行動原理の同じ人達
セリア商会ブラント支店2F会議室は宿舎完成後全室ぶち抜きの大会議室に変
わっていた。
ここに集められた条件は”セリア様に直接採用された者”のみである。
会議テーブルに向かい主催者であるティアが、集まったメンバーを睥睨してい
た。
「では、これより第1回合同会議を開催します、今回の議事は私が企画立案し
たオクタグラム構想の説明と承認の可否です、今まで武闘派は十把一絡げでし
たがこれを体系化し序列を設定したいと思っています、構想名が示す通り上位
より8名ずつのチームとし、年に1度の下克上戦による、序列の入れ替えによ
り対応案件の割り振りを適正化したいと思います、今回は誠に勝手ながら鍛練
時の習熟度から私が判定させて頂きました」
ティアは順位表をテーブルの上へと広げた。
「この順位に異論が有れば対戦して結果を反映させたいと思います」
全員真剣に自分の周りの順位を確認している。
「異論が有る方はいませんか?いないので有れば本年度の序列を確定しオクタ
グラムの採用を拍手を持って御願い致します」
全員の拍手を以て採択の運びとなった。
「次に従業員宿舎新築マンション建設に関する告知です、現従業員宿舎隣に新
築マンションを建設する事が決定しました、高さは10階建て1階がセリア自
動車のディーラー、2階は社員食堂、3階から9階が従業員用、10階が代表
とVIPルームになります、そして特筆すべきは全室防音です。
この一言に全員が響めく。
全室鍵付き主任管理者は私が務めます、スペアキーの管理はブラント支店事務
所とし使用者以外が解錠入室する場合は必ず2人で入る事とします。
完成後現従業員宿舎は取り壊し1階ディーラーの駐車場となります、以上で私
からの話は終わりです、何か御質問は有りますか?、無ければこれで解散とし
ます」
この総ての企画立案と行動がティアの願望を叶える為のものだとは誰も知らな
いのであった。
アリエスとエルミーは”1つ持っている”カルディナーレ男爵邸で次男のジェラ
ルドか長女のクラウディアに接触する為、カルディナーレ邸近郊でどちらかが
出掛けるのを見張っている、腕を組み邸宅を眺めるアリエスだが組んだ手の指
は落ち着き無くトントンと腕を叩いている。
「エルミー、あたしはもう限界かもしれない、もう5日も会ってないんだ」
何の事かを瞬時に理解したエルミーが応えた。
「それは私だって同じよ、もう爆発しそうだわ」
「昨日は帰りが遅かった様だから我慢したが、暫く続きそうだと聞けば尚更我
慢が出来ん」
「でも、作業場に押し掛けたら確実に怒られるわよ、お互いに仕事中だし」
「なら、昼休みには戻ってあいつを引っ張り出すか?」
「そうね、食事の同席なら文句も言われないわね、そうしましょう」
いそいそと昼には戻った2人だったが、同じ事を考えたのが自分達だけでは無
かった事までは気が廻らない2人である。