予定調和
腕輪にぶら下がり憔悴する彼女にセリアが話し掛ける。
「お~い、大丈夫、喋れる?」
(横で案内役が驚愕しているが放置だな)
「・・・うっ・・あ”・・はい・」
「貴女、巫女ね?」
「!?・・・・何故?」
「判ったわ、まぁいい休んでいて」
「案内役、と言う訳だからこの子は私が引き取るわ、構わないでしょ?」
「それはもう当方の不良案件を処理して頂けるのですから構いませんが」
「では、貫頭衣を着せて収監室で休ませてやって、もう暴れないから
それと私は落札商品を見てくるから頼むわよ」
「承知致しました」
案内役はそう言うと恭しく礼をして準備の為に立ち去っていった。
セリアは奴隷控え室へと移動し2人と対面する。
銀髪の女を暫く眺め、声を掛けた。
「貴女とは後で話しましょう」
それを了承とばかりに銀髪の女は首を縦に振る。
15歳の少女に向き直ると腰を落として声を掛けた。
「貴女は孤児?」
「・・・はい・」
「働き口は探したの?」
「探しました・・・でも!」
「でも、何?」
「あたしの体を上から下まで見て、皆断るんです、孤児院から貰った銀貨も
3ヶ月で尽きて・・・」
「働く気は有る訳ね?」
「勿論有ります!」
「国は何処?」
「帝国・だと思います」
「望みの地はある?」
「普通に暮らせるなら、別にありません」
「・・そう」
”また、後でね”そう声を掛け支配人室へとセリアは向かった。
セリアはソファーに座り紅茶を前に支配人と対峙していた。
冷めない内に芳香の良い紅茶を一口頂く。
「おぉ!これはブレンドにしては良い紅茶ね」
「有り難うございます、当店はお客様に御満足頂ける様、努力しております
ので」
「そうね、それにしては支配人、今日の最後の商品は頂けなかったわね」
それを聞いて支配人は顔に動揺の色を見せ問い返す。
「何か当方に不手際でも御座いましたでしょうか?」
「あれは人ね?」
「はい、人で御座いますが」
「許可書はあるの?」
すると支配人は押し黙り下を向いてしまった。
其れを見てセリアが畳み掛けた。
「罪人で有ればあるわよね?」
罪人で有れば領主印が押された罪人証書が発行されている、でなければ奴隷
としてオークションに出す事は出来ない決まりだ。
突然の問い掛けに良い言い訳を思い付けなかったのか、支店長は正直に答え
た。
「・・・罪人では・・御座いません」
「ほぉ~罪人では無いの、私が貴方から受け取った商品詳細には確か
処分付きの犯罪人と在ったわよ?貴方の承認印も押してあるわ、間違ったで
は済まされないでしょうね、もし間違って処分でもされ様ものなら、貴方の
首だけでは済まないでしょうね、ここも取り潰しね、大変な事になったわね
支配人」
「・・・何が仰りたいのでしょうか?」
「イネッサさんここの経営者情報と帳簿を御願い出来るかしら?」
「貴女にここの帳簿を閲覧出来る権限は無い!」
突然言葉を荒げて食い付く支配人を手で制してセリアが淡々と返す。
「残念な事に有るのよ、後で説明するわ、じゃあ御願いね、イネッサさん」
「はい、現経営者は高齢になり廃業の予定でしたが支配人の意向により全権
を預け引退しております、帳簿はこちらになります」
「イネッサさん帳簿の管理は誰がやっているの?」
「支配人です」
セリアは帳簿の仕入れ記載を全てチェックしていく。
「おかしいわね?今日の最後の商品の仕入れの記載が無いわ?私のチェック
ミスかしら?イネッサさんも調べて頂戴?」
「承ります・・・・御座いませんね」
「だそうよ、支配人、詐称、横領未遂、嘱託殺人未遂、公文書偽造、ばれれ
ば何回死ねるかしら?」
「脅して金ですか?」
「貴方如きに端金を貰ってどうするの?私はセリア商会の代表よ?」
「ではどうしろと?」
「貴方に選ばせてあげる、ここを辞めて2度と近付かないか、奴隷刑かどっ
ちがいい?」
「ここの実質経営者は私だ!貴女にそんな事を言われる筋合いは無い!」
支配人は紅茶が溢れんばかりに強くテーブルを叩いた。
「いいえ、有るわよ?オークション前に経営者の爺さんとは話を付けてある
の、既にこの市場は私のもの、死にたく無ければ私物を持ってさっさと立ち
去りなさい」
そう言われた元支配人は苦虫をかみつぶした様な顔で立ち上がり何も持たず
に部屋から出て行った。
「イネッサ支店長、貴女ももう少し低年齢の女の子に優しく出来ると満点な
のだけど?」
「精進させて頂きます」
「頼んだわよ、イネッサ支店長セリア商会の名に恥じない仕事をして頂戴」
イネッサには既に話を着けていたセリアである。




