望まぬ昇神
昼食後、落ち着きを取り戻したアリエスと共に全員で紅茶を嗜み終えるとセリ
アが、一緒に食事を摂っていたミリアへと話し掛けた。
「ミリア、貴女の言う精霊様とお話をして来た訳だけど、貴女を護る為に精霊
様では無く、私の眷族にする事が決まったのだけど何か異論は有るかしら?」
ミリアはセリアを見遣ると軽い感じで言い放った。
「有りませんよ?」
「随分アッサリしてるわね?」
「だってそれがベストだと判断された訳ですよね?」
「まぁ、その通りなのだけど」
「それなら私に異論の余地など有りませんよ」
「それはそうなのだけど、貴女切れ者なのかサッパリしているのか判らない所
が有るわよね?」
「あ~それ、良く言われますね」
「じゃあ、同意も得た事だし、さっさと眷族にしましょうか、じゃあ、ミリア
、こっちに来てくれる?」
セリアの指示で膝立になったミリアの胸へと掌を当て魔法を送り込むセリア。
そして淡い光が消えると同時にミリアを引き寄せ、ディープキスと共に胸を揉
みしだいた。
烈しく反応するミリアを固唾を呑んで見守る眷属達に唇を離したセリアが声を
掛けた。
「貴女達も軽いキス位なら良いわよ?」
次々とキスをしていくセリアを目の当たりにしたフレイヤが、最後の1人が終
わった時にセリアへと突然縋り付いた。
「1人だけ取り残される何て嫌よ!”貴方”が好きなの!御願いだから私の心に
も”貴方”を刻んで頂戴!」
驚くセリアがフレイヤへと問い質した。
「それは貴女を眷属にしろと言う事ですか?」
「そうよ!私は”貴方”のものに成る為に全てを捨てたの!」
「!・・どう言う事ですか!?」
セリアにすれば寝耳に水な話に他ならない。
「話を聞かせてくれますか?」
「ええ、話すわ、だから御願いよ!」
既に膝立ちと成り、手を差し伸べてセリアを迎え入れようとするフレイヤを見
遣り、軽く溜息を吐きながらもフレイヤの胸に手を当て魔法を送り込んだ。
眷属と成ったフレイヤに、胸を揉みしだくと共に長いディープキスを交わすセ
リアの躰に光の粒子が纏わり付くと同時にその光量が上がっていく。
驚愕する眷属達に見守られ、その光が消え去った時、セリアは、一際大きな存
在感を放つ者に成っていた。
1歩後退り片膝を着いて、礼の姿勢を取るフレイヤにセリアが問い質した。
「フレイヤ様、一体どう言う事ですか?」
「私如きに様付けはお止めくださいセリア様、既に貴女様は私よりも上神、
眷族神である私を呼ぶ際はフレイヤと捨て呼ぶのが相応しいかと」
「こう成る事を判っていて仕組んだ訳では無いのですよね?」
「確かに知らなかったと言えば嘘に成ります、心の隅では理解しておりました
、然し先程の私の行動は”貴方”様のものに成りたいと言う女としての感情の発
露から来たもの、決して陥れる為の行動では有りません、もし、信じて頂けな
いと言うのでしたら、この場で首を刎ねて頂いても構いません」
セリアは大きく溜息を吐く。
「フレイヤ様、それなら私と取引をしませんか?」
「そんな、取引などと烏滸がましい事など」
「では、取引に応じないと言う事で、減刑してあげますから私には今後一切会
わないと言うのはどうでしょう?」
「!そ、それは私に死ねと言うより辛い事でございます」
「では如何されますか?」
「取引に、応じさせて頂きます」
「では、私からの条件を言いますね、今後一切の敬語は禁止、様付けも禁止、
態度も謙るのは禁止、言葉遣いも態度も全て対等、そうしてくれるなら私もフレ
イヤ様とは呼びませんよ?」
「・・・・判ったわ、その条件、受けさせて貰うわね」
「最初からそれで良かったのよ、ね?フレイヤ」