新都市計画
翌朝、朝食前にリーザに確認を取った。
昨夜の内に話は付いているとの事でリーザと共に朝食にお呼ばれする事と成っ
た。
事が決まっていれば話す事も無い為切っ掛けを探すと、それは目の前に有った。
「ご主人は野菜サラダもお食べに成るのですね、リザード種族は肉食が中心だ
とお聞きしていたので」
「そうですね、前はそうでしたが、妻にバランスが悪いと諌められまして、そ
れから食べる様にしています」
「村の人達も同じ様に食べられるのですか?」
「えぇ、最初の頃は嫌がる者も多かったのですが、妻の説得の甲斐有って、今
では全員が重要性を理解して食べる様に成りました、御陰で健やかに暮らす事
が出来ております」
「昨日拝見した所、村の住人の数が結構多い様に思うのですが」
「えぇ、今では100人近く住んでおります、ここへ移住した当初は私達だけ
でしたが、たったの5年でこの通りです、この先まだ増えると思うと住居は兎
も角、食料需給の問題が浮上して来るのは目に見えております、何とか打開策
を検討してはいるのですが、場所が場所だけに限界を感じているのも確かなの
です」
セリアは暫く考えるとグリッドに質問をした。
「こう言った村はここだけの事なのですか?」
「いいえ、オークの里にもグールの里にもこう言った集落が存在します、グー
ルの村は、より人族に近く成っているのでアルリア辺りまで移り住む者が多い
ですね」
「そうですか、オークの村は如何なのですか?」
「良く見ると鼻が少し上向いているのと、短い尻尾が有りますね、服を着てし
まえば殆ど判りませんが」
セリアは暫く考えた後、グリッドに提案をした。
「誰も、どんな種族も気に留める者が居ない街が有って、仕事も有るならば移
住されますか?最初は開拓から始まると思いますが」
「それは当然です、追われる事の無い安寧の地が有るのなら、移らない理由な
ど存在しません」
「では、その村総ての人数はどれ程ですか?」
「3村併せて220名程です」
「少しお待ちくださいね」
透かさずスマホを取り出し、アンジュへと連絡を取った。
「あぁ、アンジュお疲れ様、そちらは順調?、そう、それは良かったわ、所で
前から計画していた1大プロジェクトの件だけど進んでいるのかしら?、あっ
そう、じゃあ人手は幾ら有っても足りないのね?
それなら、オークの里、グールの里リザードの里から合計220名程送り込む
から、各里とダークエルフの里に根回しをして置いて、クレア山をダークエル
フの里経由で迂回させるから、認可にどれ位掛かるかしら?えぇ、判ったわ、
それじゃ宜しくね」
通話を切ってグリッドへと切り出した。
「全員新都市建設現場で受け入れるそうです、出立は10日後、セリア商会建
設現場からの召集を受けたと言えば無鑑札でこの地を通過出来ます、各村にも
通達して頂けますか?それと食料は出来るだけお持ち頂くにしてもアルリア各
都市の門番に言えばセリア商会に連絡を取ってくれるので食料なり、路銀なり
受け取ってアルリア支店まで辿り着いてください、宜しいですか?」
「は、はい、判りました」
「それから、10日後から貴方達は我が商会の商会員です、旅路で有っても賃
金が発生します、路銀や食費などは賃金からの分割天引きに成りますから、向
こうでの生活に困る事は無いです、今現在現地に有るのは食堂のみ、暫くはテ
ント生活に成るとは思いますが1月程の辛抱です、但し最初の1年程は男女別
宿舎なので夫婦別居に成りますが宜しいですか、まぁ宿舎は隣同士だとは思い
ますが」
「それでしたら、問題有りません」
「子作りするなら言ってください、考えますので」
目の前に居るビアンカさんはまだ若い、リーザを16歳で産んでいる、リーザ
に手が掛からなく成ったので弟妹を作る気に成るかもしれない。
「・・・はい」
返事をしたのは、やはりビアンカだった、リーザからの情報で発情期には遣り
まくると聞いての提案である。