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共和国へは明日の朝出立する事にして一旦アルリアの自宅に戻る事にした。
どの道アルリア経由でしか道が無いのだ、畑を荒らして直進する程急いでいる訳
では無い、気休めでしか無いのは判っているがどうしてもあのちびっ子を”全てを
洗いたかった”のだ。
自宅前に車を乗り付けここで一旦解散したら、”全員が家に入って来た”溜息しか
出ませんわ。
パーティーメンバー3人には”ケロヨン”を持たせて叩き出した、その後ちびっ子
を丹念に洗い込み服は私のお古を着せた、3人は既に戻っていたのでゾロゾロと
いつもの酒場に晩御飯へ、と言ってもまだ4時半頃なので4人を置いて向かいの
お店に顔を出した。
店番の子は知らない子だったので、アンジュの在宅を聞き2階へと上がる。
代表室の扉は開け放たれていて風が抜けて行き涼しげだ、もうそんな時季かと思
いつつ扉を叩いた。
「やぁ、アンジュお久し振りね」
声を掛けながら中に入るとこちらを見るアンジュと後ろを振り向く見知らぬ顔が
そこには有った。
アンジュは私を見るなり声をあげた。
「代表?!グッドタイミングです!」
その一言に見知らぬ人が声をあげた。
「アンジュ様?貴女が代表なのでは無いのですか?」
「私は正式代表がお留守の間だけ代表をさせて頂いております、其方にいらっし
ゃるお方が正式代表のセリア・トラーシュ様です、何せこのお店はセリア商会な
のですから」
アンジュは言い終わると自分の隣へと私を誘うと同時に改めて紹介をした。
「こちらが正式代表のセリア・トラーシュ様です、そしてそちらに居られる方が
共和国随一の商人、ミレーヌ商会のミレーヌ・アールステット様です」
互いに握手を交わし、話をアンジュへ戻した。
「所で何の話をしてらしたのかしら?」
「そちらのミレーヌ様が共和国にて当店の商品を取り扱いたいと言うお話を頂い
ております」
それを聞いてセリアが問い質した。
「当店の商品をどの様な扱いで販売なさりたいのでしょうか?」
「出来ましたら”ミレーヌブランド”として売り出したいと思っております」
「それは構いませんがそれなりの条件を付けさせて頂く事になると思います」
「それは如何様な条件になりますでしょうか?」
「当店の販売価格を”定価”と定めそれ以外の価格での販売はしない他店への商品
の横流しの禁止、商品の取引方法は全て現金での支払い、商品へのブランド名の
取り付け及び両ブランド名商品の併売、証明の出来ない不良品の引き取りと交換
の拒否、販売時の商品取り扱いの徹底説明、要は当店の商品を扱うに値するお店
と言う事で有ればお受けいたしますが?」
「・・・・流石ですわ、セリア様こちらからも宜しく御願い致します」
「それと今の内に言って置きますが帝国にも共和国にもその内当店の支店がオー
プン致しますがその時はセリアブランドは引き取らせて頂きます、その場合はミ
レーヌブランド専用の商品提供を始めたいと考えております、例えば”色違い”で
すね、”この色はミレーヌで無ければ手に入らない”などですね」
「是非に御願い致します」
セリアはチラリとミレーヌを見遣ると探りを入れた。
「共和国で当店の噂でもお聞きになられたのですか?」
「いえ、その時は帝国に居りまして陛下から拝見した次第です」
「あぁ成る程、所であちらへはいつお帰りですか?」
「大枠が決まれば明日にでも帰りますが?」
「実は明日私も私用で共和国へ伺うのですが、御一緒しますか?お2人まででしたら
3日後には共和国に着きますが如何致しますか?」
「は???そんな馬鹿な、およそ1000ルークの距離ですよ?」
「そうですね、3日で着きますね」
「馬車で20日近く掛かるのですが?」
「そうですね、3日ですね」
「・・・・宜しく御願い致します」
ミレーヌは深々と頭を下げた。
「時計はお持ちですか?」
「はい、持っておりますが」
「では、明日朝9時このお店の前で待ち合わせで宜しいですか?
出来れば手荷物はお金と着替え位で御願いしますね?」
「判りました、それでは明朝に」
ミレーヌは納得出来ない顔のまま逗留先へと戻っていったのだった。




