それぞれの慕情
テストーイ大陸南端地下神殿内、ソファーに座りフレイヤは虚空を見つめて
いる。
後ろには給仕兼護衛、スプリガンのテレサが控えている。
ピクリと動いたフレイヤにテレサが反応した。
「フレイヤ様?どうかされましたか?」
「あぁ、御免なさい、所でロゼッタはセリアの所に居るのかしら?」
その問い掛けを不思議に思いテレサが問い返す。
「フレイヤ様ならお判りに成るのでは?」
「あぁ御免なさい、ちょっと思考を切り替える切っ掛けが欲しかっただけよ
?」
「そんなに謝らないでください、私の思慮が足りなかったのが悪いのです」
「そんな事は無いわ、話掛けてくれて良い切っ掛けに成ったわよ?」
「それはお役に立てて良かったです、そろそろお飲み物でも如何ですか?」
「そうね、頂くわ、あの子はまだ呪解している様だし紅茶を飲んでからロゼ
ッタに連絡を取ってみましょう、まだ追い付いていない様だし」
自転車並みの速度のロゼッタを可哀想だとは微塵も思っていないフレイヤで
あった。
クラリスとレベッカは相変わらずクレア山東端の地下施設で修理作業をして
いた。
鼻歌混じりに作業をするレベッカにクラリスが茶々を入れる。
「流石に今日は機嫌が良いわね、レベッカ」
「えっ?そりゃそうでしょ、昨日はたんまりセリア様成分を補給したし!バ
ンバン仕事熟しちゃうわよ!」
「それは不味いんじゃない?セリア様にも適当にお茶を濁しておけって言わ
れたでしょ?」
「でも早く終わらせれば早く会いに行けるでしょ?」
「あ~それは無理ね、今日は移動日らしいから」
「え~~~そんなぁ~」
「そんなって貴女だってセリア様と繋がってるんだから解るでしょ?」
「あ~あ、今日は寂しく直帰ですかぁ~」
「そうそう、其れからセリア様付きに成ってから貴女毎晩よね?」
「えっ?何が?」
「何がじゃ無いわよ!もっと声を抑えてやりなさいよ!」
「だって~セリア様の香りが記憶から消えない内に堪能したいじゃない~?」
「だったら何で毎晩なのよ毎日会ってる訳じゃ無いでしょ?!」
「会えない時はセリア様を思い出して自分を慰めてるのぉ~」
「判ったから隣で寝ている私の為にもう少し声を抑えてくれ」
「そう言うクラリスだって2日に1回はやってるじゃない」
「貴女がおっぱじめるから我慢が出来なくなるんでしょうが!」
「あたしは我慢してないだけですよぉ~だ」
「お前天界の食堂で噂になってるの知らないのか?
他の下級天使に”セリア様だ~”って言われてるんだぞ?」
「え~~あたしはレベッカだよ~?」
「お前が夜中にセリア様を連呼するからだろうが!頼むから誤解を招く様な
デカい声は出さないでくれ、前なんか”クラリスさんがセリア様なんですか~
?”なんて言われたんだぞ?」
「アッハッハッハそんな訳ないじゃんね~似ても似つかないって」
「お前にだけは言われたくね~よ!」
何時もの漫才な2人であった。