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ヘッドハンティング

車を動かし始めたら運転席の脇から顔を出したアリエスがボソッと囁いた。

「お前さ、トラブル体質なんじゃね?」

「失敬な!そんな訳ないじゃない!」

「だってさ、出立から何人拾った?既に4人だぞ?」

「こんな事そうそう続かないわよ!」

「アルリアに帰る頃には何人になってるんだろうな?」

そう言ってクスクス笑っている。

言われてこれからやろうとしている事を思い返して冷や汗が出てしまった。

車は既に定員だ、子供1人位なら何とかなるがそれ以上ならアウトだ。

(・・・トレーラーでも作るか・・・)

既に引き取る気満々のセリアだった。


リベリオは開墾都市だ、城壁はやはり四角、但し他の都市より城壁が長い気

がする、壁から森まで10リック程しか離れてはいない林業が中心の都市ら

しく周りの森は鬱蒼とはしていない、結構な間隔で間伐がしてあり見通しも

明るい、外来者に与える都市総観に暗いイメージは無い、領主の努力が伺え

る良い都市だ。


暫く検問の番を待っていたが注目度が半端ではない、皆こちらを見てヒソヒ

ソと話をしている、いい加減慣れてはきたが落ち着かない事に変わりはない。

門番の質問も殆ど形骸化しているとしか思えない程同じなので返事に困る事

は無くなった。

出る時にミレーヌさんから共和国内で通じる鑑札を貰ったのが大きく効いて

いる、流石共和国随一の商会だ、車への質問以外何も無かった。

城下へ入って面積が広い理由が判った、この市街は木造建築がメインになっ

ている、領主館は高城では無く”屋敷”、”縦”では無く”横”に広い、表通り以

外は平屋が多く面積が少し広い様だ、昼も近いので取り敢えず近場の酒場へ

と入る。

この酒場は入る前から少し期待していた、入口の扉が長けの無いスイングド

ア、中へ入れば期待通りのウエスタンで樽まで有った、晩酌の地酒が期待出

来そうだ。

昼食は人数分軽い物を食べ食後の紅茶を飲んでいると、男がいきなり入って

きてマスターと口論を始めた、人攫いとかパーティーとか言っているが私達

が関わる事では無いので放置だ、余り間を置かずに男は立ち去ったが酒場が

混んで来たので出る事にし、支払いの時にチラリと聞いたがギルドで断られ

たのでここへ人捜しのパーティーを探しに来たらしい、条件と規定に合わな

いので断ったそうだが人捜しなど最低ランクのクエストのはず、揉める事な

どあるのだろうか?まぁどうでも良いが。


食後で歩く気も無いので車でテレテレ移動していたらさっき酒場に来ていた

男がギルドの入口前で職員らしき人に手をヒラヒラされて追い返されている

場面に出くわした。

苦虫を噛み潰した様な顔で去って行く男に懲りない奴だと思いつつ通り過ぎ

、門番の所へとたどり着く、門の景観は和洋折衷、甍の波では無かった、テ

レイヤ程では無いが小さな門番所が有り、ミレーヌさんに言われた通りに門

番に伝えると場所と”ノックの仕方”を教わった。

成る程二重三重のセーフティーな訳だ、随分と用心深い奴だな、叩けば何か

出て来そうだ。


奴の自宅はギルドのすぐ近くだった、ギルド向かいの細い路地を私1人で向

かっている。

他の皆は路駐で待機、ゾロゾロ行っては心証が悪くなるかもしれない。

扉を叩こうと腕を上げた瞬間に内開きの扉が空いて男と鉢合わせた。

訝しむ男を見詰めて、上げていた手で扉を叩く。

一瞬目を見開いた男は直ぐに納得したらしく中へと誘う。

建屋的には広そうだが中は結構乱雑になっている、ざっと見れば錬金関係の

資材とすぐに判る物が多いが綺麗に片付けられてはいる。

テーブルセットの椅子を勧められ腰を降ろす、テーブルに両腕を着きながら

椅子に座った男は落ち着きの無い様子で指でトントンとテーブルを叩きなが

ら口を開いた。

「悪いが今は商品が無いんだ、折角来て貰って悪いんだが連絡先を教えて貰

ってまた後にしてくれないか?」

ここで少し鎌を架ける事にした、この男はさっき酒場に来た男だ。

「有ると聞いて来たのだがどう言う事だろうか?」

「昨日までは有ったんだがどうやら盗まれたらしい」

「らしい?とはどう言う事だ?お前は見ていないのか?」

「ああ、留守番の奴がそう言ってたからな」

「では、盗んだ奴の顔は見ているんだな?」

「多分な、ただ其奴は族に刺されて隣の部屋でもう虫の息だ、もう長くは無

いだろう」

「それは商品か?」

「ん?ああ、そうだが?」

「ならば私に売らんか?」

「構わんが直ぐに駄目になるぞ?」

「構わんよ、幾らだ?」

「いや、代金はいい引き取ってくれ」

「そうか、では少し失礼する」

そう言って隣の部屋へと移動しサッサと治癒魔法で治し、呪いはまだ掛けら

れていない様なので眷族契約を済ませ私の魔力を与えておく、これで死ぬ事

はなくなった。

そして彼女の秘部へと手を這わせ指を入れて確かめ洗浄魔法を躰へ掛けた。


これで話が終わった訳では無いので奴の元へと戻って話を聞いた。

「それで盗んだ奴の見当は付いているのか?」

「ああ、おおよそはな」

「取り返しには行かんのか?」

「そんな簡単な相手じゃねえよ、人捜しじゃ割が合わな過ぎてギルドじゃ受

けてくれねぇし奪還じゃこっちが割に合わねえ、打つ手はねえよ」

「そうか、所で商品は今までいくつ作ったんだ?」

「あぁ?そうだな・・・15年で10体だ、思ったより儲からないな、経費

が掛かり過ぎるし手間も掛かる、出荷まで5年も掛かるし使える様になるま

で最低7年は育てなきゃなんねぇから5年で出しても高額にはならねぇんだ

、時間も取られるし良い事はねぇな、仕込むんだったらその辺からそれなり

の歳の娘を攫って来た方が早くて安いからな、訳ありの貴族以外で高額出す

奴はいねぇよ」

「それなら何処かへ勤めれば良いではないか?」

「力仕事は無理な錬金術師でこの歳だぞ?何処も雇っちゃくれないさ」

「お前の技術を生かせる仕事ならやるか?」

「ああ、もちろんだ、こんな命も危うい仕事で無けりゃやるさ」

「そうか、じゃあ話を戻そうか、その盗まれた商品とやらは私が取り戻して

やる。

そしてお前の通常売価で買ってやる、それでこの商売から足を洗うなら、就

職先を斡旋してやる、何なら今直ぐにでも雇ってやるぞ、そしてその辺の店

より高給だ」

セリアの目から視線を逸らして話していた男は目を見開き視線だけを向け問

い返した。

「・・・嘘じゃねぇんだな?」

そして次のセリアの一言が決定打と成った。

「何なら老後の面倒も見てやろうか?」

「・・宜しく御願い致します」

「決まりだな、切りも良いから今日から給金計算はしておく、これでお前は

うちの商会員だ、商会の本社はアルリアのセリア商会と言う所で帝国とこの

共和国にも支店が出来る、最初は本社で研修だがその後はお前の都合の良い

所に行ってもいいぞ?」

「あの・・噂のセリア商会?・・ですか?」

「ん?何だ知っているのか?」

「ええまぁ、・・で、貴女様はどう言う御関係で?」

「あぁ言って無かったな、私がセリア商会の代表のセリア・トラーシュだ」















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