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思い掛けない再会

2人は馬車の護衛がてら予定より少し早く昼過ぎには帝都へとたどり着いてい

た。

「マチルダ、街中の方へ昼飯を食べに行こう、久し振りの真面な食事だ、少し

良い物を食べよう」

「そうだな、外縁の安物では旅の途中と変わらないからな」

2人は自分達の里とは随分と違う異国情緒タップリな街並みを眺めながら中心

部へと進んで行く、暫く進み交差する通りを見遣った時、そこに見覚えの有る

物が目に入った。

「マチルダ!ちょっと待て、あれ、間違い無い、あの人の乗り物だ!」

「あぁ?あの洗われてる荷車か?いやにツヤツヤしている荷車だな」

「ちょっと行ってみよう、間違い無いとは思うが人が居るなら聞けば判るだろ

う」

「其れもそうだな」

フローラは近づくにつれ洗っている人物を見て確信を持った。

「マチルダ、当たりだぞ!」

「ラッキーだな、まさか帝都に居るとはな」

フローラはその人物に近づき声を掛けた。

「すまないが少し話を聞かせて貰えないだろうか?」

声を掛けられ、振り向き顔を見た瞬間声を発した。

「「あっ」」

どうやらお互いに顔を覚えていたらしい。

暫く静寂が間を支配した後リーザが声を発した。

「何か?」

「!?あぁすまない、貴女はセリアさんの従者なのだろうか?」

「従者?まぁそうとも言いますかね?」

「ではセリアさんは今この帝都に居るのだろうか?」

「居ますよ?」

「会えないだろうか?」

「仕事絡みですか?」

「いや、そうでは無いのだが」

「それだと聞いて見ないと判りません、今ちょうどお忙しくお帰りも深夜にな

るので、すぐに会えると御約束はしかねますね」

「では、聞いて置いて貰えないだろうか?私達はこれから昼食を摂ってくるの

で、その後またここへ来ればいいだろうか?」

「そうですね、ここが帝都支店ですから、私はリーザと言います、来ましたら

私を呼んでください」

そう言いつつリーザは自分の後ろを指差した。

そこには金色に光り輝くセリア商会の看板が掲げられていた。

「判った、ではまた後程お邪魔するよ」


リーザは作業場へと移動し、扉をノックした。

待つ事数瞬、返事を確認してから室内へと入った。

「お忙しい所すいません、先程タブリスに居た護衛の方がセリア様に面会を求

めていらっしゃったのですが、どうしましょうか?」

「?それは族長の護衛かしら?」

「1人はそうでしたが、2人ですね」

「2人?そうね、では時計を貸してあげて18時にウチと提携している酒場で

夕食でも食べながらと言う事を伝えて頂戴」

「了解しました」


フローラとマチルダは物見遊山で市内観光をした後、早めに酒場へとやって来

ていた。

「流石帝都だな、タブリスでは見た事も無い様な店が結構有ったな」

「あぁ、改修中だったが”ホームセンター”とか書いて有ったから何かと思った

ら雑貨屋だったしな、品揃えはタブリスの比では無かったが、所変われば呼び

名も変わると言う事か」

「すぐそこの工事現場にも”セリア自動車販売”社屋新築工事とか書いて有った

が何を売る所なんだろうな?」

「全く判らんな」

「それだけタブリスが田舎だったと言う事か」

「何せ井の中の蛙だからな」

マチルダのジョークに2人で笑っているタイミングでセリアが入って来た。

「ここです、セリアさん、」

手を挙げ呼び止めるフローラにセリアが声を掛けた。

「御免なさい、随分と待たせちゃって」

「いえ、いえ、私達の目的はセリアさんですから、幾らでも待ちますよ」

「あら、そうなの?それはさて置き何か注文はしたの?」

「いえ、取り敢えずエールだけです」

「では、注文してからお話を聞きましょうか、奢ってあげるから好きな物を頼

んで頂戴ね」

「有り難う御座います、御相伴に与ります」


それぞれが注文をし終わると、セリアが話の続きを促した。

「それで何の御用かしら?」

2人は顔を見合わせると、フローラが切り出した。

「率直に申し上げれば、セリアさんの”元”で働きたいのです」

「・・・・・下・では無く、”元”ですか?」

「流石ですね、セリアさん、言葉の意味を良く理解していらっしゃる」

「それは、武闘部門に入りたいと言う事ですか?」

「当たらずとも遠からずです、出来ればセリアさんが出動する際に随行出来る

様な立場を望んでいます、何卒叶えては頂けないでしょうか?」

「今と成っては私に言われても難しいですね」

困惑顔の2人だが言葉の意味を問い返した。

「今と成ってはとはどう言う意味ですか?」

「今現在武闘部門は私の側近が統括しています、ですので鶴の一声はしたく無

いのです」

「・・・・・」

「では、明日の朝、武闘派の鍛練に”体験入門”してみますか?その時統括に紹

介しましょう」

「「宜しく御願い致します」」

その日2人は従業員宿舎最後の1室に泊めて貰うのだった。











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