矜持
2人で車に乗り込むと皆が無表情な事に気が付いた。
「ん?皆どうしたの?」
するとアリエスが代表で口を開いた。
「相変わらずすげぇ~なお前、総て剣を叩き折ってから切り伏せてたのは何
でだ?」
「それは一瞬でも今まで与えてきたであろう死ぬ恐怖を味わって貰い懺悔し
て貰う為ですね」
「えげつねぇ~な、今の戦闘、敵なんて全然見て無かっただろ?」
「そこのエレナだって似た様なものだぞ?」
するとエレナが手を左右にブンブン振って否定をした。
「イヤイヤイヤ、あたしはあそこまでなんて無理だし!」
「イネスで鍛練した時良い所まで付いて来たじゃないか?」
「だってあたしバスタードだしさっきのあんたのレイピアの動きが見えなか
ったんだよね」
「貴女だってレイピアに魔力纏わせればそれ位出来る様に鍛えてあげるわよ
?」
「イヤイヤイヤ、無理だから!あんたと一緒にしないでよ!」
「あの!!!」
「ん?!なぁに?メイドさん?」
「あたしに剣の鍛練をして頂けませんか!!」
そう言われてミレーヌさんを見た。
「私は貴女が良いなら別に構わないけれど?」
ミレーヌさんが了承してしまっては仕方が無い私には何もメリットは無いの
だがまぁやる気が有るのは良い事だと思い溜息を吐きつつ了承した。
「じゃあテレイヤに着いてからね」
そう言われた彼女は道中ずっと機嫌が良かったのであった。
道中余計な事が起きた為にイラリオに到着したのは5時半過ぎ今日は時間も
遅いと言う事で全員で外食となる。
その辺に地元料理の店は無いかとミレーヌさんに聞いたら、是非奢らせてく
れと言ったので御相伴させて貰った。
ここでこのまま別れてしまっては彼女が可哀想なのでミレーヌさんに聞いて
おく。
「所でメイドさんの剣の鍛練の話ですがどうすれば宜しいでしょうか?」
そう言った途端、メイドさんはミレーヌさんの前へと回り込み土下座をして
話出した。
「ミレーヌ様御願いが御座います!」
「何ですか?いきなりですね?」
「私は今でも、今までもミレーヌ様から死んでも返し切れない御恩が有る事
は重々承知している積もりです、ですが私は命を賭してもセリア様にお仕え
したいのです、身勝手な事を言っているのは判っています、私の心が叫ぶの
です!
お前はこのセリア様に仕える為に生まれて来たのだと!
どうか、私の願いを聞き届けて頂けないでしょうか?!」
「はぁ?いつからそんな事に?」
「セリア様に初めてお会いした瞬間に雷に打たれた様な衝撃に襲われ、この
方が私の生涯お仕えする方なのだと理解したのです」
「それは困ったわね、気持ちは判ったけれどねぇ」
「ミレーヌ様、商会会長として商いをする気は御座いませんか?」
私はミレーヌさんにそう誘い掛けた。
「それはどう言った取引なのでしょうか?」
「その子は奴隷なのですよね?商人としてミレーヌさんに売る気が有るなら
私がミレーヌさんの言い値で買い取りましょう」
そう、彼女は買われた事を証明する首輪を付けている奴隷である。
「それでは貴女に何のメリットも無いではないですか?護衛が不要な程の腕
前ですし貴女は奴隷が欲しくて買われる訳では無いのですよね?」
「そうですね、私は別に奴隷が欲しい訳ではありません私は人が自由である
事にお金を払いたいと思っております、この様なお話には御納得頂けません
でしょうか?とは言っても私は別段奴隷制度に反対している訳ではございま
せん、犯罪に手を染め罰として奴隷に落ちる事は当然だと考えております、
彼女の場合はそれとは大きく異なる理由、犯罪者では無いのではありません
か?もし犯罪者だと言うのでしたらこの話は提げさせて頂きます、それに犯
罪者よりもこの様な奴隷の方がより安全だとお考えになられるのも理解して
いるつもりです、私の考え方に賛同してくれとは申しませんが御理解頂けれ
ば幸いと存じます」
「人・ですか・・・・・判りました、後程請求書を送らせて頂きます」
「有り難う御座います」
私はミレーヌさんに深々と頭を下げた。
「さあ、これで貴女は自由よ、首輪は明日ミラと一緒に外してあげるわ所で
メイドさん、貴女の御名前は何て言うのかしら?」
「サラと申します、宜しく御願い致します」




