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帝国にて

翌朝、5分前行動を実践し集合場所へと出向いた。

流石に先方はまだ来ては居ない様だ、昨日アンジュに言われていた荷物を受け取

り積み込むタイミングでミレーヌさんがやって来た、女性の侍従を連れている。

メイド服がスレンダーで小柄な躰に良く似合っている、ただ一つ違和感が拭えな

いのは気のせいではないのだろう、ミレーヌさんが鞄を持っているのに彼女は何

も持っていない、紹介もしなければ名前も教えないならそう言う事なのだろう。

(まぁ大体の検討は付くが)

などと考えながら朝の挨拶を済ませた。

この車は基本的に5人乗りだ、後部荷室にはベンチシートでは無く対面のパッセ

ンジャーシートを設えている、運転は私、助手席には初心者のミレーヌさん、

ミドルシートに3人組、パッセンジャーにメイドさんと奴隷ちゃんで御願いした。

城下は馬車の並み足程度の速度、城門を出て一気に加速する。

隣でミレーヌさんが超ビビってますが直ぐに慣れるでしょ?チラリとルームミラ

ーでメイドさんを見たがミレーヌさん並みのいい顔覧させて頂きました。


帝国国境まで2時間ちょいで到着です。ここでちょっと問題が発生してしまった。

”冒険者セリア・トラーシュ”のカードでは通してくれなかったのだ。

通例の判断で特例事項までは伝わっていないらしい、仕方が無いので商業ギルド

のカードで”セリア商会のセリア・トラーシュ”を提示したら1発OK、流石に持

つべきものは王族友達です。(ただの知り合いだが)

途中の町で昼食を摂り、帝国に着いたのは午後3時頃、少し飛ばしたので予定よ

りは早かった、ここを素通りする訳には行かないので一応王女に謁見申請を出し

ておく、会えなくとも別に構わないのだが、筋は通しておくのが商人としての矜

持だ。

昨日アンジュに聞いたが現在帝都にセリア商会の支店を建設中らしい、費用は帝

国の王族持ちだが色々と条件を付けられたらしいが全く問題が無い内容との事で

了承したらしい、内容は全く聞いていないがアンジュなら大丈夫だろう。

私も運転で少し疲れたので休憩がてらミレーヌさん御用達の宿へと逗留させて貰

う事にした、部屋自体を専用で買い取っているらしい流石に富豪なだけはある。

全員分の部屋を取ると言ってくれたが流石に断った、一部屋に雑魚寝で充分だ、

休めればそれで良い、贅沢は敵なのだ。

ソファーで紅茶を1杯嗜んだ程度の時間で王女の使いが訪れた、恭しく頭を下げ

口を開いた。

「クリスタ様が今直ぐにでもお会いになるそうです、自室にてお待ちしていると

の事でございます」

「判りました、では案内を御願い出来ますか?」

使いの者は恭しく頭を下げ了承の意を伝えると私をいざない王城へと案内した。

アルリアの高城も立派だが帝国はその上を行っている、至る所に大理石が使われ

ているのだ、お金の掛け方が半端では無い、いくら国の威信や威厳の為とは言え

ここへ住むとなると違うと思ってしまうのは貧乏人根性なのだろうか。

自分の住む家に落ち着きを求めてしまうのは間違ってはいないと思いたい。


そんな他愛もない事を思いつつ歩いて行くと少し奥まった所へと入っていく、

先程とは打って変わった様相にこの城の主の考え方に共感してしまった。

(やはり煌びやかさでは心は安まらないのだろうな)そんな場所で使いの者は

立ち止まりノックをした。


中へと通された第一印象は質素の一言に尽きた、アルリアに来た時の煌びやかな

印象とは程遠い部屋だ、そんな私の顔に思い至ったのかクリスタが話掛けた。

「質素な部屋で驚かれましたか?」

「ご挨拶もせずにこの様な態度、誠に申し訳ありません」

「いいえ構いませんよ、大抵の方がその様な反応をなさいますから」

そう言いながらクスクスと笑っている。

「外交と内実は別と理解しても宜しいのでしょうか?」

「そうですね、誤解が無い様言って置きますがわたくし派手なのは好きでは無い

のです、だって落ち着きませんもの、普段はこの様な感じなんですのよ?」

「そうですか、では私の王女様に対する評価と印象を上方修正させて頂きます」

「そうしてくださると嬉しいですわ、あっ!申し訳ありません立ち話をさせてし

まって、どうぞお座りになってください」

王女はお茶を出す指示をしてソファーへと誘った。

座って早々に今日お邪魔した本題を早速切り出す。

「実は今日お伺いしたのは帝都支店オープンに合わせて新発売する商品を御覧に

なって頂こうと思いまして持参した次第です」

そう言いながら”すまほ”を2台テーブルの上に置いた。

「説明を受けるよりお使いになってみた方が理解が早いと思いますので使ってみ

ましょう?」

「ええ、そうですわね」

「それではこちらのここへ私の名前が出ましたら、この様に触って頂きこの様に

耳に当ててください」

「宜しいですか?いきますよ?」

クリスタは音が鳴り名前が出たので其れをタッチし耳に当てた。

{もしもし、クリスタ様聞こえますか?セリアです}

するとクリスタは目をパチパチさせ驚いている。

「こ、これは一体??」

「これは魔導通信装置”すまほ”と言います、どんなに離れていても会話が出来る

装置です」

「如何ですか?お気に召しましたでしょうか?この装置の重要性は王女様ならお

判りになると思いますが?」

「これは・・・重要性所の話では無いですね、これを使い熟した国が世界を制す

ると言っても過言では無いでしょうね」

「御理解頂けて嬉しく思います」

「ただ、価格だけは時計の比では無いですが」

「でしょうね、数を揃えたら国庫が空になりそうですわね」

「今日は新製品のご紹介ですし混乱を避ける為に店頭販売は当面致しません、予

約販売とさせて頂くつもりです、ご注文頂ける様でしたら多少の融通はさせて頂

きますので宜しく御願い致します」

この腰の低さはアンジュに”売り込んで来い”と言われたからに他ならない。

久々に営業魂を炸裂させたセリアであった。




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