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今日は朝から現場作業員。
この容姿にニッカボッカは似合わないなぁなどと考えながら現場へ到着。
朝七時から開始、本日終了を目指す、何とか日暮れ前には終わらせたい、少
しペースアップで作業を進める。
お昼まではスイスイ進み残りは二十三リック{23m}、
お昼前にアリエスが大鍋を幾つか持って水を貰いに来た、もう水のストック
も無いらしい、この場で水を出しても良かったのだが聞けば、持って行けな
いと抜かしやがったので調理場まで行く事にした。
ちょっと早めの昼食を摂らせて貰い、水の御礼にと三粒の赤い実を貰った。
それを一目見た瞬間もうあたしはメロメロである、大好物のイ・チ・ゴ!
とってもうまうまでした。
午後からは苺の御陰で気力も充実、サクサク作業、全てが終われば五時半で
した。
後は取水試験、暫くシュコ、シュコとレバーを上下に動かす・・・さあ、来
ました来ました!ジョッパ、ジョッパと水が出て来ます、廻りで覧ていた皆
さんのから”おおぉ~”と声が上がり拍手喝采でこの場はお開き。
その足でエルザ商会へ行き、水が出た事の周知を御願いし、何故か明日も来
てねと言われて本日は終了。
お疲れ様でした。
毎日同じ所を通ると言う行為に既視感を覚え、サラリーマンであった事を思
い出す(そう言えば前は、朝テレビを観て今日という日を確認してから出勤
してたな)
などと思い起こしながら、エルザ商会へと向かった。
会頭室の扉を開け、中に入ると喜色満面のエルザさんが、既に淹れられた紅
茶二つを前にソファーに座っていた。(あ~これは企んでいるの決定だな)
”おはよう”と言う笑顔が輝いている(判りやすい人だよな~嫌いじゃ無いけ
ど)
紅茶を勧められ互いに一口頂いた後エルザさんが口を開いた。
『昨日は有り難う助かったわ、所であれは何かしら?』
「あれは手押しポンプと言います」
『あれは貴女が考えたのよね?』
「ここではそうなりますね」
『売る気は有るのよね?』
「無いですね」(おおっ顔色最悪!)
『理由を聞いてもいいかしら?』
「あたしが創る気が無いからですね」
エルザさんは暫く考え、こう切り出した
『貴女が製造に携わらなければ売る、と言う事なら良いのよね?』
「その通りです、その為の図面でもある訳ですから、ドワーフの里にでも頼
めば造れると思いますよ?」
「取り付け工事にしても他の魔法士や魔道士にも出来る様な工法を開示した
つもりです」
「売れるにしても国が費用を出さなければこの王都ですら無理でしょうね
諸費用込みで高額に成るでしょうから」
「鉄鉱石を用意してくれるならこの王都支援用にあと四基は創りますよ?」
『判ったわ、この件は私の方で対応します、支援用は御願いするわ』
「それより今欲しい物が有るんですよ、”カレンダー”とか”こよみ”と言う物
なんですが知りませんか?一年の日付を書いた物なんですけど」
『かれんだぁとかは知らないけれど、日付なら神事とかを司る大正教教会に
行けば判るんじゃないかしら?』
「ああ、成る程思い付きませんでした後で伺ってみます」
そしてもう一つ有ると言い、ポケットから取り出し見せた。
訝しい顔で眺めるエルザさんを見て、説明を始めた。
「それは”時計”と言う物で刻を知らせる魔導具です一日を二十四に分け表示
する物です、判りやすいのは太陽が丁度中天に来れば毎日針が”十二”を指すと
言う物です、まだ完成はしていませんが」
エルザさんはまだピンと来ないらしいので言い換えて説明した。
「取引先と貴女がこれを持っていれば、次回何日の何時に待ち合わせと時間
単位で仕事が出来るし、同じ時間にお昼ご飯が食べられます。時間を使い熟
せば、人や自分の管理が易くなり大幅に負担を減らせます。最初の販売先と
しては新し物好きの貴族などには受けると思います。」
(表情を見る限り興味は有る様だがピンと来て無いみたいだな、まあ良いけ
ど)
「どうせ商会が出来るなら、これを店頭販売商品にしようと思います」
すると突然エルザさんが思い出した様に口を開いた。
『その商会の件だけど東区七番街の角地を押さえたわ、従業員も確保済、貴
女の会頭代行にはうちの支店長を一人あげるわ、商会オープンは六月一日、
貴女の今までの収益金はもう一枚作ったギルドカードに入れて彼女に渡して
おきます、貴女との顔合わせを済ませて置きたいのだけれど多分当日まで無
理だと思うわ。』
言いたい事も聞きたい事も済んだのでお昼を食べに酒場へGO。
午後には教会、出来れば行きたく無いんですけどね。




