予期せぬ事態
午後、会場入りすると案内役に通されたのはVIPルームだった。
場内を見渡すと狭かった、殆ど齧り付きと言って良い程ステージに近い、そ
うでなければ商品が見定められないのは判るがまるでストリップ劇場の様で
、居たたまれなくなってくる、唯一救いなのはステージが一般の倍近く高い
事か。
ステージにスポットライトが当てられ進行役がおべっかを言いながらステー
ジを盛り上げていく。
1人目は男だ、まだ若い大人に成り切ってはいない、首輪に付けられた横棒
に腕を広げて十字架の様に手錠を嵌められいる、服は着ていない。
金貨5枚からのスタートだ。
手元には支配人から貰った過去3ヶ月の落札価格表と出品詳細が有る。
それによると予想落札価格は金貨30枚前後、競りのスピードは遅い金貨2
0枚まで上がった。
そこでステージに上がった商人が案内役と商品の品定めをしている。
その光景を見てどう言う所からの注文だったのかを理解した。
落札価格は35枚、相場よりは高い、彼の命が今後少しでも永らえる事を祈
るばかりだ。
今日の予定は10人、資料によると2人目は農夫、借金返済、期間限定25
歳と書かれていた。
出て来た格好はさっきと同じだ、スタートは1枚から、今度は先程の様な声
は掛からなかった、後ろに控えるVIPルームの案内役に理由を聞いたら返
済金額分だけの期間限定奴隷なのだと教えてくれた愛玩用だと返済金も多く
仕事が楽なので進んで奴隷になる者が多いのだそうだ、上がったのは赤札、
それを見て後ろを振り向くと
「あれは要相談ですね、返済金額で期間が決まりますから利益が出ない様で
は商人も買いません」
3人目は女、商家、22歳、殺人犯、終身とある、スタートは10枚から
然し動きは無い、若いのだからと思ったがそう言う事でも無いらしい、仕方
なく案内役に聞いてみると美人では無い事が1番で、子供がいるかららしい
、結局声が掛からないまま流れてしまった、また案内役にああ言う場合はど
うなるのか聞いたらスタート金額が2枚ずつ下がって行くのだそうだ、それ
でも売れない場合は男女関係なく鉱山に送られ男は労働、女は有給最下層労
働者向けの娼婦になるそうだ。
4人目は男、犯罪者、終身30歳、1枚からスタートだ、結構良い体つきを
している、暫くたってから札が上がった、1枚で落札だ、男を見ていたらホ
ッとした表情になった。
すかさず案内役が耳打ちしてくれた”鉱山送りよりはマシなんですよ”と。
5人目は女、犯罪者、終身、ダークエルフ102歳。
進行役が本日1人目の目玉商品と声を張り上げている、スタートは50枚か
らだ。
ダークエルフで102歳は私達と同じ様に身体的に成人ではない、人で言う
16,7歳と言う所だ、犯罪者とあるので顔を上げたらまた耳打ちしてくれ
た。
「あれは食い逃げです」
札はぽんぽん上がり100枚まで行って止まった、そこで私が上げた。
1人が2回程競ったが私が札を上げたままなのを見て諦めた。
6,7人目と男の犯罪者が続き、8人目は女、犯罪者、詐欺、終身、処分2
0歳と有る、スタートは45枚、上がりは早い、案内役は振り向かなくても
耳元で囁いた”あれは使い飽きたら処刑を義務付けされているのです”そう言
われ80枚で赤札を上げたままにしたが止まらずに95枚で周りが引いた、
仕方がないか。
9人目が帝国出品らしい、女、19歳、としか書いていない。スタートは8
0枚から、競りは現在150枚、ボチボチ上がっていく、鬱陶しいのでここ
で上げた155枚。
4人競っていたが後を振り返ると全員札を下げた、判ってらっしゃる。
目的の人物をゲットしたが記述の無い次の女に興味を引かれ、出品されて思
わず立ち上がってしまった。
そう出て来たのはハイエルフだった。
私は即座に振り向き案内役に叫んだ。
「あれはどう言う事だ!!」
本当で有れば約定によりハイエルフが奴隷になる事など犯罪者であっても絶
対に無いのだ。
案内役は両手を前に上げ困った様に言い訳をした。
「当方もお断りしたのですが本人が頑として聞かないもので」
そして私は競りが始まる前にすぐさま赤札を上げ案内役に言った。
「商品を引っ込めろ!競りは中止だ!すぐに支配人を呼べ!」




