災害支援
今日は朝起きてから暫くの間ボ~としていた。
あの女神の相手をすると非常に疲れる事が良く判ったからだ。
だからと言って無視出来る話では無いので二人に話して父に伝え、信じて貰
わなければならない。
国も日時も判らないのは痛いが向こうの世界の神より親切なので文句も言え
ない、首を巡らし周りを見たら既に二人は居なかった、モゾモゾ起き出し外
に出た。
朝食の準備をしている母を見留めて朝の挨拶をしたがジッと見詰められ
【お水で顔を洗ってらっしゃい】
と言われ気が付いた。(多分、酷い顔してるんだろうな・・・)
顔を洗って戻って来ると、既に配膳し終わっている。
今日は塩湯の野菜煮とナンだけだ、手早く食べ終え紅茶を煎れる、旅用のブ
レンド茶なので紅茶の味、としか言えないが疲労回復効果が有る、カップを
持って二人に近付き耳打ちしてから遮音魔法を三人だけに掛け話し出した。
「母様、姉様、信じて頂けないかも知れませんが、王都の窮状に付け込み日
時は判りませんが、ここへ戦を仕掛けて来る国が有ります」
【確かな情報ですか?】
「情報元は明かせませんが、間違い有りません」
其れを聞いて何か思い当たる節が有るのか、母は姉と顔を見合わせてレオン
に話して来ると言い高城へ向かった。
あたしも行くと言ったのだが”貴女は貴女が出来る事をやりなさい”と言われ
置いて行かれてしまった。
母が気遣ってくれたのだと悟り、離れ行く母の後ろ姿に感謝の念を込めた。
母達の後ろ姿を見送った後、そそくさと身支度を整え城下へと入っていく、
検問などは無い、既に西門は瓦礫と成っているのだから。
見渡す大通りの半数近くの家が崩れ落ち片付けをする人や呆然と座り込む人
々で溢れていた、暫く進み交差する大通りを右へ折れ南側へと向かう。
ここの城下も他の町と同じで城を中心に円形をしている、門も四つで殆ど同
じ、少し歩くと南からの大通りが見えてきた。
左前方を見ながら歩いて行くと、目当ての建物は残っていた流石は冒険者ギ
ルド、造りが違う。
ここは角地だが大きな公園の様な場所で真ん中にポツンとギルドの建物が建
っている、王都のギルドは総てそう言う立地だ。
そう言った造りの為ギルドの廻りには避難民が集まっている、この規模では
とても足りないが無いよりはましだ、座り込む人々を避けながらギルドへと
入ると様々な人達でごった返していた、こういった国家の根幹を揺るがす事
態が起きた場合各ギルドは一切の通常取引を停止し公共のみに徹する事が定
められている。
復興で冒険者以外も今はここに居る、そんな人混みをかき分けカウンターに
座る女性に話し掛けた。
「セリア・トラーシュだ、アリエス・シャレットは何処に居る」
ここでは仕事を受けていれば、今現在どんな仕事を受けているかを検索して
くれる、横を向いて何やら打ち込み終わると其の侭返事を返してきた。
『今は王城前広場で炊き出しに参加しています』
礼の言葉を掛け直ぐにその場を離れた、あんな人混みは好きでは無い、特に
男は。
そんなあたしでも一応冒険者登録はしている、ランクはAから更新はしてい
ない、と言うより更新出来ない?してはいけない?が正解かもしれない。
クエストすら受けた事が無いので冒険者とは言えないかもしれないが・・
などと考えながら北へ歩いて行くと、大鍋をかき混ぜているアリエスの姿が
見えてきた。
そんなあたしに気付いて手を振りながらピョンピョン跳ねている。
『セリア!久しぶり~!さっきあんたの母様を見掛けたから来てるとは思っ
たんだけどさ、険しい顔してたしさ、声掛けなかったんだよこんな状況じゃ
ぁ仕方ないんだけどね』
顔に似合わぬ何時もの男らしい口調に安堵しながらも返事を返した。
「そうだな、あたしも会えて嬉しいよ」
そう言ってお互いにハグしながら再会を喜んだ。
「所でエルミーは?」
と問い掛けたら”向こうで配膳してるわ”と言われ休憩まで一刻{二時間}程
有るので後程三人で合流する事にして一旦別れる。
あたしも父に会おうと行きかけた所で、後ろから声を掛けられ振り向いた、
そこには微笑みを浮かべ軽く会釈をする商業ギルド番頭で有りエルザ商会の
番頭でも有るアベル・シャフナーの姿が有った。




