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2話―スキルは慎重に選ぼう

スキルのとこちょい修正

「へ~、ずいぶんあっさりですね」

「あっさり答えるって、分かってただろ?」

「バレてましたか」


 こいつは最初現れた時、「あなたの読み通り」と言った。おそらく俺の考えてることくらい筒抜けなんだろう。

 若干気持ち悪いが、こいつも一応神様ってことか。


「聞きたいんだが、俺は異世界に行って何をすりゃいいんだ?何もすんなってことはないだろ?」

「それはですね~魔物を倒して欲しいんですよ。最近増えてきたんですよね」

「魔物?魔王じゃなくてか?」

「はい、魔王は滅多に発生しませんし、直近でも50年前ですから、あと100年くらいは大丈夫です」


 発生……魔王って発生するもんなのか?そんな台風みたいな……

 まぁ、要は「魔物を駆逐してやる!」ってことだな。

 聞きたいこと、1つ目はクリアだ。あともう1つ。


「その世界の情報。何も与えられず行け、なんて言わないよな」


 ラノベの主人公がよくすること。それは情報がないままの転生だ。

 実際に行くとなったら、やんないと駄目だろう。策を練らないまま猛獣の住処に突っ込んでいくようなものだ。

 俺はそんな馬鹿なことはしない。冷静に、万全な状態で異世界を満喫したいのだ。


「へぇ……やっぱり賢いですね。今までの人は全員舞い上がって、そんなこと聞かなかったんですけど」

「気持ちは分からなくもないがな。で、くれるのか?」

「えぇ、もちろん。ホイッ」


 女神が指をパチンと鳴らすと同時に、俺の中に津波のごとき膨大な量の情報が流れ込んでくる。


(ぐおっ!?結構キッツいな……)


 俺は船酔いしないタイプだが、それで起こる頭痛の10倍はキツかった。

 やがて痛みが収まるとともに、インストールされた情報が整えられていく。

 世界の仕組み、摂理、そして……魔法の使い方も。


「これで大丈夫ですか?」

「あぁ。にしても、魔法なんて実在したんだな。てっきり創作物にしかないと思ってたよ」

「神が創作した世界なんですから、そりゃぁありますよ。使い方も簡単ですし、問題ありませんよね?」


 確かに使い方は超がつくほど簡単だ。しかし……


「これ、魔力がないと使えないんだろ?俺って魔力あるのか?」

「……さすがですね。というか安心しました。まーた確認せず行こうとするのかとヒヤヒヤしましたよ」

「その口振りから察するに、ないんだな」

「えぇ。元々地球には、魔力の元になる魔素がありませんからね。そんなことも確認せず行くから、あなたの前に行った人はみんな死んじゃってるんですよ」


 俺の前に行った奴ら馬鹿なんじゃないか?この女神ももう少し人を選んだ方が良いと思う。


「つか、分かってたなら止めろよな」

「えー?いいじゃないですか。人間達が意気揚々と異世界に行って、魔力が無いことに絶望した時のあの顔!最っ高に面白いんですよ!……そんな軽蔑するような目で見ないでくださいよ。長く生きてると性格が歪むんですよ」


 こいつ女神じゃなくて邪神なんじゃねぇか。異世界行ったら魔王城でしたーとかこの神ならやりかねん。

 そして歪んでる自覚あんなら直せ。


「安心してください。あなたは他の馬鹿な人達とは違うようですし、特別親切に教えましょう」

「信用していいんだな?」

「はい。安心と実績の女神サポートを信じてください!」


 そう言って胸を張る女神。

 今のところこいつに安心も実績もないんだが。

 ……まぁ、信じてみるか、その女神サポート。


「では、優しい女神様おすすめの異世界アイテム。武器、防具、スキル、その他。それぞれ1つ選んでください!」

「1つずつか……どのくらい考えていいんだ?」

「なるべく早く」

「アバウトだな。そして女神サポートは熟考させてくれないのか」

「お客様の考えがまとまんないうちに、こちらのペースで進めるのが女神サポートですからね」

「典型的な悪徳商法じゃねぇか女神サポート!」


 そんなコントを挟んだが……実際のところ、俺はもう決めてある。

 異世界に憧れていたのだ。実際にこういう状況に立った時、自分ならどんなものを選ぶかなど、何度もシミュレーションしてきた。ここまで予想通りとは思わなかったが。



「まずスキル。魔力を増やし、魔力の回復スピードを上げるスキル」



 一見地味なスキルだ。しかし、魔力を持たない一般ピープルな俺には、そもそも魔力を増やさないとやっていけない。1つ目の条件は必須。

 そして回復スピードだが、これも非常に役立つ。

 魔力とは、魔法を放つための燃料だ。一度使いきったら常人ならフルチャージまで3日はかかる。戦闘中に切れたりなんかしたら一貫の終わりだ。「走り続けられる者が最後には生き残る」と、どっかで聞いたこともあるしな。

 魔力だけ増やすのよりもこっちの方が良いと判断した。


「なるほどなるほど。賢明ですね。エグいスキル盛るよりよっぽどスマートです。えっと、その条件に合うのはっと……」


 指で顎をつまみながら考える女神。多分スキルを探してるんだろう。

 ……こうして見るとやっぱ超絶美人だ。喋んなきゃいいのに。


「あ、ありました。《癒し之神(パナケイア)》ですね。神話級スキルです」


 神話級スキル──世界でも所持している者は数人しかいない。ほとんど幻に近いスキルだ。そんなにすごいのか。

 ちなみに、同じように神話級の武器、神器といわれる武器もある。(与えられた情報より引用。)


「じゃ、スキルはそれで決まりだ」

「了解です。すごいですね。神話級とは」

「選んだのはお前だろ」

「神話級ともなると、その人の素質も問題になるんですよ。適合できるんだから、結構すごいんですよ?あ、概要見せときますね」


 さっきと同じように、スキルの情報が流れてくる。今回はさほどキツくなかった。



 神話級スキル《癒し之神(パナケイア)

 主能力»

 魔力増加・魔力保有限界拡張・魔力回復速度上昇・自己回復能力上昇

 副能力»

 治癒魔法に上方補正・仲間の魔力上昇



 おおう……さすが神話級スキル。効果がえげつない。そして漢字が多い。

 注文にないのまで色々追加されている。限界拡張って、どのくらい拡張されるんだろうか。できればたくさんあって欲しい。

副能力の仲間ってのは、パーティーメンバーとかを指してんのかな。


「OKですか?」

「あぁ、じゃぁ次は武器だな」

ブクマ待ってます!

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