それぞれの思い
八日朝アルリア王都北西三十ルーク地点、エルフ軍は緩い丘陵地帯の高い地
点を先頭に横陣にて一万五千の展開を終えていた。
敵軍予想到達日は最速十二日だが、長距離行軍の療養期間が必要な為の早着
である。
ギーゼラ、ルイーゼの兵は十日に到着予定になっている。
エルフ軍を率いるのは今回初陣(エルフ軍に戦争経験者は居ない)のマルク
・ウスターシュ将軍、弱冠百五十歳(エルフ基準)にして将軍まで登り詰め
た努力家だ。
里のエルフの期待を一身に受けての出陣である。
エルフ軍創設以来、初の”エルフ”の将軍、ハイエルフ以外で、況してや百五
十歳と言う若さ(エルフ基準)で成った前例が無かった。
兵種もエルフ軍内部でも鳴り物入りの半数が魔砲兵、残り半数が弓兵の機動
殲滅部隊。
期待の大きさが判ろうと言うものである。
その当人は今エルフ横陣、後方の天幕の中に居た。
『閣下、落ち着いてください、朝からそんなにウロウロしても仕方がありま
せん』
「ん?ああそうだな、判っている、判っているとも」
テンション上がりまくりで落ち着けない大将を宥めているのは副官のクロア
・セルアーシュ大佐(女性)で、この人も軍初の”エルフ”の女性大佐である。
昇進の際に”性格に問題が有る”として難色を示されたのだがエルフ側の強力
な抵抗で昇進した曰く付の人物だ。
「将軍、朝食の前に散策にでも行かれては如何でしょうか?この辺は緩丘陵
で眺望も良いですから散策も宜しいかと思いますが?」
「ん?そうか?ならばそうしようか」
出掛けようとした将軍を手で制し、大佐は部下を呼んだ。
『ルルーシュ中佐!将軍が散策に出られる!随行しろ!』
天幕外に控えて居た大佐の部下のルルーシュ中佐は元気良く敬礼と返答を帰
すと将軍に付き従い散策へと出掛けて行った。
ここで一番の苦労人は”面倒”を総て押し付けられる”ずっと年下のハイエルフ
”のルルーシュ中佐(女性)であった。
ここ三日は店番をしていない、六日はルイーゼを越え二十ルーク程先の川?
(水は流れていない)へ鉱石と石灰石、ガラスの採取、戻って精製、七日は
車の仕上げ、八日は、悩んだが武器を創る事にした、とは言えこの時代の物
では無い、保険の意味合いが強いが無いよりはマシ、創ったのは対物ライフ
ルと拳銃、物はベレッ◯M92FSとPGMへ◯ートⅡどちらもアニメ好き
にはたまらない一品だ、拳銃は弾丸式で炸薬では無く魔方陣式、ステンレス
製でマガジン15+1の16発、へカ◯トは魔弾充填式にしたのでマガジン
は無いしボルトアクションでもない、連射の出来ない単発式にした、込める
魔力によって威力が変わる仕様だ。
因みにモーターも完成している、明日城下のポンプに取り付けに行くつもり
だ、魔動と手動の二方式仕様だ。
一通り終わらせて時計を見たら定時を過ぎていた、(今日も一日御苦労様)
と自分を労い帰宅の途につく、角を曲がって直ぐそこが自宅なのだが、曲が
った先に厄介事が待ち構えていた、大正教教会大司教ノエラ・リスナールで
ある、ノエラはこちらに気付くと手を組み満面の笑みを浮かべ、こちらに近
づくと開口一番
『お待ちしてました』
と言った。(だろうな、待ち伏せの理由は聞かなくても判るが)
・・・その状態から動かない、(後ろにブンブンシッポが見えそうだわ)
仕方が無いので自宅へ招き紅茶を出す、質素なテーブルセットだが用を果た
せば充分だ。
二人で紅茶を飲み一息つく・・(会話が無い、やはりあたしから切り出すべ
きか)
「それで、今日はどうしたの?」
『ケーキはいつですか?』(ヤッパリそれかぁ~)
「次のお休みが十一日何だけど都合はどう?」
『作ります!合わせます!絶対に!!』
「そう、それは良かったわ、じゃぁ朝、少し遅い時間に家で待ってるわ」
これで次の休みは潰れるのが確定となった。




