命の水
『御願いが有るのですわ、私には貴女を頼る以外どうしようも無い事態が発
生してしまったの、私、と言うよりここの王都民総てを助ける事なの、御願
いだからまた助力を御願い出来ないかしら?』
(この人”また”と言ったよな?一応解ってはいるんだな、王都民じゃ仕方が
無いか・・)
少し嫌味を言ってから訳を聞いてみる事にした。
「今回は随分と素直に御願いされましたが、エルザさんにも可愛らしい所が
有る様でほっこりさせて頂きました、それで?何でしょうか?」
と笑顔で首を傾げてみた。
すると目の前には笑顔に青筋を浮かべ二の句を告げないエルザさんが居た。
(胸元にのの字を書いてツンデレでやれば完璧だよね)
エルザさんから一本取れて喜んだ後、話を聞けば王都の井戸が涸れてしまっ
たらしい、前回畑に撒く為に大量に汲み上げたのが原因だとエルザ商会とあ
たしに難癖を付けてきたらしい、難癖など気にもならないが、問題は王都総
ての井戸が涸れたと言う事、この王都の近郊に河川は無い、それがどう言う
事を意味するのかは誰でも判る、急がねばならない。
エルザさんに羊皮紙を用意して貰いすぐに図面を書いていく。
この王都に来てから思っていた事だが、王都の住人は井戸から桶で水を汲み
上げていた、ポンプが有れば便利なのにと思っていたのだ。
図面を書き上げ、エルザさんに鉄鉱石を有るだけ用意貰い、その図面を見な
がらイメージを増幅強化、手持ちのインゴッドから手押しポンプを一発で創
る、数回動かし作動を確認、鉄鉱石が集まる間に地下に向け探索魔法を打っ
て”水脈””深さ”を探る・・・・
水脈が変わるのは地震の後では良く有る話だがこの世界ではそんな話をして
も意味が無い、言ってもしかたが無いのでやるしか無い。
(・・・・有った!)
何本か有ったが高城に一番近い所を選んだ、緊急で一本なので城下の中心地
が使い勝手が一番良い。
取り敢えず有るだけの鉄鉱石をエルザ商会の倉庫へ運び錬金術でインゴッド
を造り、先程書いた図面でイメージ強化で中空連結パイプを必要な分を創る。
さて、もう一つ倉庫に有る木箱を真空空間を作り超高圧で圧縮し少し空気を
入れて行きどんどん圧縮していく・・・・
さあ、出来ました!ジルコニアです、人工ダイアモンドです。
これをエイッと魔法で粒々に加工し次の行程へ、手持ちのインゴッドから超
鋼ビット作成に必要な成分を取り出しダイヤを混ぜ混ぜしてパイプの先端に
エイッ・・これでボーリングパイプビットの完成です。
廻りで覧ている従業員とエルザさんの眼が痛い、皆さんの頭の上にハテナマ
ークが一杯だ。
その痛い子を見る様な視線、”勘弁してつかあさい”(何のアニメだったかな
ぁ~?)
出来た部材を素知らぬ顔で現地へ運んで貰う(収納は衆人環視の中で使いた
く無い、持ってる人見た事無いし)
現地は結構高城前広場に近い、炊き出しはまだ続いていて人の数は流石にま
だ多い、やっぱり細工をしてきて正解だと、その時思った、
こんな状況で超高位魔法など使いたくは無い、向こうの技術を使った方がま
だ増しなのでボーリングを選んだ訳だ。
さて、やりますか。
目的のポイントにビット付パイプを垂直に立て高速回転させていく、
魔法で水を切削孔に掛けながらパイプを降ろしていく、最初の石畳を過ぎれ
ばスイスイ進んでいく、目指すは百リック{100m}下の大水脈、十分間
で一リック{1m}終わるまで約十六時間半、先は長い・・・
まさか異世界に来て、ボーリングをする羽目になるとは死んでも思わないな
と思う自分に(洒落になっとらんわ!)と突っ込みを入れて七時間後にその
日の作業を終了した。
何せ今日はアリエスとのご飯の約束が有る、楽しみにしていた晩ご飯を棒に
振ってまで残業する気は無い、さあ、今日は飲んで(異世界初)食べるぞ~。




