時計の世界
13日アルリア王国の王都は戦勝に沸いていた。
何処へ行ってもその話で持ちきりだ、通りを歩いていても聞こえてくるのは
その話だ、まぁ知り合いが居る訳でも無いので話し掛けられる事も無い。
気にも留めずに目的地に向け進んで行く、1度立ち寄った事が有るので迷う
事も無い、いつもと違い今日は一人なので気も楽だ、ゆっくり眺めて居られ
そうだ。
足取りも軽くたどり着いた所は”セリア商会”。
”お邪魔するよ”と声を掛けて中へと入った。
奥の椅子に座る女性から”いらっしゃいませ”と声を掛けられるがこの間とは
違う女性だった。
「すまないが、この間も少し見せて貰ってね、今日はもう少し良く見せて貰
おうと思い寄せて貰ったのだが宜しいだろうか」
そう言っている間も柔やかに対応するのはアンジュ・ベラーシュ代表代行だ
「えぇ、タイプも色々御座いますので、お手に取ってお好きなだけご覧下さ
い」
「有り難う、そうさせて貰うよ」
余す事無く時計を眺めているのは魔族領主のハンス・テールマンである。
「この間見せて貰ったのは一番安いと言う物だったのだが、値段の差は何処
に有るのだろうか?」
「それは様々ですが基本はケースの材質の差です、後はカレンダー付、タイ
マー付、彫金の差ですね」
「申し訳ないが彫金以外判らないので教えて頂けないだろうか?」
「ケースの材質が鉄、銅、銀、金、ステンレスです、カレンダーとは1年の
内の今日を表示する機能です、タイマーとは好きな時間にセットすればその
時間にアラーム音で知らせてくれると言う機能です、カレンダーとタイマー
両方が付いた物は今現在はまだ開発されておりません」
彼女は1年の内訳を”カレンダー”を指差しながら教えてくれた。
「そして鉄は錆びますが”錆びにくい”様に加工がされていますがあくまで”錆
びにくい”だけですそして”ステンレスは”錆びません”し”金”や”銀”より強靱
です」
「この同じ材質で価格が大きく違うのは彫金の差と言う事ですかな?」
「その通りでございます、より極美細な彫金が施されております、総ての材
質でワンポイント、半面、全面、無彫金、極美細の5種類で全25種類揃え
ており紋章などの特別オーダーも承っておますので、世界にただ1つの物も
お造り出来ます、来月には新たな彫金シリーズが追加になりますので全45
種類に増えます」
「なる程、素晴らしいですな良く判りました」
そう言った後、散々眺め廻した後に帰っていったが、この時は3日に1度は
訪れる常連になるとは誰も思わなかったのである。




