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商人として

今日は朝からミレーヌ商会の会頭室にお邪魔している。

ミレーヌ会頭ならば知っているだろうと無理を言って時間を作って貰った。

秘書さんが紅茶を置いたタイミングでミレーヌさんが問い掛けた。

「それで何の御用でしょうか?」

「率直に申し上げればホムンクルスの件についてお聞きしたい事が有ります」

「私に答えられる事であればお答えしますが場合によってはお答えしかねる

事も有りますのでそれで宜しいでしょうか?」

「その辺は重々承知している積もりですが至らぬ質問をしましたら遠慮無く

仰ってください、何せ不慣れな分野なもので」

ミレーヌさんは”冷めない内に”と紅茶を勧めた。

一口頂き口を開く。

「唐突で申し訳無いのですが、ホムンクルスが市場に出回る様になったのは

いつ頃からなのでしょうか?」

ミレーヌさんは暫く考えると曖昧な返事をした。

「多分10年前辺りだと思います、私も人伝手で紹介されたものでハッキリ

とは存じていないのです」

「そうですか、今までおおよそどの程度出回っているか御存知でしょうか?」

「私が当時聞いた話では、年3体が限界だと話していました、私が買い受け

た時にあの子は5歳でしたので、最高で45人は居る計算ですね、ですが数

年は自分で育てると言っていましたので1人で3体育てるのは厳しいのでは

とも思いますね、3体を5年続けると15人ではとても無理でしょう」

「そうですね、それで私が”買いたい”と言えば売り主を教えて頂けるのでし

ょうか?」

ミレーヌさんは少し訝しむ顔で真意を尋ねて来た。

「それは本当に”買う”だけなのですね?」

「御存知と思いますが私は殺生を厭う事は御座いません、ですが他人様に顔

向け出来ない様な事をした覚えもする気も御座いません、ミレーヌさんも人

として、商人としての矜持はお持ちになっておられるのですよね?」

ミレーヌの顔つきが商人のそれへと変わった。

「・・・判りました、そこまで言われては教えない訳にはいきませんね・・

ここから西北西に240リーク、リベリオと言う都市が有ります、そこの高

城門番に錬金術師のカリアス・パトリーニは何処だと聞けば教えてくれます」

「有り難う御座います、急ではございますがこれからリベリオへ出立しよう

と思います、短い間では御座いましたが御世話になり大変感謝しております、

今後も当商会と良い取引が出来ます事を心から思っております。」

彼女も理解しているのだろう、共に商人として握手を交わしその場で別れた。

見送る様な関係では”まだ”無い。

彼女との関係は、まだ始まったばかりなのだから。


車に戻ると席に座る位置が変わっていた、朝ミレーヌ商会へ来るまでは誰も

座って居なかったが、今は助手席にエルミーが座っている。

ミドルシートに3人座っていて、パッセンジャーシートには誰も座って居な

い。

「何故?」

と聞いたらエルミーが”ジャンケンの順番よ”との答えに納得した、昨日の夜

に暇なのでジャンケンを教えたのだが、どうやら皆嵌まったらしく夕飯のお

かずを賭けて”3回先勝ち”で勝負をしていた、泣いていたのはアリエスだっ

たが。

それで私はミドルシートの真ん中に座るアリエスに声を掛けた。

「アリエス、お前がビリか?」

チラリとこちらを見たがそっぽを向いてブスっとしている、判り易い奴だ。

仕方が無いので”お前が寄り掛かっている背もたれの両脇の穴に手を突っ込

んで前に引いてみろ”と教えてやった。

肘掛けが付いているのだ、少し広い車にはこれが無いとカーブで真ん中に座

る人が転がってしまうからね。

一瞬でアリエスの顔は満面の笑み、チョロい奴だ。

さてリベリオへ出発だ。

本来の目的から随分と離れてはいるが彼も同じ行動をするのだろうな。

セリアはそう信じて車を発進させた。

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