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姐さんVSセリア

現在時刻はAM9時半”ホテル”と呼べる様な高級宿屋で朝食を食べている。

全員渋い顔で無言のまま食べている姿は、いつもと違った雰囲気を醸し出して

いる、やはり昨日の夕食時のどんちゃん騒ぎが尾を引いているのだろう、人は

酒が入るとあそこまで変わるのだと言う良い経験を得られた、請求書の金額に

目を剝くあの男の姿が脳裏に浮かぶ。


宿屋を出たのは10時過ぎ、歩いて北門へと向かう事にした、酒精の抜けきら

ないみんなには丁度良いだろう。


歩く事15分北門を中心に城壁に沿う外周路はシェードを張り出した市場の様

になっている、人の往来も結構多くこの人数を引き連れて移動するには気が引

ける程混雑している。

通りを見渡せる北門近くから通りを見渡していると、淀み無く流れる人波がそ

れを避ける様に左右に分かれていく、遠くからでも判るその上背は一般よりも

頭1つ高い、それを見つめるセリアに気付いたのか、女が近寄りセリアへと声

を掛けた。

「何を見ている、あたし達に用でも有るのかい?」

「あぁ、あんた達を待ってたんだ、ここじゃ何だから城外へいかないか?」

そう言われ気付いた女がセリアを煽った。

「おお、いいね!やる気満々じゃないか、ここ何日か暴れてないからうずうず

してたんだ、少しは楽しませてくれるんだろうな?」

ニヤつく女にどこ吹く風のセリアが言い放つ。

「それは貴女達次第ね、直ぐに終わっては私も興醒めしちゃうわ」

「言うねぇ、少しワクワクしてきたぜ、それじゃあ行こうか!」


総勢18名が周りの注目を集めながら城外広場へと移動していく。

全員適当に散らばり、中央に出て来た先程の女が声を上げた。

「さあ、誰があたしの相手をしてくれるんだい!」

それを受けてセリアがメンバーに聞いた。

「誰か行く気有る?殴り合いだけど?」

そこで透かさず1人が手を挙げた。

「私が行きます」

「程々にね、リーザ」

「了解です、怪我しない様に気を付けます」

そこで女が茶々を入れた。

「おい、おい、あたしは手加減してやる程優しくは無いぜ?」

それを無視して対峙したリーザが軽く構える。

「何時でもど~ぞ」

「じゃあ、いくぜ!!」

女が1歩踏み込み目にも止まらぬ様な速さでリーザの顔面へと右ストレートを

放つ。

眼前に迫るストレートを見据えリーザが呟いた。

「遅い」

右斜めに構えたリーザが女の右腕外側に軽く左掌を当て顔面右側へと逸らすと

共にクロスカウンターで女の顎へと見えない速度で右フックを軽く放つ、

首を右へと捻られ、脳しんとうをを起こし、其の侭左腕を下に崩れ落ちた。

「口程にも無いな」

見下ろすリーゼが呟きながらセリアの元へと引き上げていく。

戻るリーザにハイタッチを決め、セリアは最後尾で高見の見物をしていた人物

へと声を掛けた。

「貴女の配下じゃ勝負に成らないわ、出て来たらどうなの?」

声を掛けられ不敵に嗤う女がセリアに返す。

「流石ドーラを1発で仕留める連中だな、見る目も確かって訳か」

「そうね、貴女が勝てない事も見抜いているわよ?」

「言うじゃねえか、あたしは今まで拳を交えた奴は総て1発で沈めてきたんだ、

あんたがそれ以上と言うならあたしも嬉しいんだがね、期待させて貰うよ?」

「そうなの?なら貴女の必殺技を打ってごらんなさい、1歩も逃げずに受けて

あげるから、使って無いと錆び付いちゃうわよ?」

「ハッハァ!笑わせてくれるじゃねえか!面白え!その申し出受けてやるぜ!」

女はそう言うと対峙するセリアに向かい構えを取ってふと気付いた、対峙する

セリアが棒立ちな事に。

「何だお前、構えないのか?」

「あら?構えた方が良いかしら?そうね、格好も大事よね」

左腕を相手に向け掌をを翳し、右腕を腰撓めに重心を落とす。

「これで良いかしら?」

「あぁ、何だから判らんが、構えには成ってるな、それじゃあいくぜ!」

少し間を置き、女の周りに闘気が揺らめき立つと同時に、目に見えぬ正拳の連

撃がセリアへと襲い掛かった。

左腕1本で受け切るセリアに女は一瞬目を見開くも、ニヤリと嗤うと連撃の速

度を1段上げた。

そして、女が1歩踏み込んだ時、セリアの右手が動いた。

時間が経つにつれて女の顔に焦りの色が濃く成っていく。

受け続ける事数分、女の正拳突きがセリアの左掌で止まった。

女はセリアの左掌を睨みながら暫く考え込むと拳を引いて言い放った。

「止めだ!止め!これじゃあ何時まで経っても終わらねえ、倒せねえ以上あた

しの負けだ!あんたの好きにしな!」

「姐さん!そんな!」

配下が1人女に寄り縋った。

「じゃあ、お前はそこの女に勝てるのか?」

「・・・姐さんが勝てないなら誰にも・・・」

「だろう?良いじゃね~か、上には上が居るって事が判っただけでもめっけも

んだろうが、勝てねえものは勝てねえんだ、お前も腹を決めろ」

「姐さん!!」

姐さん以外が悔し涙を流している、劇画を見ている様なその光景に居たたまれ

なく成ったセリアはサッサと仕事を終わらせる事へ頭を切り替えた。

「貴女達、道場破りで死刑も可哀想だから、悪さをしないと誓うなら城外退去

にしてあげるけどどうする?」

驚きの声をあげる女達にセリアが続けた。

「死刑も退去も、もう騒ぎが起きないならそんなに変わらないでしょ?」

領主の所まで連れて行くのが面倒なのとあの男に2度と会いたく無いだけの

セリアである。

「然し、それでいいのか?」

「貴女達ならダンジョンでも良い所まで行けるでしょうから、食い扶持はそこ

で稼ぎなさい、悪さをしたと聞こえて来たなら今度こそ討伐するわよ?」

「いや、然し、あたしには目的が有ってな、アルリアへ行く途中なんだ、取り

敢えずここからと思い、立ち回ったが強者が居ないからこれからアルリアへ行

こうとしていたんだ」

「何しに行くのよ?」

「何かスゲぇ~強い奴が現れたって噂が聞こえて来てな、あっ!お前なら知っ

てるんじゃねえか?ステータス開示された奴だよ」

「あぁ~あの人ね、貴女の今の実力じゃ勝てないわね」

「!、其奴を知っているのか!?」

「えぇ、ちょっとね」

「だったら頼む!!其奴を紹介してくれ!!」

「そうね今から出す条件を呑めるなら紹介して上げるわ、アルリアのセリア商

会と言う所で働きなさい、雇って貰える様に連絡しておくわ、貴女達が真面目

に働けると立証出来た暁には真真間違い無く合わせてあげるけどそれでどうか

しら?」

「判った!アルリアのセリア商会で働いていればいいんだな!!」

「えぇそうね、そこの代表のアンジュと言う代表が認めてくれたら会わせてあ

げるわ」

「判った!絶対だぞ!?」

「えぇ、私は約束を違えたりしないわ、貴女達種族と同じく、その誇りに賭け

てね」

「!・・・そうか、ならば証明せねばならんな」

そう言うと姐さんはニヤリと笑った。









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