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募る思い

「いらっしゃい」

「お久し振りです、姉様」

「貴女も元気そうで何よりだわ、セリア」

辺りを見廻すセリアは姉に振り向かないまま問い掛けた。

「ここは地下ですか?」

「そうよ、すっごく深いの、出入りするだけで一苦労する位にね、私は1度も

階段を使った事は無いけどね」

「でしょうね、姉様ですから」

「一言余計よ」

スルーするセリアにユリアが続けた。

「実はセリアが1番気に掛けている事に少し手を貸してあげられるんじゃない

かと思って貴女を呼んだのだけど?」

目を見開き、瞬時に姉の言葉を理解したセリアは姉に詰め寄った。

「彼を!・・・戻せると言うのですか?!」

「今すぐに全てを、・・・と言う訳には行かないわね、そうね・・彼が起きて

くれる位までには出来ると思うわよ?」

「なら、今すぐにでも!・・」

手の平を向け言葉を遮るフレイヤが更に続けた。

「でも彼が、どうしてそうしたか、・・貴女は理解しているのかしら?」

「それは・・・・私が彼を頼り過ぎたから・・」

「まぁ、表面的にはそうだったかもね、貴女は気付かなかったかもしれないけ

れど彼は直ぐに気付いたのでしょうね、貴女の心が彼の心に溶け始めた事に、

そして全てが混ざってしまえばどうなるかを、貴女の心が混ざり始めた事で理

解した・・・そう成った場合どうなるか、貴女は考えた事が有った?」

この時セリアは、今話している相手が姉では無くなった事に気付いた。

「ただ、漠然としか・・・」

「でしょうね、そんな天真爛漫な貴女を彼は好きだったのでしょう、貴女に影

響が出ない様に、性格が変わらない様に、貴女1人を護る為に、貴女の心に彼

の心を”混ぜる”のでは無く、自分の表層意識を自分で食い潰し、何者でも無い

ものに変えながら、貴女の心の外側に”付け足して”いったのよ、防壁として私

の心”フレイヤ”が、混ざる事無く、絶対上位に来ない様にね、御陰で私の知識

も才能も良い様に使われてしまったけどね、貴女は気が付いていたのかしら?

知識も優しさも才能の上乗せも全て彼から譲り受けた物だと言う事を?」

「・・・・・・・・・」

彼の事すら忘れかけていたセリアには何も言えなかった、そんなセリアに優し

くフレイヤが話し掛ける。

「別に私は貴女を責めている訳では無いわ、そんな事が出来るなんて私にも解

らなかったもの、それに私は貴女達と融合する気は無かったのよ?

少し混ぜなければ知識の伝授も出来ないから混ぜたけど、貴女の心が溶け始め

たのは予想外だったの、それで彼が焦ってしまった訳ね。

私が気付いた時には彼に先手を打たれちゃって手を出せなく成っちゃってたの

よ、もう少し早く気付けたら止められたんだけど、彼が四苦八苦して貴女の心

が溶けなくて、私と混ざらない防壁を創り出すのを隣で見ていたのだけどあの

子は才能の塊ね、凄かったわ、愛の為ならあそこまで出来るのだとこの私です

ら思い知ったもの、まぁ、見ていたからこそ元に戻せるのだけどね」

セリアが目を輝かせてフレイヤに詰め寄った。

「では、元通りに戻せると?」

「元通り所か、彼を貴女から分離して再構成する事も出来るわよ?全てこう成

る様に仕組んだのは私ですもの」

「え!?フレイヤ様が?」

「そうよ、全てはこの世界の運命を元に戻す為、元凶を取り除く為にね」

「では、彼を私から・・・」

「それは出来ないの、今はね」

懇願しようとするセリア遮り拒否をするフレイヤ。

「こうした事には理由が有るの、このメンバーでなければ駄目なの、気が遠く

なる程の時間、色々な世界を捜して、そして導いて、やっとの思いでこの世界

に集ったの、貴女も判っている通りもう後が無いのよ、全てが上手く収まれば

必ず何とかしてあげるから、今は我慢して頂戴」

静かに涙を流すセリアを優しく抱き留めているのはフレイヤでは無く入れ替わ

ったユリアであった。


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