな」牙を戻そうとするが違和感に気づく元魔王様。すぐに牙から手を離し一定の距離をとる「これはサリュダスの効果?違うな“中に別の何かがある“とみた」牙はシナシナの草のようになっている「うーむ軽く見過ぎたかな」視線を眉流の方に向けると背中から生えた羽は大きな獣の姿へと変わっている『久しぶりの干渉者だったから、いつものように眉流お前が俺を掻き消す算段かとも思ったが、いやはや(辺りを見渡し目を細める)懐かしいくされ風景だなぁ』前魔王がその者の前に立ち塞ぐ「見ない顔だな魔物風情か?古種か?」前魔王の言葉に『古いか?まぁ古いかなり古い!魔物だというなら畜生系かな』会話を楽しむ余裕畜生「勝手に出てきて手伝うの?それとも邪魔するの?邪魔するなら今は」『邪魔か、なるほどこのつまらん楔を解き放つ一助ってんなら考えてやる………だがまぁいいや手伝ってやる。今解き放たれても後ろには偏屈魔族、前には戦闘バカ………両方相手はここを離脱まで手間がかかる。それならお前さんだけが弱った時を狙うさ」なるほどと納得する眉流「じゃあ、遠慮なく力使わせてもらうよまずはアレを捕獲する」眉流の意志とは別に羽が動き出す……「サリュダスの翼クックッ面白い!………全くこのような機会二度と無いそれでは……」前魔王の体は大きなハリネズミと化す「この姿で闘うのは魔王の椅子取り以来かな」辺りの魔力が跳ね上がるネズミの一撃地面が剔れた『ちぃ、パワーがまだ足りないな“意識あと三割貰うぞ“いいな!』直後羽が更に体の中から出てくる「ほうまだ力隠していたか」大きな可愛らしいハリネズミと化している前魔王包まると針は黒色へと変化する「質量と性質を自由に換えてくるか、あれだけの魔力の固まりを飼いならす基盤が強固でなければ出来ないね、だが」攻撃をい潜り眉流の体に一撃いれる?「なるほど良い反応ですね」入ったと思ってた一撃は羽が勝手に止めている。隙間から眉流の蹴りが元魔王の顔に傷をつける鼠と鳥の化け物同士の戦いは両者一歩も引かず半時が過ぎる。空に浮かぶ城は半壊している。必死に止めるよう進言するカリュナ。揺さぶられるトラキおば様カリュナの頭に手を置き「本来なら、あの場所で戦うのはお主だ、別にせめているのではない。うれしいのさ」「うれしい?」意味が理解できないカリュナ「眉流はテカとは違うテカは我が弟は魔力も低く戦いの才能もない。この魔界では生きるのはつらいだから物世界での暮らしはとても微笑ましいものだった。姉として心配ごとが減って良かったと安堵した………だがテカの子供………眉流は逆だった。テカとは違い魔力量も多く経緯は分からんがあんな化け物まで飼っていた。魔王の器だったのさ。人にしても魔族にしても神にしても望む望まないにかかわらず……残酷なものだ。だから今の眉流は生き生きとしてる。器が満たされるようでおばさんとしては嬉しい」そんなトラキおばさんの本音に感化されたのかカリュナが心の声を吐き出す「私は微妙です。今回の騒動は現魔王の私が納めるべき案件です。でも一方で………ほんとに一方では………眉流お兄ちゃんに守ってもらえる………アタシの為に戦ってくれてるそう考えると胸がドキドキしてこそばゆくてこの瞬間がとても心地いいんです」全くと女だけの秘密の会話に笑みが止まらない「何々、ガールズトークアタシも混ーぜて、コホン眉流くんか、てか眉流くんすご!教室の窓際でもない廊下側でもない不人気な席に座ってる。自己主張がない機械みたいな男の子テレビやネット、ブクロやジュクジュクの事に興味も示さない。オタクって訳でもない………ただ旅行の時妹さんへのおみやげを必死に選んでる姿はちょっとほんのちょっとだけ………いいなぁって思っちゃいました。目が離せなくて選んでる姿追ってて二、三分がさ気づいたら集合時間、後にも先にもあんな事無かったのにああ、アタシ何言ってんだろ」膨れる魔王「くやしい………くやしいくやしいあたしの方が眉流お兄ちゃんの事知ってるもん髪櫛ちゃんを好きな事なんて、てか髪櫛ちゃんと親友な私が有利だもん」頭に皺が寄る「有利、っかマジ引くんですけど、アタシはクラスメート判る一日の大半同じ部屋にいるの、ふふーん貴方は過去の女なの、絶対量が違うの」お互い何自慢をしているのだろうかギャーギャーと言い争いは続く「眉流も罪な子だね、戦いはおっと最終局面かな、お互い魔力の削りあいは大詰め眉流は羽でのガードがおろそかになってきた。元魔王は動きが明らかに遅い少年漫画の殴り合いかよって感じ」魔力がもう無い休んでていいですよ後は何とかしますから心の声で自身の中にいる化け物に伝える眉流(お前に心配されるかならお言葉に甘えるかそうだ!)最後の力を振り絞り羽が集まり一本の剣になる(置き土産だ………使いたきゃ使え)ではありがたくと剣を抜く「最後の力といったところか」ハリネズミの姿から元に戻る前魔王「魔力切れじゃの、年には勝てんかの」肩をならす前魔王を剣が襲う「ほう、剣の筋も文句なし」躱しきれず傷が増える前魔王「武器か…………こい″バリアナ″」壁が崩れ前魔王の体に似合わない短剣が現れる「まだそれにご執心かな、みっともないの」トラキおば様が煽る「トラキ様、今がチャンスなのでは」カリュナ様が一斉攻撃を提案するが「そうだな、可愛い甥が困ってるなら手でも足でも魂でも貸したい……じゃが口も聞かないなんて言われたらおばさん哀しいのよ」冗談言ってる場合ですか!と怒るカリュナ様「サリュダスの力もガス欠力を貸しても剣一つか、さてさてどうするんだい眉流」目線を眉流に向ける剣を構える姿は中々様になる。見とれる魔王様に縦一閃が入る「踏み込みが甘かったかな」クルリと回転しながら横一閃だが前魔王は籠手を押し当て止める(何と重い一撃よ!)そのまま剣を流すと懐へ腹へ一撃貰う眉流(やっぱり体格差、もろにくらうとズシリとくる)「…………!!はい!アタシ魔王辞めます!」空間が凍る「どういうことだい」鼻息荒く返すトラキおば様「魔王になったのはトラキ様に勧められたっていうのが大部分でした魔族の中でも高い位置にいるわけではなかったです。魔力の高さだけでは引っ張っていくのに足りないかなって………そんなおり前魔王様が戻られたので………それでエヘエヘ……魔王じゃ無くなったので物世界………眉流兄ちゃんとこに…………いけたらいいなぁ」チラチラ眉流を流し見るカリュナ「……くれてやるだと!!」怒りに満ちた視線がカリュナを襲うが眉流が前魔王の視線を遮る「僕との決着が着いていません。魔王様には手を出させない!」決意とは裏腹にもう力が出ない立っているだけ、次受ければやられるかな。然し「ふんシラケたな、おい小娘、今暫く御前に魔王の座は預ける。だが必ず返して貰う」そういって立ち去る前魔王。しばらくはドタバタ劇が続くだろう「あれ?ここは教室?魔界は?魔王は何処?」起き上がる花風さんに「よかった気が付いて、いきなり倒れて目が覚めないから心配したんだよ!おかげで寝不足だけど花風さんが無事なら」眉流の肩を握り「私達魔界の牢屋にいてそうだ。大きな魔族?魔物みたいな喋るあれ?いない?」確認する花風さんに額に手を当て「大丈夫?熱はないみたいだけど魔界か花風さんってイマジネーションがすごいんだ」少し小バカ風に褒めてみると「夢、妄想か、でもすごいリアルだったなぁ」起き上がる花風さん「トイレトイレ!」思い出したようにトイレに一直線に走り出す。眉流の足元に美術室においてある古びた日本人形が現れる「依り代………金髪のフリフリドレスがよかったのに」眉流の肩にちょこんと座る「魔界の方はどうなりました?」両足をばたつかせながら「一応アタシが魔王代行に着いたわ、カリュナは少し療養必要みたいだから……ナので」制服の袖を引く感覚?後ろを見ると「来ちゃった❤」満面の笑みのカリュナ様がいた。すぐにトラキ人形を見るも知らん振り「制服っていうんですね。こういう服は普段着なれないので照れますね………似合うかな」はにかむ少女に頭を抱え…………「ぶぅぶぅ」どうしたのとカリュナちゃんと話しかける髪櫛。そう髪櫛つまり妹と同じクラスへ編入させたのだ「私は髪櫛ちゃんと勉強出来てとってもうれしいよ」無邪気な髪櫛に「髪櫛ちゃんはさ、そのお姉ちゃんとか欲しくないのかな別に変な意味じゃないけどないけど………アタシが眉流お兄ちゃんとつきつきあ」「うーんそうだなお姉ちゃんか髪櫛ちゃんは髪櫛ちゃんかな」そうなんだとがっくり肩を下げる休み時間様子を見に来る眉流にうれしそうに立ち上がり駆け寄る「眉流お兄ちゃんはどうして?はっ!ここくは「妹のクラスへ来るなんてハズいんだけど」恥ずかしさ百%で廊下へ連れ出す髪櫛そのあとを追うカリュナ「ごめんごめんカリュナちゃんの様子が気になったから」私の様子ヘヘヘッもじもじと壁を壊していく羽交い締めで止める髪櫛「はいはい、こっちは大丈夫だからお兄ちゃんも授業始まっちゃうよ」カリュナちゃん元気そうでよかったと安堵しながら自分の教室へ戻る。教室へ戻るとそこには数人の見慣れない生徒がいる。長身の女の子、太った男の子、ひょろ長い男に目の鋭い女の子皆同じ降魔学園なる中学校からの転校生だよと花風さんがご紹介長身の男が目の前に手を差し出し「花風さんに学校の説明をしてもらってました。初めましてアルデカ・ホルトナイルといいます。キミとはクラスメートになるね眉流くん」耳元により小声で「現代のサリュダスお目にかかれて光栄ですよ」一般人いや人じゃないのか?魔族?魔力は?「今は魔力を抑える方法も色々ですからね」笑顔で話し掛けられるが話の内容は世間話ではなかった「アルデカ君は何でここへ、人間が知りたくなったではないですよね」眉流の尋問に「それでは″時を停めよう″」次の瞬間コノセカイの時が止まる。感じる全てが止まっていることとその中で動けるのが転校生と眉流だけだと「我々は貴方を魔王にと思っている者です。今の魔界をすべれるのはカリュナでも前魔王でもトラキシステ・ヴァルツ・ギルディサルでもない………サリュダスの力を継承した眉流様ですよ」柔やかに微笑み時を戻そうと廻りが動き出す「だから、仲良くしてくれると嬉しいな」夢から醒めたような感覚で「まだ会ったばかりだから、それに王になりたいなんて一度も思ったことないよ」それは残念だなぁと困り顔のアルデカそんな彼を押しのける長い髪の女の子が「判ってんの、今魔界は混乱している新しい魔王が必要」まぁまぁと女の子を抑えるアルデカに「アルか王になればいいのに、何でさ?何で此奴なんだよアルだって負けてなんかない絶対に!ぜっーたいに」そんな女の子に「僕では圧倒的に足らない………今の魔界を統べるには象徴的な力がいるんだ。だから」女の子は教室を飛び出す。参ったなと後を追いかけるアルデカ君の後をついていく「どうして着いてきても」言われっぱなしなのも嫌なのでと彼女の後をおいかける。女の子は渡り廊下ですぐ見つかる「リュル教室へ戻ろう」首を横に振る「我々の任務は新たな魔王の擁立だ」振り向き涙を流しながら「何で?何でアルじゃだめなの?」この子はそうかカルデカ君が大好きなんだ…………あれから二時間くらいか(涙を袖で拭きながら)教室へ!辺りが魔力で満ちていた「どういうこと?」クスクスと笑う小学生の少女。傍らにはランドセル持たされた「リリュエットさん?ということはそちらが君が使える魔族ナノね」小学生の少女は一礼したあと「初めましてかな、でも実は二回目なんだ。ヤカリュット・ブランチ・レイトウアまぁ長いのでヤカリでいいよ眉流お兄ちゃん」その小さな体とは反比例するような膨大な魔力が溢れ出ている「廻りを巻き込む気ですか?」眉流が身構える「私と遊んでくれるなら考えて」「えぇっーここまで準備したのに」と使い魔から突っ込みが入る「いいのーあたしが愉しければー、でどうするお兄ちゃんあたしのモノになるって」「バリアテント・ステヤノルヴァ」ランドセルが溶けている「あたしのお気なのに誰よ!」「あたしのモノ?!巫山戯んな!眉流お兄ちゃんはあたしのなの!」うわっ面倒なことになった一応現魔王とランドセル少女が睨み合う「何よ″お下がり魔王″じゃない邪魔しないでよね」使い魔がカリュナを襲うがすぐに蹴散らす「あなた魔族?物世界を根城にしてる外魔でしょ?生物から生気を吸って魔力を溜め込んでる。コソコソ影でやりなさいよ」使い魔が周囲を無差別に襲いかかる「くらいつくせひ弱な生き物を貪れ!止められるならとめてみなちゃーい」膨大な数の魔物が無差別に人を襲っている。すぐに教室へ戻る魔物は強くはない。人間用か教室は地獄絵ではなく………「クソ、何なんだよ此奴らは」クラスは一丸となり机や椅子でバリケードを作っている「これって魔物ってやつか?」「違うでしょ、魔物ならこんなバリケード意味ないよ」「それなら何だよ!羽根もないのに宙に浮いてて攻撃もしてくる生き物なのは間違いないだろ?!」「そうだこれはドローンだ高性能の緻密性能テロリストが仕組んだナノマシンテロ視界に見えているのはナノデバイスが」説明をしていた不聞君はドローンこと使い魔にやられる「公彦がやられた」「大丈夫息はあるみたいだよ」クラスの女の子数人が介抱している。そのすきにクラスの中へ「あれ眉流くん?さっきまで見えなかったのに」「ごめん怖くて隠れてました。あれって使い魔?かな」尋ねる眉流に「使い魔ね、アタシは少し違うと見てる。召喚式があちこちにあるけど式で直接呼んだならあたし達が相手は出来るほどこんなに弱くはないはずだよ″間接召喚″または」「連鎖召喚って事」多分と頷く花風さん「連鎖召喚なら粗方の説明は出来そうだけど………」「けど何か気になるの?」渋い花風さん「気になるのは召喚式が見たこと無いものなの………あれだけ多数の式なら多少は文献に乗ってるモノだと思うんだけど」……文献か………なるほど少し調べてみるか花風さんの推測が当たってるなら普通の人でも持ちこたえられるか「妹が心配だから様子みてくるね」こっそりと部屋を飛び出すが使い魔の群れに遭遇する。然し数十体いた使い魔は全滅する「何だよ大したことねーじゃん。まぁこの″ナリューズドリアクターズデルミナ″に選ばれた公彦様だからこそ倒せたんだけどな」華麗に公彦様復活「っーかそれ量販店のトリアナージで5万もする売れ残りじゃん」呆れながら花風さんが溜め息をつく「なんで二人共外へ?」「はぁ?弱々ヘナヘナ僕の使い魔1号君が何ほざいてんだがね、今から僕のワンダフル生放送配信を」「公彦がどんな理由でついて来たのかは知んないけどアタシは今の状況の把握と推測の確信の為に来ました。まぁ妹さんの無事を確かめたいんでしょなら人数多い方が得だって「分かった、二人共ありがとう。先に進もう」ちょっとかっこいいかなと思う花風とかっこいいのは俺だけと断言する公彦、三人は小学校の校舎を目指し使い魔を蹴散らしていく…………小学校の校舎はパニックを起こしていた「大丈夫よみんな教師生活三年目″菜の花 ルリカ″彼氏募集中、高収入で優しくて、高学歴で優しくて高身長で優しくて、えぇっと」使い魔が襲いかかる。長いほうきで使い魔を薙ぎ払っていく。すごい先生先生と生徒たちは集まっている。そんな生徒たちとは離れたところで見えないスピードで使い魔を瞬殺していくカリュナと髪櫛「カリュナちゃんこの使い魔?たちは何なのかな」「使い魔ではないと思う。弱すぎだからでも数は厄介だな、無尽蔵に湧き出てくる感じ……取り敢えずここ大丈夫みたいだから眉流お兄ちゃんのとこへ…………いかない?」「うーんでも先生には任せらんない感じもう少しお掃除してから向かおうよ」「うん(涙目)そうだねそうした方がいいよね」肩を落とす………数分後「どうよみんなアタシが正義にゃあわかったか!教師生活三年目舐めんなって?あれ?みんなは」キョロキョロする先生に「みんなは避難しましたあとは先生だけですよ。早く学校外どうやら建物のなかしか使い……あの変な生き物は生息出来てませんから………じゃあ逃げてくださいねさようなら」髪櫛はカリュナと共に中学校の校舎へ「ここからはフルで進む」カリュナちゃんの魔力が上がる「カリュナちゃんここ物世界だから魔界みたいにフルでの魔力放出はやめてね、避難してない人もいるんだから」分かってるって全力は出さないよそれに振り返る二人「先生避難して下さいって言いましたよね」そこには菜の花先生が息を切らして追い掛けてきた「逃げるなら貴方達も一緒アタシだけ逃げても問題になるの、ってか何で貴方達は逃げないの?そこら中変な生き物ばかり多くなってる」中央には変な生き物つまり使い魔の大元があるとは言えないから「髪櫛ちゃんのお兄さんが中学校に今いるんです。心配になって髪櫛ちゃんと私で様子を見に行こうかと思ったんです」まぁ会いたいのはアタシの方が強いけど「お兄さん?あぁたまにクラスに来ていた?大丈夫なんじゃないかな、避難してると」二人して「「それはない」」「お兄ちゃんは心配症だからきっとこっちへ向かってます」「だよねだよね!!眉流くん………エヘヘ会える」楽しみにはしゃぐカリュナちゃん。あぁもうと後を追う先生……立ち止まる眉流に「何だよ?急に止まって?」公彦が声をかける「よっしゃい当たりだな」現れた男鼻は長く角が生えている「使い魔ックスナンバーナイン プリリヤルよろぴこん……あんたが噂の使い魔っーか魔物君かな」塀の上から発する言葉にしばらく考えた後に「用件は自己紹介なら腹いっぱいでね」三人を見下ろすプリリヤルニヤリと笑う「なるほどこれは御せないかな旦那の癇癪は勘弁だよなので………お前達は部屋にお戻り」促される「二人は戻った方がいいこれはさっきまでの使い魔とは違うみたいだから」眉流は迷わず小学部へ急ぐ「無視とは違うみたいだね」翔る後ろ姿に銃を構える「アンナモノいつ出した?」気になる疑問も弾丸がその声をかき消す真後ろの死角から放たれた弾丸だが眉流を通過する「敵意や殺気送りまくってたでしょ避けるなり除けるなりしなかったんですか?」少しガッカリするプリリヤルそんなプリリヤルには目もくれない「上手く障害物で躱して最短ルートで向かってやがる」唖然とする。無事なのか心配だったでも………「あいた!」使い魔が二人を取り囲む「花風!どうすんだよ!倒してもうじゃうじゃと湧いてくる!強くは無いがキリがねぇ」確かに無限に出て来る魔物を退けてもキリがない。私には………魔法陣が足下にそこから眉流(魔物モード)が現れる「アタシの悪魔キター!!」ペタペタと触り自らをこすりつける「あちしのあちしのマイデーーモンだ、記念ショ」カシャリ「上げ上げ~♪」『勝手に載せるのはそれよりこの状況の説明を(知ってるけど)してもらってもいいかな』「なんだよコレ」驚いたのは公彦だった。尻餅をつく文献そっくりな悪魔嘘だろ!コレを花風が?目の前の異常に震えが止まらない「へぇ、すげーじゃん魔王と契約かよ」魔王か公彦君は勘違いしてる。さて学校の周囲に魔力はひーふーみー約一五といったところか………しょうが無い集めるか「ファーーーー!!!」ひくい雄叫びと共に魔力の塊が巨大な悪魔(眉流)の口に集約されていく一気に拡散次の瞬間その場に悪魔十五体すべて集まる「どでかい魔力だなぁオイ!」羊の革に獅子のかむり者「カブイてなんぼかな……ちぃ全員集合かよ」巨大な悪魔(眉流)の周りには物世界にいてはいけないレベルの魔力を持った魔物いいや魔族が勢揃いしていた……「お兄ちゃんがピーンチです。向かうよカリュナちゃん」小さな頃を思い出す本の虫だった私の手を惹いてくれた女の子そして眉流お兄ちゃんも「うん!」大きく頷き眉流の元へ向かう……「いーちばんのーり♪??固い?違う魔力の膜だなぁすごーいねーーーーー」「うわーホントホント何これ?異魔?殊鬼なの?」「どちらも違うな異魔は魔力の性質が明らかに違う殊鬼はあんな異業にはならない」「そこまで魔物論議は戦闘の後に異魔でも殊鬼でもないけど強いよ、それは分かるでしょう」その場にいた魔物は頷く………複数の魔物予想していたより強いな魔力だけならカリュナちゃんの護衛をしていた魔族といい勝負まぁ物世界にいていいレベルじゃないわけか「ではそちらの人間を狙うかな」全員の視線が花風と公彦に向けられる「おいおい花風!これやばいんじゃないのか?!こいつら多分だけど其処らにいる化け物擬きとは違う!ホンモノだぞ!姿形こそ俺らに似てるが中身は全くの別物…………ハッキリいってやられるぞ!」箒を握りしめ構える公彦君(すごいな倒してきた弱い魔物だって物世界では心霊現象レベルと同等以上なのに人としての感性が鋭い?いや違う感性じゃなくて本能なのか)「おい花風!お前の魔物俺をじっと見てるが食べようとしてないよな?!」食べまちゅか?!とデレデレだ。一応「人を食べる趣味はありません。食べないので安心を」紳士的な言葉に「契約者以外の人ともしゃべるのかよ」公彦の方を首だけ向け「勿論、魔族だけが上位の生き物なんて驕りはありませんからね、それから周りにいる連中は察しの通りバケモノ前にでないようお願いします」納得する公彦に少し苦笑した「それでは始めますか」魔力を上げていく。「抑えてこれかよ。すごい全員でかかるレベルかは微妙だけどね」魔物の中の一匹が襲いかかるが眉流は魔物の左腕を一瞬で噛みちぎる(避けられた?!咄嗟に魔力源を移動させたのか!)