それぞれの思惑
昼にはテントへ戻る積もりだったが少し遅れてしまった。
手早く昼食を済ませ昨日創っておいた日時計の設置をして影が出ない様に針
を回し、創った時計の針をを十二時に合わせる。
これで明日また同じ時間にここへ来て日時計に合わせて時計の調整をすれば
、この大地の一日を知る事が出来、原本さえ完成すればそれを基準に魔法で
複製が出来る、その時計を販売する事で資金調達すれば資材も魔導本も買え
る。頑張らねば。
精神的に彼は疲れていた。
肉体に疲労が蓄積しないこの躰で疲れると言えばそこしかない、神になって
以来休みなど一日たりとも無かった、手が足りない、慢性的な人手不足だ。
拡がる領域、増える世界、増えない人手、減る一方の信仰心、施しきれずに
荒れ行く世界に信仰心は減っていく、信仰心が無ければ神は生まれない。
後は昇神に掛けるしか手は無い、この間期待の大型新人をハントし損ねた、
配属されたのは、右も左も判らぬ学生上がりのド新人、事案を一つ預けたが
、果たして上手くこなせるかどうか・・・
そんなタイミングで当人が戻り近付きながら挨拶をする。
『ど~も~、お疲れで~す』
「それで、首尾は?」
『指示通り嗾けて戦争です、大量に死んでくれれば結構時短に成ってくれる
と思います』
「それで、奴は?」
『混ざって来てはいますがが動きが鈍いです、余談を許しませんねそれと指
示通り種は幾つか撒いておきました、収量は確定出来ませんが』
「後は奴のサポートに廻ってくれ、余計な事をされては敵わん、私は暫く戻
れん、後は任せるぞ」
『了解です~』
(頼むから指示しなくてもそれ位やってくれ・・)
そう思っても口には出さない統括神である。
昼過ぎにもう一度来てくれと言われ、今はエルザ商会まで戻って来ている。
アベルさんに高級そうなフレンド紅茶を出され頂いている。
『待たせたわね』
扉を開け放ち声を掛けるとエルザがソファーへと座った。
書類を捲りつつエルザが切り出した。
『貴女の創った冒険者ギルドの魔導装置の話なんだけど正式採用が決まった
わ、今回の公共仕事で莫大な金が入るのを機に導入する気よ、契約金が金貨
五百枚、一台に付き金貨百五十枚で全ギルド支店での導入初期発注は四十台
よ、それと商業ギルドと行政から魔導装置の開発依頼が来てるわ。』
「何で勝手に売ってるんですか、そんな気なかったのに」
『商人は金になるなら何でも売るわよ?』
(確かにそう言う人だったな、この人は)
黙考していると訝しんだのか声を掛けてきた。
『どうしたの?』
「一人では無理です、少なくともCクラスの付与魔法士と錬金術士が二人ず
つ要ります、その人数で冒険者ギルド分だけで三ヶ月です。」
「開発に関しては明言出来ません」
『それで良いんじゃないかしら?』
難色を示した積もりだったが良いらしい、だが問題はそこでは無い。
「知り合いにそんな人は居ませんが?」
『ん~~?それは私に任せなさい、それより貴女』
『商会作りなさい』
「それはいくら何でも無理が有るんじゃないですか?あたしにはノウハウも
無いですし当ても無いですよ?」
『当てなら有るじゃない』
そう言い彼女は自分を指差した。
『所で”のうはう”って、何?』




