初めての恐怖
昨日はあれから食事を済ませ、王都も近いと言う事で疲れを取る為に早めに
就寝した。
そして思い出した?事が一つ有った、あたしの修得師の事である。
この国ではまだ他に聞いた事が無いので多分あたし一人しか居ないと思う、
まぁ、国に登録していない者が居れば話は別だが。
実際あたしも色々と問題も面倒も出てくるので登録はしていない、目先の事
しか考えず登録に行こうとしたあたしを母と姉に断固として止められたのが
大きい、今はその時の事を感謝している、こうして自由に生きて行けるのだ
から。
今日の朝出立すれば昼には王都に到着するので幾分気が楽だ。
昨日西門から入り今日は東門から出る、出る時はフリーパスだが王都での祭
事が近い為か東へ向かう人の数が結構多い、この先王都まではなだらかな丘
陵や平原で時折林や泉が点在している。
風も無く穏やかな陽射しの中、順調に進み王都まで30ルークの辺りで異変は
起きた、突然馬が立ち止まり怯え始めた直後、遠くに見える草原の草木総て
が揺れ出し物凄い速さで迫ると共に足許を大きな揺れが襲った、地震だ。
視界に映る総ての人がうずくまり、身動きが取れなくなっている、母や姉も
馬車の床にうずくまっている、あたしは馬車に設えて在る椅子に座ったまま
揺れに身を任せ震度を確かめていた。
(震度5だな、揺れ幅が広いから震源は遠いな、東側からだと、まさか、震
源地は王都辺りか!?)
揺れは三十秒程で止まった、皆は暫く様子を観ていたが揺れが治まった事に
安心したのか、立ち上がりそれぞれで先程の事を話ている。母は少し焦燥し
ている様子だが、姉は割と平然としている、あたしは母に寄り添い、背中を
さすりながらこの後も落ち着いて居られる様に優しく釘を刺しておいた。
「また同じ様に地面が揺れるかも知れないけど大きくてもさっきと同じ位だ
と思うから心配しなくても大丈夫よ、あたしが付いているわ」
そんなあたしを見て、訝しみながら姉が話掛けて来た。
『貴女全く動揺していないわね、何故かしら?』
「昔、文献で読んだ事が有ります、{地震}と言う地面が揺れる現象の事で
すね」
『知識が有ったから、落ち着いて居られたと言う事ですか?』
「そう言う事です」
(文献以外のワードは嘘じゃ無いので良しとしておこうかね)
その後すぐに全員を集め今後起こり得る事、街道に被害が有り予定より時間
が掛かるかも知れない事、王都の方が被害が甚大である可能性が非常に高い
事を説明し進んで行った。
王都に近付くにつれ、やはり街道にも彼方此方被害が出ていた。
揺り返しも二度あったが、然程大きくはなかった。
気を使いながら土魔法で支障が出ない程度に街道を整備しながら進み王都が
見えたのは、大礼祭前日の西の森の稜線に太陽が沈み始めた頃だった。




