表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/39

13話―勇者は空気を読まない

 ──勇者が来た。

 ついでに言うと俺を探してた。


(いやいや、もしかしたら俺じゃないかもしれない。レイなんて名前、この世界ならたくさんいるだろう。人違いだろう)

「あっ!思い出した!レイ・ナナセって子!」


 駄目でした。ナナセなんて姓はこの世界にはいない。完全に逃げ道を塞がれた。

 冒険者の皆もフィナさんもロウゼンも、全員こちらを見ている。なのにこの勇者はそれに気付いてない。もっと空気を読め。


「それで、いる?このギルドに」

「え、えっと……その……」


 フィナさんが返答に困っている。言うべきか、言わないべきか。

 俺は──その隙に逃げることにした。

 だってこの後の展開が読めたんだもの!この場にとどまるのは得策じゃない!

 そーっと受付を離れ、出口に向かう。



(よし!あともう少し!)



 あと数歩で出れる、って所で邪魔が入った。肩を押さえてきた者がいた。

 ……ロウゼンだった。


「おい、勇者さん?レイ・ナナセって奴はこいつだぞ?」

「え⁉️そうだったの⁉️もー、そうならそうと早く言ってよ!」



 …………やってくれたな、お前。



(何さらっとカミングアウトしてくれてんだ!ここは空気を読んで送り出すべきだったろ!お前も勇者と同類か!)


 俺の驚愕と怨念のこもった視線に気づくことなく、役目は終わったとばかりに去っていくロウゼン。来週の組み手、覚えとけよ。

 勇者の方に視線を戻すと、もう俺の前にいた。すごいスピードだ。


「ええと……俺に用ってのは……」

「うん、女神様が言ってたのと確かに同じだね。黒髪黒目の女の子」

「へ?女神?おま、じゃなくて。話したんですか?」

「そう。夢の中でね。あと敬語はいいよ。そういうの性に合ってないから」


 女神と夢の中で話した……となると、女神の加護を受けてるというのは本当らしい。そしてかなりフランクだ。

 赤毛の勇者は改めて俺の目をまっすぐ見て言ってくる。


「女神様が言うには、会えば分かるって言ってたんだけど……確かに分かったよ」

「……何が?」

「君──私と一緒に来てくれない?」


 ……ほれ見たことか。

 やっぱ面倒じゃん。



 ♢



「ちなみに、理由を伺っても……?」

「うーん、なんかビビッときたんだよね。どう?」


 要は直感か。そんな理由で同行者決めるなよ。

 この展開は予想できていた。展開だけはテンプレなこの世界だ。勇者が来たんだから、こういうことにもなるだろう。

 実際、勇者に同行するのも悪くはない。強い魔物も狩れそうだし、何より美少女と一緒にいれるんだから是非もない。

 しかし、俺はこっちの暮らしの方が合っているのだ。


「ちなみに、一緒に行って俺は何をするんだ?」

「お、来てくれる?」

「それはまだ決めない」

「そっか……ただ魔物を倒してくだけだよ」

「俺、そんな強くないよ?Cランクだよ?やめとこ?」


 なので諦めてもらう。俺は平穏に暮らしていく道を選ぶ!例え勇者(美少女)の誘いであろうとも!


「またまた~分かるよ私には。多分私と同じくらい強いって!」

「そんなことないから!買い被りすぎだから!」

「いやいや私の目は誤魔化せないよ~。もう100体は魔物狩ってるでしょ?」

「すごいなお前の目!正確すぎだろ⁉️そんな狩ってないから!」

「またまた~」


 諦めてよ!こっちはこんな必死なんだから!

 まずい。このままでは俺が一番避けたい流れになる。強引にでもここから離脱せねば!


「ご、ごめん!今からクエスト行くから!」

「あ、そうだ!私と模擬戦やろ!それで決めるから!」


 だから人の話を聞けって!やっぱお前も冒険者の端くれか!

 こいつもこんなだが、勇者だ。戦ったら怪我するかもしれない。それで済めばいいが、それよりももっとひどいことになるかもしれない。


(……いや待て。ここで本当にぼろ負けすれば、勘違いで済ますよな?人違いになるよな?……これだ!)

「よし分かった。そうしよう。怪我しない程度で頼むぞ?俺はひ弱だからな」

「やった!じゃぁ行こう!闘技場あるんでしょ?」


 俺が「ひ弱」と言った時ロウゼンが「はぁっ?」って目で見てきたが、気にしない。勇者基準なら十分ひ弱だし、間違いではない。


(勇者相手なら接戦を装う必要もない。だが、わざと負ける演技は見破られる可能性が高い。加減が難しいな)


 そこそこ大きめの攻撃がきたら、コロッと倒されよう。それで行こう。

 俺が作戦を固めてると、勇者さんはある提案をしてきた。

 ──俺の考えなど吹き飛ばす提案を。


「でも、そうなるとレイさんが勝ったらメリットないよね。そうだ!勝った方が負けた方にひとつだけ、()()()命令できるってどう?一緒に来てもらうってのとは別で!」

「…………え?」



 何でも……今こいつそう言ったか?しかも一緒に来るというお願いとは別で。

 つまり──この空気の読めない勇者に、負けたらもっと変なこと要求されると?


(……前言撤回。この勝負負けられん)


 先ほどの作戦はどこへやら。俺の中にメラメラと戦意が込み上げてくる。

 それに勝ったら、こいつに何でも命令できるのだ。とことんおかしな要求してやろう。泣きっ面かかせてやろう。


(しかし、勝機が全く見えない。Sランク冒険者の実力が、マジで化け物なのは承知している。だが化け物は俺も同じだ。気合いで勝つ!)


 生半可な覚悟ではこいつには勝てない。全力でやらねば。

 思えばクエストでも練習でも、本気でやったことはない。良い機会だ。思う存分試してやろう。

 そんな俺に勇者も嬉しそうなる顔で微笑む。


「うんうん。やる気になってくれたみたいで何よりだよ。私も頑張るぞー!」

「いや、お前は俺の力を見たいんだろ?見る前に倒すなよ?」

「分かってるよ!加減はするからね!できるか分かんないけど!」

「不安にさせないでくれ!いいか?絶対瞬殺するなよ?絶対だぞ?」

「それフリ?」

「フリじゃない!この世界にダチョウ倶楽部いねぇだろ!」


 こいつはボケらしい。分かっていたが。

 この世界、俺はツッコミに回るしかないんだろうか。このままボケキャラばっか増えてくのか?


 しかし……こいつとの会話は無駄に体力が削れるが、なんか楽しい。

 どことなく、初恋の人に似てるからか?

 勇者の少女の汚れのない笑みを見ると、やっぱり……



(いや、似てないか……)

「どうしたの?お腹痛い?」

「大丈夫。体調は万全だ。早く行こう」

「うん!」


 そう元気に返事して、俺の手を取って走る少女の横顔が……とてもワクワクした子どものようで、可愛かった。

読者の皆様は、どのような物語を求めてるのでしょうか?全然分かりません。

それが中々ブクマが増えない理由でしょうね。

そんな俺にブクマと感想という名の励ましをください!


こんなこと言ってるから増えないんでしょうね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ